エピローグ 英雄譚には
一年後。
あの後、肉を切り出し、骨髄を抜いた骨の扱いについて、王国議会は思わぬ方針を決定した。
骨格を、そのまま記念碑とし、建築に利用する事。
邪竜の骨は、石材よりも固く軽い。耐久性についても、各地に残る竜の骨格化石によって証明済みだ。
国土都市省は領国を含めた全域に向けて建築職人を募り、この建築事業を推進した。
こうして。
王都の中央に、公園兼用の野外劇場が完成した。
「ティナちゃん、そろそろね」
隣に座るルシャ先輩が小声で言う。
「ええ」
頷いて舞台を見る。
舞台の上では、こけら落としの芝居公演が始まった。
それは邪竜退治の物語。
英雄が正しき心と神の加護を得て邪竜を討つ力を与えられる。
王国軍と協力した英雄は、邪竜との激しい戦いを繰り広げる。神は奇跡によって王国民を守るが、戦いは膠着していく。
英雄が全ての力を込めて放った勇気の矢が、舞台の半分を占める程に巨大な邪竜の頭を射貫く。
頭が吹き飛ぶと共に、邪竜の身体はガラガラと崩れ去った。
英雄は弓を掲げ神に感謝を捧げ、王も、神官も、市民達も奴隷も、彼を囲み讃える。
その熱狂は観客の拍手を呼び覚まし、そして、喝采の中、幕が引かれた。
幕の下りた劇場に、拍手が響き続ける。
へえ、凄い。
野外劇場なのに、骨が音を反響させ、屋内劇場みたいな音響効果がある。確かに、台詞もよく響いて聞こえていた。
どうやら、この劇場の建設もまた。
職人が、関わっていたようだ。
読んでいただき、ありがとうございました。
例の映画のタイトルと評価を聞いて、「そんなに駄目になるアイデアかなぁ」と思いつつ、その映画の元ネタと思われる書籍をイメージして、ファンタジー仕立てで書いてみました(まわりくどい)。
世界観は、自作「倉橋寛は追放されたい」と共通です。
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