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神格級

「一応聞くが嘘はついとらんな? 実はありませんとかじゃったら種を滅ぼすぞ?」

「ゲロは生まれた時から商売人ゲロ、だから商売には信頼が最も重要という事だと理解しているゲロ。そもそも商売というのはこちらが商品を売れば、相手が対価を払うという信頼がそこにあるから商売が成り立っているゲロ、それを裏切るようなことはゲロは絶対しないゲロ」


 ワープディスクを持つアマガに対してそんな事をいうサファイア。ディスクの裏面から放たれる極光は壁を照らし、その光線の奥が見えないほど明るい。


「まあそうじゃろうな……そうじゃ、靴は履いておけよ」

「オッケー」


 指示通り玄関まで行って靴を履いて戻って来る。


「それじゃ」


 そう言ってアマガは口の中に手を突っ込むと黒いDVDプレイヤーの様な物を取り出した。


「………………S〇NYじゃねえか」

「信者ゲロから」


 アマガが電源も繋いでないそのDVDデッキの起動ボタンを押すとディスクトレイが出てきた。


「ていうかそんなのでワープできるのか?」

「ゲロが出来るように改造したし大丈夫ゲロ……よし準備完了ゲロ、そっちは準備大丈夫ゲロか?」

「大丈夫じゃ」

「こっちもな」

「じゃあ起動するゲロね」


 そう言うとリモコンの再生ボタンを押す。

 そうすると部屋の中にちりちりとした小さい虫の様な何かが宙を舞い始める。その動きは不規則なようで規則的、ずっと見ていれば狂ってしまうほど神秘的だ。

 そんな印象を抱いた時だった、周りの景色が一変した。

 今目の前にあるのは家の中の光景ではなく、うっそうとした木々の中にある巨大な湖だ。


「おお、本当にワープしたのか」

「流石サファイアの眷属と言ったところゲロか……あんた凄いゲロね」

「何がだ?」


 サファイアを見てみれば胸を張りながらふんぞり返っている。


「まぁ~~? 儂の眷属じゃし~? これぐらいの事で気が狂ってもらっても困るというかの~? 儂の眷属になって体が強化されとるんじゃから当たり前というかのぉ~~~?」

「は?」

「人間がワープディスクで転移したら大抵気が狂うゲロ」

「てめえ説明されてねえぞ!?」

「忘れてたゲロ」

「儂は覚えとったが貴様は多分狂った方がまともになるじゃろうから黙っとった」


 舌を出しながらそう言う二人。

 なんて物を使わせてくれちゃってんだクソが。


「まあまあ、何もなかったんゲロからいいじゃないゲロか」

「二度とワープしねえ」

「ここ長野県にある山の中ゲロけどどうやって帰る気ゲロか? いやまあ近くに小さい村があるゲロから帰れんことも無いと思うゲロけども」

「クソったれが」

「まあ下らんことをいっとらんで調べるぞ」


 そう言ってサファイアが手を叩いた。


「それで? 亡者はどこらへんで湧いとるんじゃ?」

「大体あの辺からあそこまでゲロね」


 そう言ってアマガは湖の傍の森林をグルゥーと指さす。


「そこそこ広範囲じゃの……周辺の地図はあるかの」

「当然準備してるゲロ」


 そう言って口の中から紙を取り出した。


「ゲロロ」

「これだからクローライトは嫌いなんじゃ、汚い」

「酷いゲロ」


 サファイアは地図を地面に敷くと暫く眺めて言った。


「ふーむ、これじゃと取り敢えず村にある可能性が一番高いかの?」

「というかそう考えたから頼んだというのも大きいゲロ」

「……良く分からんな」

「いや、ゲロって結構人間から離れた見た目してるゲロから」

「ああの」


 何か納得したような表情なのだが……俺は何も納得できていない。


「ちょっとすまないんだが、さっきから何を言っているのか分からないんだ」

「……何がじゃ?」

「いやな、そもそもサファイアのパーツは本当にここにあるのか?」


 単純な疑問をぶつけてみる。


「だってそうだろ、持ち出して遠方からここに亡者を操作してる可能性だってあるだろ?」

「ああそうか、そう言えば貴様にはまだ説明しとらんかったな」

「……?」

「半径二キロじゃ」

「何が?」

「亡者を発生させる呪文の射程範囲じゃよ」


 サファイアは言う。


「『ウギマ・タナ・カルウカ』……儂の知っとる亡者を作り操る呪文で最も性能の良いもので半径二キロメートル、これを毎日唱えなければ亡者は消えてしまうんじゃよ」

「でもそれお前のパーツが近くのある事の証明になって無くないか? だって呪文をそこで唱えたらいいだけだろ?」

「これを唱えて無事でいられるのは儂らの様な神格級だけじゃ、それ未満の奴らは致命的に気が狂うぞ……工夫をしなければじゃが」

「そもそも神格級ってなんだよ?」

「名前の通り多数の種族から信仰を集めとるような存在を言う」

「………………お前、そんな偉大な奴だったのか」


 普段の言動を見ている限りそんな大層な奴には見えないんだが……最近口を開けばモ〇ハンの話ばっかだしゲームしてないときは寝てるだけじゃねえか。


「言っとくがの、儂は136の種族から信仰されとる偉大な存在なんじゃぞ!」

「捧げものをしなくてもいい代わりに見返りが全くないから信仰するだけ無駄って有名ゲロ」

「本当しまいには縊り殺すぞ貴様!?」

「お前もお前でなんかこう、敬語とかしなくても大丈夫なのか? 一応こいつ神様なんだろ?」

「お客様としては敬意を払ってるゲロよ? でも例えばゲロけど仏教信仰してる奴がキリストに様を付けて呼ぶゲロか? 信じてない神には神様に対する敬意なんか払わんゲロ」

「客として敬意を払われてるかも怪しいと思うがの?」

「ちゃんと商品を出してるゲロし、公正公平な取引もしたゲロ?」

「……何も言い返せんぞ」


 どうやらアマガにとってお客様は神様ではないらしい。日本人的にはあまり理解の出来ない感覚だ。


「神格級以外は工夫をしないといけないってのはなまあ分かった、でその工夫ってのは何なんだ?」

「ああ説明の途中じゃったの、工夫ってのは神格級の体を触媒に使う事じゃよ……つまり儂のパーツは範囲内にあるってわけじゃ、なんせ現状一番簡単に手に入る素材じゃしな………………ッハ」


 自虐気味に笑いながらそう言うサファイア。


「一応聞いとくが神格級ってやつがやってる可能性は無いのか?」

「まあ無いじゃろ、ていうかそうじゃったら長野が無くなっとらん理由が無い」

「そうゲロよね、そもそも亡者なんか使わんと思うゲロ」


 両者ともに頷きながら意見を揃える二人……ほんと他の神格級ってのはどんな奴なんだよ。サファイアと同格っぽい偉大なる九神(グレーターナイン)ってやつはそうなんだろうけど。


「じゃあ取り敢えず村の方はそっちに任せるゲロ」

「アマガはどうすんだ?」

「ゲロは亡者たちが現れてる場所を調べ直すゲロ」

「何故そんな事をするんじゃ?」

「さっき生者を襲うって言ったゲロよね? そして特定の位置にしかこいつ等は現れないという事は……そこに何か守りたい物があるんじゃと思ったんゲロよ」

「なるほどのぉ、なにかあってそれが儂のパーツじゃったら返せよ?」

「もちろんゲロ……協力してくれた事には変わりないゲロからな」


 それだけ言い残すとアマガは湖の中に入って奥の方へと泳いで行った。


「さてと、儂らも移動するかの」

「そうするか」


 俺達は木々を掻き分けて村の方へと進んでいった。

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