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神様のなりかた  作者: フルーツ牛乳
22/28

21話 王子

今日は朝からフライブルグ様に呼び出された。

執務室をノックして「フェリックスです」と伝え返事を待つ。

すぐに「入れ」と返事があったので「失礼します」と言って中に入る。


「朝からすまんな。彼女達の服はどうなっている?」


「注文した服の半分程は届いているようです」


「王子との面談に使えそうな物はあるか?」


「は?王子様でありますか?ある・・・にはありますが、何故 王子様との面談になるのでしょうか。王都へは行かないことなったのではないのですか?」


「いらっしゃるそうだ」


「いらっしゃるのですか・・・何をしに・・・面談ですね。どの王子様がいらっしゃるのですか?」


「カールハインツ様だ。エマとカルネについて陛下に報告したのだが、実力を確認するとの事で、クヴァント殿が派遣されてくる事になった。それを聞きつけたカールハインツ様が一緒に行くと言い出したようだ」


カールハインツ様とは、この国の第4王子だ。好奇心旺盛な性格でフットワークが軽い。つまり、何かあるとすぐに顔を突っ込んでくる。

クヴァント様は5人いる魔法使いの内の1人で、主に宰相様の手伝いをしている。まだ若いが頭がよく実務能力が高いそうだ。


「まぁ、王子の事はいい。問題はクヴァント殿だ。エマとカルネの実力を見るために来るわけだが、エマの力をそのまま教えるわけにはいかん。もし知られたら、この街が暗殺者で溢れかえるぞ」


「暗殺者ですか?実力を知ったなら取り込むよう動くのではないのですか?何故暗殺者を仕向けられるのでしょうか」


「いろいろと理由はあるが、派閥の問題が起きやすいだろう。エマの力を知れば、皆 自分の派閥に取り込もうとするだろう。しかし、エマの魔法は強力すぎる。取り込めないなら問題になる前に殺してしまえ、とな。そして彼女は私の保護下にある。つまり、私の派閥に属する可能性が高いとみられるわけだ」


「分かりました。では彼女には話を合わせる様に伝えましょう」


「そうだな、エマが使える魔法は雷のみ、稲妻は一つだけという事にしよう」


「承知いたしました」


エマの部屋に行くとエマとフランツはカルネに勉強を教えていた。

カルネは文字を読めなかったのでエマとフランツに習っているようだ。

平民の識字率は高くない。学習とは金がかかるのだ。


エマちゃん、変にスペック高いよな・・・


「エマちゃん、頼みがあるんだけどいいかな」


「はい、なんですか?」


「実は今度、王都からエマちゃんとカルネちゃんの魔法を確かめに偉い人が来るんだけど」


「偉い人ですか?」


「この国の第4王子様とクヴァント様という方だよ」


「派手な魔法を見せればいいんですか?」


「逆!逆だから。エマちゃんは雷の魔法しか使えない事にして欲しい」


エマは少し考えてから「分かりました」と返事をした。


「ついでに稲妻は1本だけで頼む」



王子とクヴァントが到着する当日、警備以外の全員集まって館の前で出迎える。

そこに続々と騎乗した騎士達がやってきた。王都の騎士だ。

そして騎士に囲まれる様に豪華な馬車が2台到着する。

1台目の馬車から初老の男性と美しいメイド、そして豪華な服を着た若者が現れた。この若者がカールハインツ様だ。

カールハインツ様は好奇心むき出しの顔できょろきょろと顔を動かし、こちらを向いて顔を止めた。


「フェリックス卿ではないか!卿も護衛についていたのか?いや、それにしては軽装だな。ここに泊まっていたのか?」


「はい殿下、ひと月ほど前からこちらでお世話になっております」


実は顔見知りである。

私は御前試合でいつも入賞するため王族の方々には顔を覚えられている。


「卿がうらやましいぞ。自由に旅行に行けるのだからな」


「旅行ではありません。任務で来ているのです」


その時、2台目の馬車から降りた男がやってくる。クヴァント様だ。

クヴァント様はフライブルグ様に挨拶をする。


「フライブルグ様、お出迎えありがとうございます。短い間ですがお世話になります」


「殿下、クヴァント殿、ようこそおいでくださいました。むさ苦しい所ではありますが、どうぞお寛ぎください」


「うむ、フライブルグ卿、世話になる。エミリアもルイーサも久しいな。して、例の魔法使いとはどこにいる?相当な使い手と聞いたぞ」


フライブルグ様はエマとカルネを呼び隣に立たせる。


「こちらの二人になります。右側がエマ、左側にいるのがカルネと申します」


「エマと申します。お初にお目にかかります」


エマは右手を胸に当て左手で服の裾を軽く持ち上げ腰を落とし軽く会釈する。

これが正式な女性の挨拶だが、何故かエマは最初から知っていた。


「カルネと申します。お、お初にお目にかかります」


カルネがぎこちなく挨拶をする。カルネは齢相応の挨拶だ。平民である事を考えればよく出来た方だろう。


「よいよい、2人とも固くなるな。私は堅苦しいのは苦手だ。それにしても魔法使いというのは女子であったか。どのような魔法を使う?すぐに見れるか?」


「殿下、落ち着いてください。長旅でお疲れでしょう。ひとまず館で休憩いたしましょう」


全員で応接室に移動する。


「フライブルグ卿の館は飾り気がないな。国でも1、2位を争う富豪なのだから、もっと飾り立てても良いのではないか」


「恐れ入ります。私に芸術といったものは難しく、何を揃えれば良いかも分からない次第です」


「金を使うのも貴族の義務と聞いた事があるぞ。使わなければ貯まる一方だろう」


「はい、ですので私は主に民間の各種産業に投資しています」


「投資は習ったことがあるがやったことは無いな。面白いのか?」


「面白いというか、うまく産業が立ち上がった時は嬉しいですね」


「ほう、私もやってみるか。教えてくれるか?」


「もちろんです。後で資料を見ながらお話いたしましょう」


「頼む。して、エマとカルネと申したか。魔法について話を聞かせてくれぬか。どのような魔法を使う?」

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