第12話 美味すぎるドラゴン肉を使ったハンバーグ
ゴロゴロ転がる人影。それは若い青年だった。
ん、なんだコイツ。
「食い逃げだ!!」
って、食い逃げかよ!!
「俺は捕まるわけにはいかないんだあああッ!!」
立ち上がり必死に逃げようとする男。だが、俺は自然と体が動いていた。
食い逃げ犯をその場で取り押さえた。
「とりゃ」
「ぐあああ!! やめ、やめろ!!」
「食い逃げなんだろ。犯罪だ」
「ゆ、許してくれ!」
「俺に許しを請われてもなぁ……」
しばらくすると店主の女性が現れ――食い逃げ犯をボコボコにしていた。
「なにウチで食い逃げしとんじゃあああああああ!!」
「「「えええッ!?」」」
俺もリディアも、そしてニキシーでさえも驚いた。容赦ねえ……!
その後、食い逃げ犯は衛兵に引き渡された。
「あの、ありがとうございました!」
「いや、俺はただ当然のことをしたまでです」
「お礼に食事でもいかがですか? もちろん無料です!」
「マジで! 助かるよ」
ついに俺たちは『ジャッジ』へ入店した。
店内は落ち着いた雰囲気でなかなか良い。
案内された席へ着き、少し緊張する。こういうお店は初めて利用する……。
「アウレアさん、さっきはカッコよかったですよ」
「え、俺?」
「ええ。お店の人も感謝していましたし」
「いや、俺なんて……」
「誇っていいんですよ!」
なんだか照れるな。
ぽりぽりと頬を描いているとメニューが届いた。
へえ、ステーキやハンバーグ、オムライスなどいろいろあるんだな。おススメはドラゴン肉を使ったハンバーグらしい。これは美味そうだ!
俺もリディアもハンバーグにした。
「あ、ボクもハンバーグで!」
「え、猫なのに?」
「ちょっと、アウレアさん! 差別です! 猫権侵害です!」
「ね、猫権? そんなのあるのか」
「はい!!」
そこまで堂々と断言されると考えてしまうな。まあいいか、ニキシーが食べたいというのだから。
俺は女性店主に注文した。
店主さんは驚いていた。
猫がハンバーグ食べるの!? と。
もちろん俺はニキシーが精霊であることを話した。すると納得していた。それでいいのか! まあいいか。
少し待つとハンバーグが出てきた。
テーブルの上に次々に並べられる料理。良い匂い。じゅうじゅうと音を立てて余計に腹が減った。あぁ、もう腹ペコでガマンできん!
「「「いただきまーす!!!」」」
ナイフとフォークを手に取って、さっそくドラゴン肉を使ったハンバーグを切り刻んでいく。
一口サイズにして俺は口へ運んだ。
うめええええええええええええええええええええ!!
とろっとろでデミグラスソースも濃厚で最高だな!! しかもチーズ入り! チーズハンバーグとは最強すぎでしょ、コレ!
「お口に合いましたでしょうか?」
「ああ、美味いよ! こんな美味いハンバーグは生まれて初めてだよ」
「お褒めにいただき嬉しいです」
女性店主さんは満足げに戻っていく。いや~、これはガチで美味い。世の中にはこんな美味い料理が存在するのか……!
知らなかったぞ。
すげえ、すげえよ!
ずっと村で引きこもっていた自分を殴りたいレベルだ。




