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Dear Conquers ~征服者たちよ~  作者: 下原知邪
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2 傭兵ギルド

平民とひとくくりにしても、そこには様々な人がいる。

農業にいそしむ人、工場で働く人、商売で莫大な富を稼ぐ人など。誰もが生きていくために、何かしら活動している。当たり前のことだ。




ただ、世の中では「当たり前」と思われていることができない人も多数いる。




ギャンブルに溺れ財産を無くした者、商売に失敗し多額の負債を背負った者。中には街が戦火によって燃え、何もかもが灰となった人も存在する。


毎日どこかで戦争が起きてるような世の中だ。残念ながら世の中にはそんな人は大量にいる。




職をなくした人達をどうするかで、偉い人は頭を悩ましたらしい。

職を無くした者たちは、明日も生きるために略奪や強盗を街で繰り返すようになった。それでどの街も荒れていったとのことだ。



もちろん、もとをたどれば彼らの住処を荒らしたのはお偉いさんたちなのだが。



略奪や強盗を働く人たちは次第に増えてゆき、彼らは「ギャング」という様々な盗賊集団を作り出し、集団で盗みを働くようになっていった。

組織化し、効率よく金を集めていく彼らに、あるお偉いさんは目をつける。



「彼らをどうやって味方にするか」と。



ギャング達は生きていくための金を集めるために集団で襲うわけである。

つまり、「生きていくために必要な金」があればよい、つまり金が入る仕事があればよい。


彼らあぶれ者を常に人手不足である兵士にしよう、そうしてギャングとの交渉の末生まれた組織が「傭兵ギルド」なのだ。




戦争では魔法を使う人、通称「魔法師」の力はたしかに重要であることは以前もとりあげた。しかし、彼らだけで戦闘の結果が決まるわけではない。

あくまで魔法師は一般兵の手助けをするだけ。最終的には下っ端の兵隊が剣と剣を交えて戦うのだ。


度重なる戦争のおかげで、兵隊は不足する一方である。その兵隊を、「あぶれもの達」で賄おうとするわけだ。



ギャング達は荒れごとにも慣れているし、暴力沙汰は日常茶飯事だ。慣れていない一般市民を戦場に放り込むよりはよかったのだろう。


それに、魔法師の力で戦闘は大きく変わる。金で雇った兵士を使っても大きく戦況に影響はないというのもあるかもしれない。



生活の保証がされれば、強奪する必要はなくなる。

街の治安は「傭兵ギルド」のおかげで一気に解決していったそうだ。ギャングたちも街を襲えば襲うほど、富を強奪できる場所が減っていく。限界を感じていたのかもしれない。傭兵ギルド設立には協力的だったらしい。


ちなみに、戦場には基本女性は送られない。女性は傭兵ギルド内の様々な事務仕事を行うか、もしくは娼婦として働くかの2択だ。




傭兵ギルドはもともと「盗みを働かないと生きていけないような連中の集まり」なのである。これは有名な話だ。「職が無くなったら傭兵ギルドに行けば生きていくことはできる場所」であり、「どうしようもなくなった人が送り込まれる場所」と。




つまり、傭兵ギルドに入るということは「社会不適合者」や「人生失敗組」などのレッテルを貼られたようなものだ。


傭兵ギルド自体は時の権力者たちが治安維持のためにもしっかりお金をかけるため、建物も立派なものではあるのだが、一般市民たちにとっては差別や忌避する対象である。




傭兵ギルドは、社会の底辺となった男たちが最後の望みを懸けてやってくる場所なのだ。


そんな場所に、長年私はいるのだ。


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