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神様のなりかた  作者: フルーツ牛乳
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8話 迫りくる病魔

流石にその日から食材全部をお姉ちゃんが準備する事は無理だったので、お姉ちゃんはお詫びと言って卵とミルクと砂糖でプリンと言うお菓子を作ってくれた。

それは今まで食べたことの無い味と食感でお母さんと二人で夢中になって食べた。

お姉ちゃんは私達を見て嬉しそうにしていたけど、それどころではなかった。


「あぁー、もう無くなっちゃった。」


「エマさん、良ければ作り方を教えて頂けませんか?」


「いいですよ。夕食のデザートに今から作って水で冷やしておきましょう。冷やすともっと美味しくなりますよ。」


プリンを作って冷やしている間にお姉ちゃんと二人で薬草取りに来た。

薬草を取りながら私はお姉ちゃんに聞いた。


「お姉ちゃんはさあ。」


「ん?なに?」


「何をしにビューレンの村に来たの?」


「人に会うのが目的だよ。もう会えたよ。」


「え、もう会えたの?誰?」


「ひみつー。」あははと笑う。


「えー教えてよー。」


「ダメー。」あははとまた笑う。


「ちぇー。」


帰りにまた鳥を狩って帰った。

その日の夕食後のプリンにはカラメルという物をお姉ちゃんがかけてくれた。

ほろ苦甘い味が冷たいプリンと絡んで美味しかった。

そんな感じでお姉ちゃんがいる生活に慣れてきた頃、ジャンのお父さんが熱を出して倒れたとお母さんから聞いた。

時期的に毎年流行る熱病だと思う。

この時期、沢山の人が高熱でうなされて倒れる。そのうち少なくない人が死ぬ。

私のお父さんも5年前の冬にこの熱病で亡くなったらしい。


「ロルフがお医者様を呼びにとなり村にいったらしいわ。」ロルフとは村長の息子だ。


この話を聞いたお姉ちゃんは下唇を噛み血が出そうなくらい手を握りしめ地面を見つめている。「お姉ちゃん?」と声をかけると、ハッとして私の方を見てから、何でもないよと笑顔で言った。

でも、いつものお姉ちゃんの笑顔じゃない。

こんな顔見た事があるような気がする。

それから20日後、熱で倒れた人が20人を超えジャンの父親が亡くなった。

もともと閑散とした村がさらに静かに感じる。

そんな時、お母さんが倒れた。


「お、お母さん、どうしたの?だ、大丈夫?」


私は頭がまっしろになって動けなかった。

お姉ちゃんがお母さんにかけより抱き起す。


「ごめんなさい、ちょっと疲れちゃったのかもしれないわね。」と疲れた顔でうめくように言う。


「とりあえずベッドへ行きましょう。カルネ!手伝って!」


二人がかりでお母さんを抱えベッドに連れて行く。

寝かせたお母さんの額にお姉ちゃんが手を当てる。


「熱があるね。お医者さんはまだ村にいたはずだよね?」


「う、うん、いるはずだよ。お母さん大丈夫だよね?」


お姉ちゃんは何か言おうとして黙ってしまった。

私の中で不安がどんどんと大きくなっていく。

そんな私の様子に気が付いたお姉ちゃんは


「カルネしっかりして。まずは体を温めるの。予備の毛布を全部出してきてマーサさんにかけて。私はかまどに火をいれたらお医者さんを呼びに行ってくる。」


と言ってかまどに薪を放り込んだら家を出て行った。

私は言われた通り毛布を持ってきてお母さんにかけた。

お母さんは「ありがとう。」と言って目を閉じた。

家の中がとても静かだ。

お母さんの荒い息だけが聞こえる。

今はこの静寂がとても恐ろしく感じる。

自然と涙が浮かんでくる。

不安に負けてお母さんに声をかける。


「お母さん・・・」


お母さんは薄く目を開けて「心配させてごめんね。すぐに元気になるからね・・・」と言って微笑む。

お姉ちゃんはまだ戻ってこないのだろうか?さっき出て行ったばかりなのにそんな事が頭に浮かんでくる。

お母さんの手を握ると軽く握り返してくれる。ちょっと心が軽くなった。

しばらくしてお姉ちゃんはお医者様を連れて帰ってきた。


「遅くなった、ごめん。」


「患者はマーサさんか?」ちょっと息を切らしたお医者様がお母さんにかけよる。


「先生、お手数をかけて申し訳ありません。」といって起き上がろうとしたお母さんをお医者様が両肩を抑えて寝かせる。


「挨拶はいいから寝ていなさい。」お医者様は静かに、だけど有無を言わせぬ迫力で言った。


真剣な顔をしているお医者様がお母さんの額に手を当てたり手首を握ったりしている。

しばらくして「ふぅ」と息をついた後、私の顔をじっと見てからお姉ちゃんの方に向き直った。


「そういえば君は誰だい?」


不意を突かれたお姉ちゃんは少し固まってから「私はエマと言います。旅をしていますが少し前からこちらでお世話になっています。」と返事をした。


「そうか、では赤の他人では無いと言っていいか。」


お医者様は少し話をしたいと言ってお姉ちゃんを連れて家を出て行った。

なんだろう・・・


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