13話 後始末
エマとカルネの同意を得られたので領都まで同行してもらう事になった。
そういえば名前を聞いておいて自己紹介をしていなかったな。
「自己紹介がまだだったね。私はフェリックス・アウエ、騎士だ。ゴースアーティグス王国第3憲兵大隊で中隊長をしている。今は用事でフライブルグ領に来たところを駆り出されてゴブリン退治に来たところだよ。領都につくまでよろしく。」
エマから「よろしくお願いします。」と返ってきた。
カルネは黙ってエマの後ろからお辞儀だけしていた。
そこで負傷したフランツの事を思い出したので近くにいた兵士に聞いてみた。
「フランツの怪我はどんな感じだ?」
「気を失っていますが大きな怪我ではありません。ただ、頭の怪我なので安心はできませんが・・・」
「そうか、ではフランツが馬に乗るのは無理そうだな。ゴブリンの死体を片付ける間に起きなければ、荷馬車に載せて帰るしかないか。フランツには領都まで報告をしてもらいたかったんだが・・・」
「それなら私がひとっ走りしますよ。馬は乗れませんが足には自信がありますよ。」
「すまんな。頼む。私の名前を出して良いから直接フライブルグ様に報告をしてくれ。たぶん救援の準備が始まっているだろうから必要が無い事も頼む。」
「はっ!」
敬礼をした兵士は荷馬車の所へ行き、走るのに邪魔になる皮鎧と槍、小盾を置いてから結構な速度で走っていった。あのペースでもつのか?
「では、エマちゃん、カルネちゃん、我々は今からゴブリンの死体を埋めなければならないので少し待っててくれるかな。荷馬車に食べ物も水もあるので好きに食べてくれて良い。近くの兵士に声をかければ好きな物を出してくれるだろう。」
そっと二人を荷馬車の方へ押し出だした。
二人が荷馬車の方へ歩きながら「大変な事になっちゃったね。」と話ているのが聞こえた。
「では後片付けをするぞ!小荷駄の護衛2名、周囲の警戒に2名を残して後はゴブリンの死体を集めろ!」
兵士たちが手慣れた手つきで死体を運び始める。
しばらくして全ての死体を集め終わった。しかしここからが大変なのだ。
人に比べて小柄とは言え40体のゴブリンを埋める穴を掘らなければならない。
スコップも人数分は持ってきていない。
愚痴ってもしょうがない交代しながら掘るしかないか。
四半刻程掘って2体程入る穴が掘れたが先が長い・・・
その時、エマとカルネが声をかけてきた。
「あの、ゴブリンを埋めるのは動物に食べられない様にするためですか?」
「そうだよ。ここは街道だからね。野生の動物が集まってきたら安心して歩けないだろう?」
「燃やしたらダメなんですか?」
「あーそうだね。燃やせれば楽なんだろうけど、死体というのはなかなか燃えないんだよ。大量の薪も必要になるし。」
「私が燃やしましょうか?」
「え?出来るの?」
素が出てしまった。
確かにあの稲妻の魔法なら時間を掛ければ焼けるかもしれないと思いお願いする事にした。
「お願いできるかい?」
「はい。カルネ。初めて見せる魔法を使うから原理を予想してみて。」
「はい、お姉ちゃん。」
二人は子弟関係なのか?
エマがふっと一息つくとゴブリンの周りに炎が広がった。
近くにいた兵士が声を上げて距離をとる。
確かに恐ろしい勢いの炎だが40匹の死体を燃やすには足りない。
その時、背中の方から風が吹いた気がした。
すると風に煽られた炎は大きく燃え上がり、そのまま渦を巻き始めた。
炎の高さは見上げる程高く頂上は見えない。
まるで炎の竜巻だ。
そして炎の色が赤から青、青から白へと変わっていく。
余りの熱さにその場に立っていられなくなったので急いで後ろに下がる。
光の塔となったそれは周りの森を焼き始める。
このままでは森林火災になってしまう。
「エマちゃん!止めるんだ!森が燃えてしまう!」
すると何も無かったように塔は消えた。
「お姉ちゃん、やり過ぎだよ。」とカルネがエマを窘める。
「うぅ、ごめん、早く焼けた方が良いかと思って・・・」
ゴブリンの死体があった方を見るとそこには骨が残っているだけになっていた。
余りの威力に息を呑む。
少しして再起動した私はエマのフォローに入る。
「い、いや、大丈夫だよ!ゴブリンもちゃんと焼けたし!」
エマががっくり肩を落としているが、これ以上フォローの言葉が思い浮かばない。
仕方ないので固まっている兵士達にゴブリンの骨を片付ける様に命令を出した。




