完成、僕らの必殺技
「そうか、わかった。お前はわがままだ。だが、その心に強い意志を秘めてると
見た。世界が救われるのか、それとも……。お前は神(運命)に勝てるのか、見届
けさせてもらおう。そして、今新たな力をお前に授けよう」
その声が聞こえた後、僕は薄緑色の光に包まれ、
「技の名は因果応報。ガードした相手の技を吸収し、返すことができる。また、
相手の技は二つまでストックできる。では行け、勇者よ」
そして、またしても、光の扉が現れ、それをくぐると、源さんの家の前だった。
家はしんと静まりかえっているようだ。何かを察し、後ろを見てみると、
光秀がうーららー、と飛んでいた。すごい、反発しないで、飛べてる!
それほどの力を手に入れた、ということだろう。でも、
何とかマンかお前は、と奴の額をきゅうげきにどつきたくなった。
光秀は僕に気づくと、僕の元に降りてきた。
「光秀、必殺技は?」
「うーん、高速で飛んで、能力を纏った一撃でもいいかなって」
「名前は?」
ジェットパンチ、とにこやかに話す奴だった。
次に、級長のところに二人で向かうと、ちょうど、戻るところだったみたいで、
話しかけると、
「必殺技? できたわよ。ドリームマジック。二十分以内なら、変化する前の状
態に勝手に戻すことができる」
なるほど。簡単そうで難しい必殺技だな。
最後に怜君の元へ。すでに完成しているかと思っていた怜君の必殺技はまだ、完
成していなかった。
怜君に話しかけると、
「以前とは違うことが二つある。まず、あの時はすでに奴にかすり傷程度のダメ
ージを与えていたこと。次に暴走していたこと。最初から必殺技でダメージを与
える方法がわからないのと、暴走させないと、力の行き来がかなり、ゆっくりだ
、ということだ。」
と、難点を話してくれた。十秒で八倍だそうだ。十分使えそうな気がしたので、
それはそれでいいんじゃない?と僕は言ったが、それなら四回、両木刀を当てた
方がいいと言う。
僕と怜君があーだ、こーだ話していると、光秀の、
「だったら分ければ良いのか」
と言う声が聞こえてきた。光秀と級長の話は、光秀の髪が、単調過ぎるので、ど
ーにかしなさいよ、という話によるものだったが、怜君は、
「閃いた、ナイス、トンガリ」
と言うと、立ち上がり、カウンターフラワーの前に立った。両木刀を交差させて
力をため(行き来させ)、十秒たった後、左手に能力を固定、右手で縦に勢いよく
、木刀をふりおろしたあと、左手の能力を纏った一撃で、カウンターフラワーを
見事に粉砕した。
僕達はあっけにとられていた。つまり、普通の木刀による打撃の後に、能力を纏
った一撃、と、役割を分けたわけだ。まあ、最初に能力を倍増させているけど。
「完成だ、加重カウンター。ほら、何、ボケーっとしてる、もう行くぞ」
そして、僕達は怜君について行き、源さんの家へ。
「ほぉ~、みな、必殺技が完成したわけか」
源さんは興味深い、みせてくれんか? というので、皆、各自必殺技を見せるこ
とに。見せた後に一人一人にアドバイスをくれた。
「美智子ちゃんは後は発想力の問題じゃな」
「翔君は……、悪くない」
「光秀君は改良の余地あり、じゃな」
「怜は、その必殺技でいいのかの」
怜君は問題ない、と言うとさっさとベッドに入っていった。僕達もその後、寝る
ことにした。
そして、ミーティング。
「秘霊石についてじゃが……」
と源さんはきりだし、意外な言葉を発した。
「手に入れなくてもいいんじゃなかろうか」
怜君は反発、
「何故だ、源爺」
「秘霊石はな、属性を付加するものや、リミットブレイクを使えるようにできる
ものがあるんじゃが、どちらも上級者用のもの、お主らが使うと逆に弱くなる可
能性だってある。いや、確実に弱くなる。今のお前達だって充分強い。大丈夫じ
ゃ。戒を追っていきなさい」
筆者も必殺技が欲しい今日このごろであります。
ひじぐりぐりアタックとか、横に頭を回転させて
相手にぶつける、ヘッドスクリュー、とか。