リミットブレイク
しかし、どうやって倒そう? 今、僕にある力は、見たものを元に戻す力。そし
て、盾でガードした能力を吸収する力。
吸収した能力を二つまでストックする力。
そして、今ストックしている二つの力は、倍にする力と止める力。
これらの力でどうやってドラゴンに勝つか……無理だー。
まず、僕は止める力を指先から弾丸のように、打ち出し、ドラゴンの時を止めた。
十五秒、考える時間を得た。
アクアスプレッド、と、口に出して言ったが、実際に出たのは、能力弾
一発で爆発もしなかった。ちょっと恥ずかしい。吸収し、ストックした能力は少
し、劣化するらしい。どうするか。
怜君の倍にする力を出してみた。木刀一本分の能力刀だった。盾と木刀や盾と弾
は同時には使えないようだ。
じゃあ、能力刀と能力弾は?
結果、出来なかった。
両方出すことはできたが、能力弾を発射すると、能力刀が消え、能力刀を壁に
当てると、能力弾が出なかった。一度に一つの能力しか使えないらしい。
なら、能力を合体して一つの力として使えば?
僕は右手の能力刀と左手の能力弾の力を練り合わせ、合成するイメージを創った
。すると、両手には日本刀のような、長い能力刀が握られていた。
新しい能力の発現だった。ドラゴンの時も動き出し、尻尾を振っている。
テイルアタックだとわかっていた僕はドラゴンの真下に潜り込み、能力刀を突き
刺した。
……が、何も起こらない。どゆこと?
僕はすぐさま端へと走るとドラゴンは爪で引っ掻き攻撃をしてきた。
攻撃を避けてからからドラゴンをみると、明らかに先ほどより、しわが入ってい
る。
? どういう能力だったんだ?
その後、ドラゴンは弱々しく咆哮すると、倒れ、十秒もすると、骨だけになった
。
つまり、時を止める+倍にする=時を急激に加速するだったのか。
能力刀はドラゴンに刺しっぱなしだったから、倍にする能力がどんどん進んで、
こうなったのか。我ながら恐ろしい能力だ。
だけど、やったぞ。一人で。僕はガッツポーズを決めた。
その後、どこからか、またしても声が聞こえた。
よくやった、光と闇を心に持つものよ、私は、神の意志を継ぐもの。今ここにそ
なたに新たな力を授けよう。
と、聞こえると、中心に四角い光る台座が出現し、僕はそれに触れた。
すると、僕の体が薄緑色に光り、新たな力を手に入れた。
声は言った。
そなたに少し説明しよう。上位の能力には属性がつく。火は水に強く、水は木に
強く、木は土に強く、土は火に強い。この通り、四属性があり、火、水、木、土
はそれぞれ、侵食(だんだん強くなる)、広域(広がる)、増殖(増える)、封印(弱め
る、無効化)の真意がある。先の能力の合体したあれは、火の属性になる。そして
、今、手に入れた力、リミットブレイクは土の属性。
名をリバウンド・ゼロ、という。
反復させない、つまり、一度戻したことをもう、二度と起こさせない技だ
。基本的にリミットブレイクは一日に一回しか使えない。よく考えて使う時を選
ぶのだな。
「源さんに、秘霊石はリミットブレイクか属性かどっちかって聞いたんだけど」
そなたの場合、リミットブレイクだったというだけだ。そして、リミットブレイ
クは上位能力、つまり属性がつく、それだけのことだ。質問は以上か? さらば
だ、光と闇の力を持つものよ。
と聞こえると、光に包まれ、気づくと、美智子さんのいた天使界に戻っていた。
あの集落へと行くと、美智子さんが待っていた。
「おかえり」
「ただいま」
少し、話をした。
「そう。あの時地球を襲って来たのは、未来のあなただったの。なすすべもなく
やられたわ」
「そうだったんだ」
「あなたを倒せるのは、あなたしかいないと思ってる。頑張ってね」
そして、怜君は先に神聖石の眠る地へ向かったという。僕も休む間もなく、美智
子さんに異界の扉を開いてもらい、その地に向かうのだった。
最近、有名な小説やマンガを読んでいますが、同じ、人、という
人種が書いていないんじゃないかって程の完成度にびっくり
します。やっぱり、経験や知識の絶対量が少ないと、ああは
いかないと思います。
筆者があの域に達するには……。
何十年かかるのかなあ。