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色って色々ありますね

 ガチャリッという音を鳴らし白の扉が開く。

 その瞬間、クラリと視界がぼやけたと思ったら、薄暗い部屋の中……目の前には青い水晶があった。


「どうやら当たっとったようじゃな」

「……取り敢えず急にはやめてくれ」

「正解じゃったんじゃからいいじゃろうが」


 サファイアが青い水晶に触れれば、粒子に変わりサファイアの体へと取り込まれていった。

 ふと気がつけば先ほどの薄暗い部屋から先ほどの下水道に風景は切り替わり、道を閉ざしていた柵も取り払われ三つの扉も綺麗さっぱり無くなっている。

 残っているのはダイヤモンドで装飾がなされた三つのアクセサリーのみだ。


「結局なんだったんだ?」

「何がじゃ?」

「何がって……今日一日全般だ、まずなんで下水道がいきなりあんなふうになったんだよ」

「まあ儂の体が異常空間を引き起こした……のをダイヤモンドが改造したんじゃろ」


 そう言ってサファイアはアクセサリーをお手玉のように回す。


「おあつらえ向きに全部ダイヤモンドの装飾じゃしな」


 確かに言われてみればそうだな。


「あいつ自己主張強いんじゃよ。自己顕示欲が高くて他人からの評価が高くないと満足できないタイプ」


 ……つーかお前もだいぶそうだろ。

 講釈垂れてるのを真面目に聞かないと途端に拗ねるし。こういう事を言っても拗ねるからな……つまりこういう時の返答はこれが正解だ。


「そうなのか?」


 だ。


「そうじゃぞ、あいつマジで鬱陶しい程のかまってちゃんじゃからな?」


 顔を顰めながらサファイアは言う。


「儂の体を脱出ゲームに使うのも自分に構って欲しいからやっとるんじゃよ」

「中々な奴だな」

「そうじゃ」

「それで一番気になってたことなんだが、何で白の扉だったんだ?」

「一番気にならんじゃろ……ちょっと考えたら分かるんじゃし」

「ちょっと考えたが分かんねえよ」


 俺は頭が固いんだ……なぞなぞとか全然解けないんだよな。


「……そうじゃなぁ、ヒントとしてはアクセサリーをしっかりと見るんじゃよ」


 アクセサリーを……見る?


「よくわからないんだが、結構良い感じのやつなんじゃないか?」


 母さんが持ってるやつと似てる気がするし。


「すまん、儂の言い方が悪かったかも知らん。注目するのは見た目では無く名前の方じゃ」

「名前ぇ?」


 指輪にペンダントにアンクレットだろ、それがなんだってんだよ。


「全部英語にすればそれぞれ“ring"、“pendant”、“anklet”じゃろ?」

「……まさかとは思うがな、ピアスはpから始まるからpendantのあった白の部屋だったとか言わないだろうな?」

「それ以外に何があるんじゃ?」


 こっわ。

 間違ったらどうなるかもわかんねえのにこんだけの情報でよく開けるわ。


「……別にこれだけが決め手じゃないがな?」

「はぁ?」

「そもそもこれはダイヤモンドが置いておいたヒントじゃ……露骨に自分の名前と一緒の宝石が装飾されとるしな」

「これがヒントって、だから名前がだろ?」

「名前がヒントはそうじゃが、しかし扉の色の補足じゃな」

「扉の色のか」


 俺は先ほどの記憶を想起する。


「それぞれ扉の色は、赤、白、青だったか」


 ……どう言うことだ?


「意味がわからないな、だって名前にヒントがあるとするとそれぞれ扉は”red”、”white”、”bule”だろ? なんも対応して無くないか?」

「それが対応しておるんじゃよ……そもそもあの青の扉は正確には青ではない」

「何言ってんだ?」

「要は青色は一種類ではないと言うことじゃ」

「白は200色あるって話か?」

「そうじゃ」


 そうらしい。


「下水道で少し見づらかったがあれは正確にはアズールと言う色じゃ……スペルは“azur”、Aから始まっとるな」

「アズールと青は何が違うんだよ」

「16進表記でブルーは“0040FF”でアズールが“007FFF“という違いがある」

「わかるか」

「RGBにすると“0、103、192”と“0、127、255”じゃな、アズールの方が少し緑成分が強いんじゃ」

「……よし、わかったから続けてくれ」


 色を数字で言われてもわかんねえわ、コンピューターじゃないんだからさ。


「凝視しろというのはつまり色をよく見ろということじゃろう……そして赤とアズールというか便宜上青と呼ぶがの、その二つを足すと紫色になるじゃろ?」

「まあ流石に俺も高校生だ、それぐらいわかる」


 だからなんだって話だがな。


「紫は英語で“purple”じゃろ、これでそれぞれの色とアクセサリーの頭文字が揃ったな」

「対応してるとは限らないだろ?」

「他の二が対応しとるのに真ん中だけないってことはないじゃろ、それに色も“FFFFFF”じゃったしキャンパスみたいなもんじゃろうと推測できるじゃろ」

「……まぁそうかもしれない」

「まぁ作ったのダイヤモンドじゃしメタ推理も可能じゃ」

「そんなもんか?」

「家族の好きな物とか友人の好きな物とか、付き合いの長い奴の癖やらは覚えるじゃろ?」


 まあ確かに、親父の好きなアニメとか覚えるし母さんの怒りのツボも覚えてるな。あのクソ姉弟の好きな食べ物とかも知ってるしそんな物か。


「ま、取り敢えずここくっせえから帰るぞ」


 サファイアは踵を返して入ってきた場所へと歩き始めた。

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