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隠しエレベーターはロマンである

 狐日が話したことを簡潔にまとめるとだ。


「つまり隠しエレベーターがこの部屋にはあるんだな?」

「そしてその先の扉にサーバーがあるという事じゃな」


 そしてまずエレベーターの扉を開くためには社長デスクについている隠しボタンを決まった順番で押さなければいけないと。

 机の引き出しを開けるとその下に小さな摘みの様な物を見つけた。少し触ってみると机の一部がグォンッと開口し六つのボタンが現れる。


「左から、3、3、1、6、3、6、5、2、2、4、3じゃったな」

「おっけー、3、3、1、6、3、6、5、2、2、4、3と」


 ゴゴゴッという音がしながら中央から四角の鉄籠が地面からせりあがって来た。

 なんてこった、こんなもんロマンの塊じゃねえか……部屋が血まみれじゃなかったらもっと最高なんだけど。


「そんでこれに乗ったら地下直通だっけか」

「そうじゃ……ところでそこの弟の方は何で呆けとるんじゃ?」


 そりゃそうだろ、だって部屋中血みどろだぜ……狐日のだけども。


「……本当に、君は一体何なんだ」


 怯えながら


「異常だ……頭がおかしい」

「分かる、たまにこいつ頭おっかしいんじゃねえかなって思う時ある」

「畝君、君もだよ……こんな状況で何でそんな平然としていられるんだ」


 ………………どうなんだろうな?

 サファイアの眷属になって精神構造が変わったとか?

 俺は別に特段変ったという体感は無いんだが。


「どうなんだサファイア?」


 眷属になって身体能力が上がったんだ……もしかしたら頭の方も変わったのかもしれない。


「慣れたんじゃないかの? この前の公園の方がえぐかったらじゃろ?」


 ……確かに匂いも見た目もあっちの方がきつかったな。

 そっか、じゃあいいや。

 俺の性癖に一切の変化なし……触手至上主義依然変わらずだ。


「まあそれに、多分地下に行けば典の事もいろいろ分かるんじゃないか?」


 現在はピピピピピピとしか喋れていない狐日、(サファイアが)喋らせることは全て喋らせたのだが隠しエレベーターやサーバーの事は確かに確認できた。

 だがしかしだ、何故典がぶっ倒れたのか……どういった魔術を使ったのかは喋らせることが出来ずそれよりも前に頭がぶっ壊れてしまったのだ。

 サファイア曰く、放置しときゃ治るらしいが……本当だろうか?


「よし、とりあえずちゃっちゃと行くぞ……貴様等も早く乗れ」

「………………どうすんだ? 俺は行くけどさ」


 というかサファイアの近くにいないとサファイアが移動できないし行く以外の選択肢が無い。


「僕も行くよ、姉さんを助けないといけないんだ」


 俺達はエレベーターに乗り込み、サファイアが電子板をカチャカチャとしたら下へと下り始めた。

 一分程度たった後ガチャンッという音がし少しの衝撃が体に通じる。

 ビーッという不気味な電子音が鳴り耳を突き、ガガガガガと扉が開く。

 開いた先に広がっていたのは長い廊下であり照明には高級そうなランプ、足元には赤色のカーペットが敷かれていた。


「何というか……思ってたよりきれいだな」


 白い壁に青白い光がほんのり照る廊下には三つの扉が並んでいて。

 その全てが雰囲気に不似合いな重厚な鉄の扉であり、見ているだけで息が詰まるような気分を味合わせてくる。


「どうする?」

「どうするって決まっとるじゃろ、まずは調べんと始まらん」


 そう言ってサファイアは最も手前にある扉の取手を掴んだ。


「僕も調べるよ」


 教もそれに続く。


「まあそうだよな……じゃとっとと調べてこうぜ」


 俺達は重い扉を開けた。

 俺達は一歩、こちら側とは扉一枚で隔絶されていた異常へと足を踏み入れた。

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