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神風書記  作者: はつろな
4/5

縁結びの指輪③




「あのチビ神…!」




雲薙は悔しそうに地団駄を踏みながら家へとすごすごと帰っていた。


空も飛べない。指輪もない。あの小さな神様の居場所も分からない。


そんな状況で京を見つけることなど不可能だからだ。

悔しいが仕方がない。

あの指輪は結構気に入っていたがもう未練はない。

ため息を吐きながら実家の表にある神社の階段を登った。



_あれ、私が学校から帰ってきたのって夕方だったよね。

そういえば今何時だろ。

なんで、







なんでまだ陽が沈んでないんだろう。






ナンデマダ、ヒガシズンデナインダロウ。











そこに思考が向いた時、雲薙の頭の中で何かが弾けた。


そうだ、そうだよ!

私はさっき京といた時に1回意識とサヨナラしてる。その時はもう陽は沈みきろうとしてた!

だからスマホを持って京を追いかけたんだ。



じゃあなんでまだ沈んでないの?


景色はいつもと同じ。でも何か違う。





『チカラノニオイ…ボジイ…! ヨゴゼェェェェ!』


「…なに…なんの声!?」




夕陽の暖かい光がが当たる神社の階段。

それは小さい頃からの馴染みのある場所で、そこで違和感なんて感じたことは無かった。


でも今は。


階段に響く、聞いたことの無い禍々しい声。

京とは正反対の聞くと背筋が凍る声。



思考回路がぐちゃぐちゃになり今自分が何を考えているのかすら分からない。

そして分からないことすら分からない。


ただ1つわかるのは


【逃げなければ命が危ない】


という事。

人間の生存本能なのかは知らないが直感的に分かるということはそういうことなんだろうか。

震える足を何とか動かし、どこから発されているのかも分からない声から逃げるようにして階段を駆け上がる。




「ヨゴゼェェェェ!」


「ひぃっ!」




恐る恐る後ろを振り返ったら黒い色をしたナニカがこちらに迫ってきている。


ヤバイヤバイヤバイヤバイ…!


脳内に巡るその言葉を一つ一つ理解するのですら時間がかかる。



刹那。


ナニカと目が合った。




「……あ…」




ダメだ。

これは逃げられない。

さっきから何かを欲しがっているけど私は今、特別なものなんて持ってない。

なんで私なのよ、もっといるでしょ他に誰か。


一瞬、頭の隅に青色の着物が思い出される。



_京なんて追いかけなければよかった。

これで死んだら呪ってやる。



ナニカが雲薙に手のようなものを伸ばす。

黒い液体に濡れる手が雲薙に触れそうになる。





しかし。


その手が雲薙に届くことはない。






「…邪神よ、消えろ。その人の子が穢れるだろう」







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