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ジャ〇コってもう死語じゃない?

「ジャ〇コじゃ」

「ジャ〇コって、もう死語だろ」


 その単語を覚えている奴の方が少ないだろうしな。


「それで、まずは何処に行くんじゃ?」


 俺達は今、先月京都に新しくできたばかりのイオン〇ールへと来ている。

 イオン〇ール京都2号店、新品の匂いが香る六階建ての建造物で店舗数は130。

 エントランスは六階までを見ることのできる吹き抜けの天井で、六階から一階までバンジージャンプが出来そうなほどだ。


「六階から飛び降りたら気持ちよさそうじゃなここ」


 こいつと同じ思考とか嫌だからバンジーとか考えるのやめよっと。


「ちょうど中央に噴水もある事じゃし、あそこに飛び降りればプールの飛び込み台みたいなことも出来るじゃろうて……ちょっとやってきたらどうじゃ?」

「おう馬鹿が、顔面ぶつけてジ・エンドだろが」


 エントランスの中央に設置されたでかめの噴水、中には硬貨が何枚か入れられている。


「どいつもこいつも五円ばっかりでけっちいとは思わんか?」

「そもそもこういうのは額で測んねえんだよ、賽銭箱に五円玉入れる様なもんだろこれ」

「そんなもんかの」


 そんなもんだろ。


「……それで旅行用品店は何階にあるんじゃ?」

「四階だな」


 エントランスの全体マップを見てそう答える。


「しかし旅行用品とか買う必要あるのかの? ちょっと島に行くだけじゃろうが」

「いるわ、キャリーケースも無ければ虫よけスプレーも無いんだからよ」


 推奨物に虫よけスプレーがあったという事は虫はいるのだろう、そこそこ暑いという事が予想できるからでかめの水筒もいるだろう……今日は買う物が多い。


「まあ儂はド〇スタとエ〇ィオンに行ければなんでもいいんじゃがな、そのためにもとっとと貴様の買い物を済ませるぞ」


 俺はレジャー道具を買いに来ているのだが、しかしこいつの場合はデュ〇マのデッキとモン〇ン用のコントローラーを俺に買わせるために来ている。


「……思うんだがネットで買えばよくないか?」

「馬鹿め、ネットで買うより店で売られてる奴を選んで買う方が楽しいじゃろうが」

「いや分かるけど面倒な奴だなお前」


 つーか俺もデッキ作らされるんだよな、サファイアが典に大会を誘われてるから強制参加で俺と教も連れて行かれる……クソが。

 俺達はエレベーターに乗って四階へと移動する。


「さてと……どこだ」


 きょろきょろと周りを見渡し、目的の店がどこにあるのかを探していると不意に後ろから声が掛けられた。


「――あれ? もしかして畝観君かしら?」


 学校の校内放送で行くとどなく聞いたことのある女の声だ。

 振りむいて声の主を探してみれば少し離れた所に長く美しい黒髪を持った女が立っていた。

 その女の身長は俺程度であり、上は手首まであるような白のブラウス、下は地面に付きそうなほど丈の長い緑のプリーツスカートと夏にそんな恰好するかと言いたくなるような装いであった。


「えっと……生徒会長?」

 

 何てったっけ…………なんとか記憶を掘り起こして名前を思い出す。

 確か茨威 百(いばらい もも)だったはず。


「生徒会長だなんて堅苦しいわね、名前で呼んでくれてもいいのよ?」

「はあそうですか……じゃあ茨威先輩」

「ええ、ごきげんよう」


 会釈しつつ会話を続ける。


「えっと……それで何か御用で?」

「いや特段用事があるという訳ではないのよ、ただ知ってる顔があったものだから……つい声をかけてしまったの」

「はぁそうですか?」


 チラリと茨威の腕を見る。

 右腕に高そうな時計か……。


「先輩は誰かとショッピングですか?」

「いいえ違うわよ、何でそう思ったのかしら?」

「いや随分オシャレしてらっしゃるので、下世話な話恋人とデートでもしてらっしゃるのかと」

「デートだなんて、私に彼氏がいるように見えるかしら?」

「……まあいらっしゃるだろうとは」


 と言っても浮いた話なんて噂でも聞いたことは無いのだが……夏にそんな格好するとしたらそうかなと。


「フフフ……今日はただ映画を見に来ただけなのよ」

「ああそうなんですか、これは失礼を」

「いえいえ……そうだ!! 折角だから畝観君も一緒に見る?」

「ありがたいお誘いですが用事がありますので」


 俺がサファイアに視線を向けると、茨威もチラリとサファイアを見る。

 話に飽きているのかサファイアは近くにあった観葉植物の葉っぱを掴んでは放してという遊びをしていて……マジで何してんだこいつ。


「あぁ? 話終わったかの?」


 こちらが注目しているのに気が付いたのか観葉植物の葉を千切ってこちらを振り向く。


「いや終わっては無いんだけど」

「えっと……この子は?」


 抱くであろう当然の疑問を茨威は俺に問いかける。


「え? セッーー!?」


 セッ〇スする約束をした宇宙人と言おうとした瞬間、みぞにサファイアの肘打ちが炸裂した。


「儂はこいつの従妹じゃ」

「え……今何か言おうとしていなかったかしら?」

「説明不要な程似てる従妹と言いたかったんじゃろ」

「あなた達そんな似てるかしら?」

「……似ておらんしこいつに似とるとか最大限の侮辱じゃし、きっと頭がおかしいんじゃろうな?」

「そ、そう」


 ッはぁ!?

 ……やっと息が戻って来た。


「何が似てるとか最大の侮辱……だぁ!?」

「貴様の様な奴と同列とか最悪じゃろ、自殺レベルじゃ」

「はぁあ!?」


 じゃあ死ねよクソが。


「……随分と仲が良いのね」

「そう見えるかの?」

「ええ、本当に」


 仲良く見えるとか節穴極まってるだろ……目玉が定位置からバイバイしてる。


「そういえばあなた達の方は今日何をしに来たのかしら?」

「今日は旅行用品を買いに来たんですよ、今度少し旅行に行くので」

「あら……どこに行くのか教えて貰ってもいいかしら?」

「あぁ~、島ですね」


 宝探しを主催する金持ちが管理する絶海の孤島で、舞鶴湾からクルーザーで大体四時間程度の所にあるらしい。


「そうね、良ければ私も買い物に付き合わせてもらえないかしら?」

「え、お気になさらず」

「付き合わせてもらうわね?」

「いえいえ、映画に遅れてしまっては元も子もありませんので」

「こう見えて私結構旅行慣れしてるのよ?」

「お気持ちだけで」

「さあ行きましょう、お店はこっちよ!!」


 茨威は俺とサファイアの腕を掴むと無理矢理引っ張り、レジャーショップの方へと歩き出した。

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