伝説の石
伝説の石を手に入れるも、妹の様子は良くならない。
翔は伝説の石に詳しい人物、紺城さんに会いに行き、伝説の石は
4種類あることが判明。しかし、それしかわからず、結局、さらに
詳しく知っているという孫(僕たちにとっては同級生)の紺城怜君に会いに行くことに。
学校中をさがしたが、見つからず、帰り道に声をかけてきたのは
なんと怜君だった。いつも、けんかをうっているらしい怜君は
僕たちにも殴りかかってきた。
主な登場人物
翔……小六で主人公である僕 光秀……僕の親友 美智子……学校の級長を務めている
「伝説の石!」
間一髪、光秀の鼻先で怜君の拳は止まっていた。
怜君が僕の方に振り向く。
「何だと?」
僕は言い直した。
「伝説の石って知ってる?」
「で、伝説の石……」
"伝説の石"と聞いて明らかに怜君の表情が変わった。
「ま、まさか、お前らは能力者?」
光秀は怜君のすんでのパンチに口をパクパクさせていたが、ようやく、まともに口を開いた。
「能力者だと?お前は何を知っているんだ、怜」
「フ、フ、とぼけているのか?」
怜君の額からは冷や汗らしきものがでている。
「怜君、僕らは願いが叶うといわれている、伝説の石を探している」
怜君は相変わらず黙ったまま、こちらを直視している。
「そして見つけたんだ。実は今持ってる。秘霊石を。ほら、翔、見せてやれよ」
僕はあの無人島で手に入れた、秘霊石?をカバンから袋ごと取り出すと怜君に見せた。
「成る程。フ、フハハハハ。そういうことか。お前らは何もわかっていない」
僕と光秀は一瞬、顔を見合わせた。
「どういうことだ?」
「お前らに教えてやる義理も義務も必要もないが、ここまで辿り着いたんだ、石について教えてやるよ!」
「ありがとう、怜君」
怜君は上からものを見る目になると、
「フンッ。全く笑わせる。お前ら、そのお前らがいう秘霊石で本当に願いが叶ったか?」
「そっ、それは今から叶うだろうよ」
光秀は確信が持てないのだろう。ちなみに僕も確信は持てない。むしろ叶わないんじゃないかという考えの方が強い。
「トンガリ、お前は本当におめでたい奴だ。そっちの優等生はわかっているみたいだぜ。そうだ、お前の考えているように、この石では願いはかなわん。どうしてだと思う?」
「それは、伝説の石には四種類あるから?」
「さすが優等生。トンガリとは訳が違う」
何だと、このっ。と光秀は小さな声でそう言ったが、それ以上は我慢してくれたようだ。助かる。肝心なところを聞き逃すわけにはいかない。
「その通りだ。詳しく話せば、それは伝説の石の一つ、無結晶だ。無結晶の力は能力を消す、それだけだ」
僕は聞いているうちに一つの疑問が浮上した。
「さっきから聞く能力や能力者って?」
「だからそれを今から説明する。だいたい伝説の石っていうのは能力に関するものなんだ」
「えっ、じゃあ願いを叶えられる石なんて存在しないの?」
僕は心の中で何かが崩れゆく感覚を得た。と、同時に泣きそうになった。
「だから、最後までよく聞け!さっきも言った通り、伝説の石ってのは能力を手に入れるもの。だが一つだけ例外がある」
「それが神聖石……か」
「トンガリにしては物分かりがいいな。そうだ、神聖石はひとつだけ願いを叶える石なんだ」
やはり、思ってた通りだった。
「能力、と言っていたが、具体的にどんななんだ?」
「例えば、劣聖石の場合、手に入れたのが行く力だとすると、何処へでも行くことができる。つまりワープできるんだ。そして秘霊石はさらにその能力をアップさせるものだ。無結晶と神聖石は……さっき言ったな」
……、凄く曖昧でわかりづらい。光秀の方を見ると、……うん、彼も分かっていないようだ。片手を顎にあてて悩んでいた。
そんな僕らを見て、怜君は
「まあ、能力を手にいれれば分かる」
2010.11/3
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