7話 交渉
朝、起きるとお母さんとお姉ちゃんは起きていた。
「おはよう。」と二人に言われ「おはよう。」と返事をする。
顔を洗うため水がめに向かう。
水がめの蓋をとるとほぼ満杯になっていた。
「お母さん、水汲みいってくれたの?私がやるのに。」と言ったら、お姉ちゃんが行ってくれたと返事が返ってきた。
私には分かった。
「お姉ちゃん、魔法使ったでしょ?」
「ばれたか。」と言ってあははと笑う。
「ついでだから水がめ、水全部抜いてから洗っておいたよ。」
魔法すごいな。
「本当に魔法というのは凄いですね。」とお母さんも感心していた。
朝食をとった後、お姉ちゃんと私は今日の予定を立てる。
「今日から食材は私が準備しようと思うんだけど、この村で手に入る食材は何があるかな?」
「麦がゆの押し麦ならまだあるよ?」
「うーん、毎日同じメニューっていうのもねぇー。」
「え!?お姉ちゃんは毎日違う食事をしてるの?」
「毎日ってわけじゃないけど、大体違うかなぁ。」
「おねえちゃん、やっぱりお貴族様なんじゃ・・・」
「いやいや違うって。食事はいろいろ楽しめた方がいいでしょ?」
「まぁ、そうだけど。この村だと腸詰、豚の燻製、鳥の燻製、たまに熊とか?野菜はお母さんの畑で採れるのと同じかな。あとヤギのミルクだね。あっ季節にもよるけど山菜もあるね。」
「それだけ?」
「うーん、たぶん。」
「卵とかはないかぁ。」
「あ、卵もあるよ。でもすっごく高いんだ。」
「お金かぁ。手持ちのお金は使えないんだよなぁ。」
「お金が使えないの?」
「うん、持ってるのは他所の国のお金だからね。あ、塩買ってくれるところあるかな?」
「うーん、村で一番お金持ちなのは村長だけど、どうだろう。お母さんに聞かないと分からないかなぁ。」
「じゃあ、売れそうだったら村長さんの所行ってみようか。」
「う、うん。」
村長の家に来た。お姉ちゃんが村長の家の扉をコンコンと叩く。少ししてギッと扉が開くと村長が現れた。
村長は私の方を見て。
「なんだお前か。何の用だ。」と言ってからお姉ちゃんに気づく。
「あんたは誰だ?」
「私は旅の者でエマと言います。今カルネの家にお世話になっています。」
「よりによってあの家か。で私になんの用だね。」
私はずっと下を向いたままだ。
「えっと、今日は買っていただきたい物があって来ました。」
「私は商人じゃないぞ。」
「村長さんは村一番のお金持ちだと伺いましたので。」
「ふん、で何を持ってきたのかね。その椀か?」
「お椀の中身ですね。こちらが塩、こちらが砂糖です。」
「塩!?」村長が固まった。
「こ、これ全部が塩なのか?」
「買っていただけますか?」
「い、いくらだね。」
ここまで来てお姉ちゃんが固まったのが分かった。たぶんいくらで売るか考えてなかったんだと思った。
「い、いくらでしょう?」
「う、売る気できたのだろう?」
お姉ちゃんがハッとした顔で言った。
「3人1か月分の食事代でどうでしょう!?」
お姉ちゃんの声が裏返る。たぶん思いつきを言ったから緊張したんだろう。
「だ、だいたい銀貨3枚だな。すぐ取ってくる。」と村長が踵を返したところで
「待ってください。砂糖も!」とお姉ちゃんが村長を引き留める。
「そ、そうだったな。ところで砂糖とはなんだ?」
「舐めてみてください。」といってお姉ちゃんがお椀を村長に差し出す。
村長は少し砂糖を舐めて固まった。
「なんだこれは。すごく甘いぞ。」
「砂糖です。」
「そ、そうだったな。」
「こちらは銀貨10枚です!」お姉ちゃんは調子に乗ったのか大きく出た。
「ぐ、確かに珍しいがちょっと高くないか?」
「う、そう・・ですか?じゃあ銀貨7枚では・・・」おねえちゃん、いきなり値引きすぎじゃない?
「よし!それで引き取ろう!もう決まったぞ!全部で銀貨10枚だな!すぐ取ってくる。」
村長は凄い勢いで家の中に駆け込んで行った。お姉ちゃんは「はぁ、売れた。」と息をついてる。
しばらくして村長は銀貨を持ってきた。
塩と砂糖を村長に渡してから、お姉ちゃんは言った。
「お椀は返してください。」
帰りに銀貨5枚で1か月分の卵を売ってもらう約束を取り付け、今日の分の卵をもらってきた。




