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3:いざ、アリフラの世界へ

本日三話目



 [始まりの都市 エアリーズ]



 エリア名が暗い視界に表示されて、それから周囲の光景が切り替わっていく。気が付くと、私は何処かに立っていた。

 どうやら初期スポーン地点は砂浜のようで、打ち付ける波の音に背後を振り返れば、揺れる大海原が遥か先まで続いていた。



「砂浜スタート?」



 周囲には私と同じくアリフラを新しく始めたのであろう初期装備のプレイヤー達がキョロキョロと辺りを見渡している。



「とりあえずステータスでも見てみるか」



すぐ近くにあった風化して材質のよく分からなくなった門のようなオブジェクトにもたれかかり、ステータスウィンドウを開く。



――――――――――――

 PN:ロダメア=アレキサンドラ

 LV:1

 種族:ティムシーカー

 職業:魔法使い(0)

 HP:100

 MP:50

STR:10

VIT:10

DEX:10

AGI:10

MND:10

LUC:10


スキル・魔法

なし


――装備――

右手:始まりの杖

左手:――

 頭:始まりの魔法帽

 胴:始まりの魔法着(上)

 腰:始まりの魔法着(下)

 足:始まりの靴

装1:――


――――――――――――



「ザ・初期ステータスって感じ」



 種族ごとのステータスの差異は成長に伴って現れるようで、初期状態ではどの種族でもこのステータスになるらしい。


 装備は右手左手と頭、胴、腰、足。

 装1というのはアクセサリースロットのことで、腕装備みたいなものはないらしい。


 あとは……職業の横の数字。これは職業レベルのことらしい。

 魔法使いは基礎職なので職業レベル20まで。今はまだギルドへの登録を終えていないためレベルは0で、何の魔法も覚えていない。

 というわけで早速魔法使いギルドに行こう。初期から持っていたエアリーズの地図を表示させて、私は人で賑わう街中へと歩いて行った。



――――



 活気あふれる街の中を少し歩いて、目的の場所に着いた。

 マップ上ではギルド区域と表示されるこの辺りにはその名の通り様々なギルドが密集して並んでいて、当然魔法使いギルドもこの中にある。

 通りに入って三つ目の、妙に古めかしい建物がそれだ。


 ボロいドアの蝶番を軋ませながら中に入ってみると、内装は意外と綺麗だった。

 とりあえず、入ってすぐのところにあるカウンターに一人NPCがいるので話しかける。頭上に表示された名前はミハリエル=ヴォーガン。役職は受付と書いてあった。



「どのようなご用件で?」


「ギルドに入りたいんですけど」


「ふむ……ヴィ・スラ・シャ・ルア?」


「リ・エクサ・ラン・ゼラム」



 急に設定言語が変わったわけではなく、そういう合言葉だ。本来は特定のNPCから聞く必要があるらしいんだけど、wikiに載っていたのでそのまま使わせていただいた。

 解読班によると、問いかけが「汝が求めるのは何か」で答えが「私は根源に到りたい」というような意味らしい。根源って何?

 ……というか解読班とかいるのかこのゲーム。考察クランとかもあるらしいし、それだけ情報量が多いってことなのかな。



「聞き届けた。君が魔を求める限り、我々は君を受け入れよう……さあ、鍵を渡そう」



 受付の男が指を鳴らすと同時に、首筋にパチッと静電気のような一瞬の痺れを感じた。



「これで君はいつでも我々のギルドへと辿り着ける。目印は鹿の首だ」



 そう言って彼が指差す先を見れば、ドアノブの無い扉に取り付けられた、鹿を模ったドアノッカーが目に入る。

 その前には一人の男が立っていて、彼はドアノッカーで戸を一度叩き、一瞬のうちにフッと何処かへと消え去ってしまった。

 魔法感が溢れてるなあ……。



「そういえば君、ティムシーカーだけど魔法は覚えていないのかい? 種族で受け継がれている魔法があるはずだけど」


「種族で受け継がれている魔法? ……あ、そういえば」



 思い当たってインベントリを開くと、初心者歓迎キャンペーンとやらで送られてきたらしい回復薬などの消耗品とともに「命を守る為の魔法書」という名前のアイテムを所持していた。そういえば種族特性に書いてあったな……。

 これはどうやら消費することでいくつかの魔法を覚えられるものらしい。早速「使用」を選択してみると、目の前に現れた魔導書がパラララと風に吹かれたかのようにめくられていき、やがてほどけるように消えてしまった。



――――

スキル・魔法


――通常魔法――

《ファイヤボール》

《アイシクルエッジ》

《サンダーアロー》

――ティムシーカー魔法――

燃えよ(イース)

荒ぶる波(ティルア)

拒む壁(フォージ)

水よ滴れ(フーラー)

荒ぶ風(レギメス)



 魔法使いレベルが上がったことで入手した魔法と合わせて一気に魔法が増えた。おそらくティムシーカー魔法とやらが魔法書で入手した魔法だ。


 こういうのは実際に使ってみて覚えたいのでどこかモンスターの出現するフィールドに行きたいんだけど……今日は全国的に夏休み前最後の登校日。どこも今日はまともに授業なんかやらないだろうし実質夏休み初日と言っても差し支えない。

 私みたいに今日からアリフラデビュー! ってプレイヤーはたくさんいるだろうし、というか既に初期装備のプレイヤー多かったし、何が言いたいかというと人が少なめのエリアでレベル上げをしたいってことよ。



「んー……丁度良く人のいない場所とかないかな……」



 アリフラには12の都市エリアが存在して、その間にはメインエリアと呼ばれる大きなフィールドが存在する。次の都市エリアに向かうためにはその前のメインエリアのボスを倒さないといけないというシステムだ。

 今私がいるのは始まりの都市エアリーズ。次の都市エリアとの間には英雄街道ナルズロードというメインエリアがあり、wikiでは初心者がレベル上げを行う場所として推奨している。


 私みたいに序盤の情報をネットで入手する人間ならその通りにナルズロードでレベル上げを行うだろうし、そうでなくともメインエリアである以上言われなくてもそこでレベル上げを行うプレイヤーは多いはず。

 つまり絶対に人が多い。できれば他のところでレベル上げしたいんだよな。


 エアリーズに隣接するフィールドは『英雄街道ナルズロード』『ソラリスの銀丘』『四季森林フォストリア』の三つ。

 ソラリスの銀丘は推奨レベルがかなり高いらしく現状の自分では歯が立たなそうなので、レベル上げを目的とするならフォストリア一択になる。

 なんか掲示板の書き込みを見る限り結構過疎ってるらしいし丁度いい。


 受付の人に礼を言って、私はフォストリアへ向かった。


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