魔王の末路~未来へむけて
魔王は、
「馬鹿なっ。僕の秘技から逃れる術などハッ、もしや、先程のリバウンド・ゼロ
の余韻が……しかし、封じることは出来なかったようだな。今一度使えば済む話
」
魔王達は再び、ハァァァァァ、と力をため始めた。
怜君は、
「さっきの夢で、思い出した、奴の能力はなんだと思う?」
「どういうことだ、怜」
光秀は訊いた。
「つまりだ、翔、奴を倒せるのはお前しかいない!何故なら、奴の分身能力は増
殖、つまり木属性、勝てるのは水属性しかない。つーか、勝てるとしたら、ここ
しかないっ」
みんな頷いた。しかし、ん? 待てよ。
「でも怜君、僕は火属性の技と土属性のリミットブレイクしか持ってないよ。リ
ミットブレイクは使ってしまったし」
怜君は人差し指をたてて、いいか、と話しはじめ、
「戒からもらったものがあったろ?」
「でもあれは劣化して……」
怜君はだからだ、と言い、……何が言いたいんだろう?
「戒の意識をここに呼び寄せる、天使界は意思の力が強く作用される、と源爺に
ならったな?」
あっ。
「四人で強く念じれば、戒の力を使えるかもしれない。いいか?」
魔王はまだ力をためている。
「わかったわ」
「任せとけ」
「うん、わかった」
僕達は固まって、手を合わせた。(僕は左手を)
戒さん、今一度、僕達に力を!
「くらえ、アクアスプレッド!」
指先から出たそれは、紛れもなく、完璧なアクアスプレッドだった。弾丸の如き
の速さで魔王にあたったそれは、爆発、魔王全員を包みこみ、魔王は消滅してい
く。
「おのれぇぇぇ、翔!しかし、地球は滅びる、今からそれを想像するのが、楽し
みだ。そして、未来にお前も倒される運命だ。覚えていろっ!」
と、言って消えていった。級長が見届けた後、
「ああはなりたくないわね」
と言った。
僕は恥ずかくて下を向いて、そうだね、と言った。
その後、薫さんや、殺し屋、晴美が来て、敵は倒していたが、隕石をかたずける
のに手こづった、すまない、といって来た。つまり、終わったのだ。
その後、いくら戒さんの技を使っても、アクアスプレッドは出なかった。
そして、源さんに報告したり、三浦さんに報告したり、じいちゃんに報告したり
、帰ってからが忙しかった。
病院に行き、静とずっと話をしたりもした。光秀は夏休みの宿題を遅れて提出し
たものの、今までの冒険を書いただけなのに、素晴らしい出来だ、と先生に言わ
れ、金賞をとっていた。なんか、ずるい。
ちなみに、戒さんの遺品であるタイムマシーンは僕の机の中に眠っている。
来年、四人ともみんな同じ中学に入り、夏休みになった。今、その四人は源さ
ん家に集まっている。
「じゃあ、約束どおり、神聖石は先に見つけた方のものだな?」
怜君は確認している。美智子は、
「ルールがあります。悪用はしないこと」
「あったりき」
と、光秀。
「うん、いいよ」
と、僕。
「では、よーい、スタート!」
級長が手をたたいて、みんなが走り出した。どこに向かうのかはわからない。し
かし、誰かが見つけるのだ。僕は、もちろん、僕の未来を、運命を変えるため。
「見つけた、神聖石」
触れると全身が濃い緑色に光った。
「僕の願いは、リミットブレイクを一時的にかなり強化して欲しいってこと」
これでよし。
「リバウンド・ゼロ」
終わりました。とうとう、終わりました。
かなり、寂しいものや悲しいものもあるものの、
完結できた、という達成感もあります。
ラストは筆者にとってはいい出来だったと思うの
ですが、どうだったでしょうか?
次なる作品に向けて努力したいと思います。
今まで、ご愛読、ありがとうございました。
2011/10/05
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
ここでちょっとした翔の住む『未来』の力をお披露目したいと
思います。では、Show-翔-魔王をごらんください。
いずれ、いしの力の続編も書きたい、と思っていますのでよろしくお願いします。