決意を胸に・真
異界の扉をくぐり抜けると、そこは、洞窟の中みたいで何かの結晶がところどこ
ろにある、とても神秘的な場所だった。怜君が一番奥でたたずんでいた。
「怜君!」
僕が呼びかけると、怜君は前を向いたままで、
「はめられた」
と言い、続けて、前を見てみろ、翔。と、言った。
僕が前を見ると、巨大な石があった。五角すいに五角柱をたしたような石が五本
、横に並列され、大きさは真ん中が一番高く、横にいくにしたがって小さくなっ
ていた。
「これが……」
「そう、神聖石だ」
怜君は、だがな、と続けて
「力を失っているんだ」
「え?」
良く考えてみろ、と怜君。何故、俺達の時代で神聖石は誰も手に入れられなかっ
たのかを。何故、伝説とされていたのかを。それは、情報が、全くなかったから
だ。天使界で検索しても、反応すらしない。
あの女(美智子さん)は、この場所を知っていて、俺達をここに導いた。つまり、
誰かが神聖石の力を手にした後だったんだ。
「え……」
僕は言葉が続かなかった。なんて言えばいいんだろう?このまま未来で過ごして
いくしかないのか?
「その通りよ」
後ろで声が聞こえたと思ったら、美智子さんだった。怜君は、
「どういうつもりだ!」
と、つっかかった。
美智子さんは冷静に
「どういうつもりでもないわ。この時代に、戒さんが来たことがあってね」
「え?」
そう言えば、戒さん、そんなことを言ってたっけ。
「この箱を過去からくるかもしれない、勇者にって。この場所でないとダメなよ
うに縛ってあるみたい。源史郎さんも一枚かんでいるかもね」
怜君はチッ、そういうことか、あのじじい、と悪態をついていたが、僕には良く
わからない。
美智子さんは、私にはどうやっても何も起こらなかった、と言っていた。
しかし、箱を触っても何も起こらない。
美智子さんは、
「戒さんから何か、残されたものはない?」
「何も……」
怜君がもしかしたら、と言った時、僕も思い出した。時を止める能力、これしか
ない。
そう思い、一応、怜君の手をとって、箱に能力弾を撃ち込んだ。すると、目の前
の光景がぐらぐらと曲がり、(その際、美智子さんは手を振っていた)気がつくと
、源さんの家の中にいた。
あれはタイムマシーンだったんだろうか? 戒さん……。
急に僕は悲しくなった。 そして、
みんなはいなかったが、源さんは一人そこにいた。源さんは、
「戻ってきたか。土産はもってきたんじゃろうな?」
僕と怜君は顔を見合せ、
「もちろん」
と言った。
今がいつなのか訊くと、今さっき、みんなが魔王を倒しに出ていったばっかりで
、今、僕と怜君に奥義を使ったばっかりだと言う。怜君は、
「こうなること、わかっていたな、源爺」
「まあ、の。ただ、あのままじゃ、君らが見た未来の通りになるのはわかっとっ
たんでな」
そして源さんは、みんなには、二人はトイレで遅れる、と言っておいたから、早
く行っておやり。と、なんと爆弾発言をした。
あれから十分は、たっている。
急いで外に出ると、みんなからトイレ長いぞ~、とのブーイング。怜君はなんと
かごまかしていたが。
僕は決意を決めた。
真剣な顔で、
「みんな、訊いて欲しいことがある、魔王は、未来の僕なんだ」
最初は光秀、級長はからかっていたが、晴美や条達が下を向いているのを見て、
さとったみたいで、急に空気が重くなった。僕は言葉を続ける。
「地球を守るためなんてかっこいいことは言わない。けど、大事な人を守るため
、未来の僕を倒すため、今の僕に力を貸して欲しい!」
晴美が、
「ハッ、何だ、もう覚悟は出来てんのか。まあ、俺がぶっちで(未来の)お前を倒
すのは変わらねぇがな。」
条は
「えらいよ、翔君。君なら、出来る気がする」
愛さんは
「サポートは私に任せて」
級長は僕の背中を思いっきりたたき、
「私、今の翔に味方するからね」
光秀は僕の左肩に手をおき、
「ま、未来の根性曲がりのお前を正してやろうぜ」
怜君も光秀とは反対側の肩に手をおき、
「俺の力でよければ、いくらでもかしてやる。……翔、準備はいいか?」
と、それぞれの言葉を僕は受け、僕達は今、
「じゃあ、行こう! 僕達の物語を終わらせるために! そして、必ず倒そう、
新しく紡がられる未来のために!」
出発する。
もうそろそろクライマックスです。
翔と魔王はどんな結末をむかえるのか、
そして、残りの二人とは?
そしてそして、地球やみんなの運命は!
次回、最終回、涙のあとに、乞うご期待!
なんちゃって。まだ題名やラストにするかは決まってないです。
筆者、最後にかっこつけました。
すみません。
度々すみません。怜と翔の言葉を忘れていました。
更新しましたのでよろしくお願いします。