2話 宿がない
私が木の影から出ていくと女の子は少し驚い顔をした。
出てこいと言われたから出てきたのになんで驚くんだろう。
女の子はすぐに驚いた顔から笑顔になり話しかけてきた。
「初めましてカルネ。私はエマ。ビューレンの村に行きたかったんだけど迷ってしまって困ってたんだよ。」
「ビューレンの村は私が住んでる村だけど・・・」
「そっか!この近くなの?」
「ちょっと遠いかも」
「もし良ければ案内お願いできないかな?」
「あの、薬草取らないといけないから・・・」
「ん?そのカゴ?どれくらい取るの?」
「このカゴがいっぱいになるくらい・・・」
「じゃあ、手伝うよ。その後なら案内お願いできるかな?」
私は考えた。
この秘密の採取場はもう見られてしまった。
なら断る理由も無いし、困ってる人がいたら助けてあげなさいとお母さんから言われている。
あっ、お願いしたらここの場所も黙っててくれるかもしれない。
「こ、ここの場所、秘密にしてくれるならいいよ!」
お願いにならなかった・・・なんか取引?みたいになって声が裏返ってしまった。
「ここ?ここは秘密だったの?もちろんいいよ。内緒ね。」
良かった。
秘密にしてくれるならこれからもここで薬草が取れる。
ここまで話して何か違和感を感じたけど何か分からない。
まぁ、いいか。どうせ大した事じゃないだろうし。
「何の薬草を取るの?」と、聞かれたので手に持っていた薬草をみせる。
「麻黄ね。解熱剤かな?」
「え?何の薬になるか知ってるの?」
「うん、むかし教えてもらったんだ。」
何の薬になるか知ってるなんて薬師様なんだろうか?あっ、変な格好してるし、お貴族様なのかもしれない。
「お姉ちゃんはお貴族様なの?変な服きてるし。」
「変!?」
遠い目になってしまった。
「オ、オネェチャンハオキゾクサマジャナイヨ。」
「喋り方へんだよ?」
「ゴホン!ゴホン!わ、私はちょっと遠いとこから来たんだよ。そこではこの格好は普通なんだよ?変じゃ無いんだよ?」
「でも、村では見た事ないよ?それに遠くからくる商隊の人達もそんな格好してないよ?」
「ううん〜この格好、変なのかぁ・・・ねぇ、村で服って売ってるかな?」
「え!?服は商隊が来た時しか買えないよ?」
「え!?商隊っていつ来るの?すぐ来るかな?」
「夏の終わりかなぁ。」
「えっと今は冬?」
「え!?」
まさか季節を聞かれるとは思わなかった。この人大丈夫かなと心配になってきた。
「そ、そうだよ。この前年明けしたところだよ?」
「ソ、ソウナンダー」
話しながら薬草を取っているとすぐにカゴがいっぱいになった。
二人でお喋りしながら村まで帰ってきた。
お姉ちゃんはとても物知りで面白い話を沢山してくれた。
こんなに喋ったのはお母さんとジャンくらいだ。
お別れするのがちょっと寂しい。
「村長の家はあっちだよ。」と村の奥の方を指さした。
「え?村長さんには用事ないよ?」
「え!?どこに泊まるの?」
商隊の人達も徴税官の人も村に来た時は村長の所に泊まるからてっきり村長の所に泊まるのかと思ってた。
「宿は・・・ないの?」
「宿って何?」
「あちゃあ、どうしよう・・・」




