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4話:恩師とティモシーの旦那の死

 すると山里さんが、もしもの時、机の引き出しの中に封筒が入っているから、それを読んでくれ言われた。それに対して、了解しましたと答えて、電話を切った。やがて1974年が明け3月初旬、県立長浜病院から山里哲彦さんが亡くなったと知らせが入った。葬儀は、1974年3月10日以降なら可能だと言われた。


 そこで、山里さんの家を念のため、マスクをつけて山里家を訪問した。そして机の引き出しから封書を見つけて開いた。そのため、山里さんの書いた便せんを読み始めた。それには、私は、家族が亡くなり天涯孤独になった。もしもの時、預貯金の通帳と家の権利証を熊坂に渡すと書いてあった。名義変更し、ここに住んでくれと書いてあった。


 山里さんの菩提寺の名前が買いでありここに葬ってと書いてあった。さらに小さくて良いから私と私の家族の位牌と仏壇を作り海が見える方向に向けて、いつでも海を眺められる様にしておいてくれ!と書いてあった。山里さんが、昔、結核を煩ったので老い先短いと酒を飲むと弱気になったことを思い出した。便せんに書いてある通りに山里哲彦の位牌をつくった。


 そして、山里さんの金で、新しく豪華な仏壇を作った。そして山里さんの家族含め4人の位牌も一緒に並べ、海の方向に位牌を向けた。それらの費用支払い後、山里さんの預貯金は5百万円を超えていた。自分の分を合計して8百万円程になった。山里は、自分の実家に事情を話して一人で住むと伝えた。そして、熊坂は、英語を教えてもらった教会に毎週のように出かけた。


 その後も日曜礼拝を欠かさなかった。その後も法政大学経済学部の通信教育を続けていた。その他、教会に通う外人相手と英語のトレーニングをしていた。この頃には、日本人のクリスチャンが増えた。そのため、日曜礼拝の後1時間、教会で無料、英会話教室を開いた。外人さんばかりの中に1人だけ熊坂だけが日本人の英会話教師として日本語と英語の橋渡し役を務めた。


 そして、英会話を初めての多くの日本人にも、わかりやすく教えるようになった。すると、日本人の生徒が増えて、教会の無料英会話教室が人気となった。また、用事が、出来て、早めに帰る外人さんの代わりに熊坂俊茂が、遅くまで英会話教師になり英会話を教えていた。そのため、熊坂の英語力に磨きがかかった。こうして1976年が明けた。


「この年の春に法政大学夜学を卒業し学士になり卒業証書を手にした」

「この頃、教会で親しくしていた奥さんのティモシーの旦那さんがガンで入院した」

「その後、1年余りのガンとの闘病の末に亡くなった」

「ティモシーが熊坂に自分の旦那の葬儀に来てと言った」


「ティモシーは、幸か不幸か、子供が、いなかった」

「身寄りのない日本で、今後、どうしたら良いか悩んだ」

「熊坂俊茂は、できるだけの協力をしてあげると申し出た」

「あまりに優しい言葉を聞くと彼女は、喜びのあまり熊坂に抱き着いた」


「ティモシーがアメリカに帰っても仕方がない」

「今、私の友人は、全て、教会の仲間たちだと語った」

「ティモシーさんが、どうしたらよいかしらと聞いた」

「熊坂に聞いたので、相談に乗ってあげるよと答えた」


 現状を聞くと本牧の米軍住宅の一角に平屋4LDKの将校住宅に住んでいると語った。収入は、米軍に属していた旦那さんの遺族年金だけだと答えた。仕事はと聞くと無職で専業主婦として生活していたと答えた。そのため、生活のために何か仕事を見つけたいと話した。


 それを聞き、ティモシーにあなたの国籍は、アメリカですよねと聞くとその通りと答えた。それなら、一番手っ取り早いのは、英会話教室の先生になって働くことが良いと提案した。そのために横浜駅周辺で会場を探して、私と一緒に英会話教室でもやりませんかと提案した。


「しかし、具体的にどうやるか全くわからないと言った」

「そこで、熊坂、その計画を実行に移しても良いと提案」

「それを聞いて本当ですか?それは、とてもありがたいので、是非、お願い!」

そういわれて、全面協力を約束した。


 こうして、横浜駅西口、東口の公共の会議室を借りて月千円の月謝で週1回の英会話教室を月、水、金曜日の週3回、16時から17時、17時から18時の2クラス開くと中学、高校生が、最初は、50人位だったが、金髪美人の女性教師がいるとわかると数ヶ月で100人、夏休みには200人まで、ふくれあがった。これにより約10万円ずつ収入を得られる様になった。


 この頃、ティモシーは、一人では寂しいと言い、熊坂を呼んで一緒に夕食を食べる日もあった。こうして2人は、親しくなっていった。こうしてクリスマスの夜、ティモシーが熊坂に特定の彼女がいるかと聞いた。そんな人いないと答えると、あなたも独りぼっちなのと告げた。そこで、自分の恩師の山里さんとの出会いから別れまでの話をした。それは可愛そうと涙を流した。その時、もし良かったら一緒になりませんかと彼女が言った。

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