5話 怖いお貴族様
「そっか、じゃあ分かりやすいのを見せてあげるよ。」
そう言って手のひらを上に向けた。その直後手のひらの少し上に青っぽい火の様な物が現れた。
「そ、それは何?」
「ん?火だよ?」
「嘘!火は赤色だよ!」
「火はね熱いと青っぽくなるんだよ。」
「そうなの?」
「かまどの火は赤色だもんね。確かに分かりにくかったかも。」
そう言いながら、お姉ちゃんは青っぽい火を握りつぶした。
「次は・・・カルネは雷見たことある?」
「あるよ!空からドーンって落ちてくるアレだよね。」
「そうそう、じゃあそれをやってみるね。ちょっと離れて。」
え!?あんな凄い事できるの!?確か山火事とかになるじゃなかったっけ?危なくない?
と思った瞬間、お姉ちゃんの手の平が光った。バンッと音がして近くの木から煙が出てた。
「何も見えなかったよ?」
「ごめん、これ私も見えなかったよ。」失敗失敗と笑いながら手をひらひらと振った。
「えー初めてなの?」
「もっと大きいのはやったことあるんだけど危ないからね。」
「でもすごい!他にもできるの?」
「いろいろあるよー。」
お姉ちゃんはおとぎ話の魔法使いみたいで私はとても興奮した。
魔法についてお喋りしながら家に帰った。
「お母さん、ただいま!」
「あら、もう帰ってきたの?鳥は取れた?」
「取れたよ!お姉ちゃんが魔法でとったの!」
お母さんは嬉しそうに笑って「そう、良かったわね。」と言った。あきらかに信じてない。
「嘘じゃないよ!本当なんだから!お姉ちゃん、お母さんにも見せてあげて!」
「いいよ。」と、お姉ちゃんは担いでいたカゴから鳥を出しながら言った。
お姉ちゃんはきょろきょろと家の中を見渡して、かまどに目をつけた。
「そろそろ、夕食の支度ですよね?かまどに火をつけていいですか?」とお母さんに聞いた。
「え、あ、はい。種火はかまどの右側に・・・」
「種火はいりません。かまどを見ていてください。」
お母さんは何が起こるのか不思議そうな顔をした。
その瞬間、残っていた炭に火が燃え上がった。
お母さんが固まった。
復旧したお母さんはゆっくりと振り返りお姉ちゃんの顔を見てから私を飛びつくように抱きすくめ「娘が大変失礼いたしました!責任は私にあります!どうか娘だけはお助けください!お願いします!お願いします!」
と叫び始めた。お母さんの膝ががくがくと震えている。
「お母さん、何を言って・・・」
お母さんは、お願いします。お願いします。と繰り返している。
お姉ちゃんも何が起きたのか分からないらしくオロオロとしながら
「ど、どういう事ですか?」とお母さんに聞いた。
お母さんは恐る恐る顔を上げてお姉ちゃんの方を見て言った。
「魔法を使われているという事はお貴族様ではないのですか?不思議な恰好もされてますし・・・」
「不思!?」
お姉ちゃんは、また遠い目になった。
お母さん、オブラートに包めてないよ・・・
「ワタシハオキゾクサマジャナイデスヨ。」
「お姉ちゃん、喋り方。」
「ごほん、ごほん、魔法を使うのは貴族だけなんですか?」
お姉ちゃんがお母さんに聞くと
「え、えぇ、全員がというわけでは無いと思いますが、力のある者は国王陛下に召し上げられ貴族になると聞いています。」
「すごい!お姉ちゃん、お貴族様になるの!?」
「うーん、今のところ興味はないかなぁ。」
「えーもったいなーい!」
「では、本当にお貴族様ではないのですか?」
「はい、いたって普通の平民ですよ。」
「普通じゃないと思うよ。」
ここまで聞いて、お母さんは力が抜けたようにしゃがみこんだ。
「はぁぁ、生きた心地がしなかったわ。」
「驚かしてしまってすみません。」お姉ちゃんが頭をさげる。
「いえ、私の独り合点だったようです。私こそすみませんでした。」
私はお貴族様というのは怖いものなのかと疑問に思った。
「お母さん、お貴族様って怖いの?」
お母さんは少し考えてから
「お貴族様には絶対に逆らってはいけないわ。逆らって殺されたという話も聞くし、碌なことはないと思うわ。」
お貴族様ひどいな。
「分かった。気を付ける。」
まぁ、村にいたらお貴族様に会う事は無いと思うけど。




