伝説の石〜地図
他にもいろいろ質問した。怜君は能力者なのか、とか、神聖石はどこにあるのかとか。仲間になってはもらえないかとか。
なぜそんなことを聞いたかというと、もし、怜君が能力者であるのなら、協力してくれれば、これ以上心強いこともないし、僕ら二人は(いや、少なくとも僕は)能力に興味がない、というよりむしろ普通の人でよかったわけで、神聖石が手に入れられるのであれば、直で行った方が早いからだ。
だが、そんな甘いものではなかった。
「俺は能力者だが、リミットルームすら使えないお前らと組する気はない」
とか、
「神聖石の場所を知っていたら俺がゆうに手に入れている」
とか、全然甘かった。
そうだよな、とか思いつつ、お礼を言って、去ろうとした時、
「ちなみに、神聖石の力を手に入れるには能力者であることが、絶対条件らしい」
と、言われ、能力者になることを余儀なくされた僕だった。それとリミットルームについて聞きたかったのだが、恐らく能力に関係するものだろう、聞くにはまだ早いかなと思い、それに怜君もこれ以上は疲れるだろうと思い、今日のところはお礼を言い帰ることにした。
そして次の日、僕は光秀の家へ向かった。電話もしたのだが、何ぶん電話に……くだらないダジャレになりそうだったので、これ以上言うのはやめにしよう。
玄関先でチャイムを鳴らし、大きな声で、
「み〜つひ〜で君」
と呼ぶと、ダダダダダ。いつもの、二階から降りてくる音が聞こえた。
「よう、どうした」
光秀は今起きたのか、パジャマ姿に寝ぼけまなこ、ついでにあくびまでする始末。僕は呆れながらも
「どうした?じゃないよ、早く伝説の石を探しに行こう」
「お前、場所分かるのか?」
「あっ!」
しまった。それを計算に入れてなかった。
「だろ?どうしようもねぇじゃん」
「ちょっと待って」
僕はもう少しで何かを思いだしそうだった。……そうだ!
「無結晶の地図は家の倉庫にあったんだから、まだあるかもしれない。一緒に探してみようよ。」
「分かった、じゃあ準備すっからそこで待ってろ」
……そして十分後。
「よし、行くぞ」
そして僕ん家の倉庫に向かった。
「翔、あったか?」
「う〜ん、ないなあ」
ガサゴソと探すものの、地図らしきものはみつからない。みつかったのは、昔の錆びた刀やら、ボロボロの絵やら。
たまに猫やコウモリの赤ちゃんが出る時もあるのだが、今回は出なかった。まあ、じいちゃんが定期的に掃除しているからな。
二階もあるというのに、三時間でまだ一階の一部分しか探せてない。今日中に全部調べきれるだろうか?
……そして日の光も力を失って倉庫の中はだいぶ暗くなっていた。
「ハァ、ハァ、こりゃあねぇぜ、翔」
「諦めんなよ光秀。また明日調べよう」
「そうだな」
「この地図以外に本当にないのかなあ」
僕は、無結晶の地図を拡げたまま外に出た。
日が沈んで暗くなっていたのではなく、それは軽く、雨が降っていたからだった。
「おい翔、地図、濡れてるぞ」
「あっ、やばっ」
そして急いで僕の家の中に入った。
光秀は地図を見ると、
「おい、貸せ」
と、僕から地図を奪いとり、雨の中に入って行った。
「そんなことしたら地図が……?」
光秀は地図を拡げたままじっと見ている。
「翔、これは……」
肩を震わせながら地図を見ている光秀を不思議に思いながら後ろから光秀の持っているそれを覗きこむと、なんと、地図が日本地図に変わっており、複数のマークが追加されている。
僕達が行った無結晶の場所には三点リーダーのマーク、他には太陽のマーク、四角のマーク、山のマーク、があった。太陽や四角のマークはたくさん点在していたが、三点リーダーと山のマークは一つずつしかなかった。
すみません、だいぶ遅れました。次はもう少し早いペースでうてるかなぁ。