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滅んでしまった世界

そして、僕とじいちゃんは家に帰った。両親にこっぴどくしかられたのは言うま

でもない。しかられた後の言葉が、これだ。

「勉強はともかく、宿題は済んだの?」

あ……。その後、親と宿題をする羽目に。


気づけば両腕を組んで机に寝ていたらしい。

はっ、宿題!と思って見てみると、案の定、終わってない。お父さんとお母さん

は……。

お父さんは隣で寝ていた。僕はホッとして反対側の隣を見た。

そこにはお母さんがいた。立ったままだ。

「あ、お母さ……」

目を疑った。お母さんは目を開いて立ったまま、動いていない。父親を再び見る

。見たところ、父親は普通に見えるが、腹が動いてない。

呼吸してない!?


お母さんもだ。え、え、どーゆう事? どーしたらいいんだろう? そうだ、

僕は以前見た物をもとに戻す能力者だった。盾を出す。そして、つい最近の明る

い家族をイメージ、そしてそれを現実に……、うわっ!

僕はまるで圧縮した空気が一気に開放されるような勢いで盾に弾き飛ばされた

。そのままタンスにぶつかり、気を失ってしまった。

「翔、起きろ、翔」

ん?ウニがしゃべってる。

「僕、ウニは嫌いだから」

そして再び目を閉じる。

ウニと何かが話している。

「はぁ、どーする?」

「緊急事態なのよ、無理矢理にでも起こすわよ。翔、起きなさい!」

頬に衝撃が走った。と、同時に目が覚めた。

目の前には級長と光秀が。級長の手を見るとどうやらビンタされたらしい。

「翔、状況、わかってる?」

級長が心配そうに顔を覗きこむ。光秀は後ろで女ってこえ~、と言っているのが

聞こえた。

「え……と、そうだ、お父さんとお母さんが」

まわりを見ると両親は人形のように先程と変わらない姿でそこにいた。

「夢じゃなかった」

僕は泣きそうになった、が。

「翔、泣いてる暇はないぜ。お前の両親だけじゃない、俺や美智子の親もだ。そ

れだけじゃない、電気もつかない水道の蛇口から水もでない、俺達も混乱してた

んだ。」


「俺が学校に行ったら美智子がいて、翔の家にも行ってみようってことで来てみ

たらお前が倒れてたんだ」

「そうだったんだ。僕は確か、能力を使ってこのおかしな現象を元に戻そうとしたら盾に飛ばされたんだ」

「何でだ?何で飛ばされたんだろう」

光秀は頭をひねっている。いきなり級長が両手を叩いて、

「わかった。今、リミットルームで確かめたから間違いない」

え?何が?と、光秀。

僕もリミットルームを使って見た。これは! なんと、辺り一面薄緑色に輝いてい

た。お母さんやお父さん、机や椅子、宿題までも全てだ。僕はおずおずと、

「つまり、これは、能力者の仕業?」

「そう。そして翔が盾に飛ばされたのは、能力の反発と考えれば説明がつくでし

ょ?」

級長の把握能力にはいつも驚かされる。

光秀はあることに気づいたようで、

「ちょっと待て。水もでないんたぞ。生きていけないし、トイレだって臭くなる

ぞ。それまでにその能力者を倒すなんて俺たちだけで、ましてや死ぬ前に倒すな

んて不可能だ」

僕にはある人を頼るしか出来ない。

「源さんに、会いにいこう。何か知っているかも知れない」


外に出ると、いつもと違い、街の中はシンと静まりかえっている。人はいるが

、僕ら以外の人は止まっている。八百屋のおじさんと話している僕の隣のおばち

ゃん、や公園で遊んでいる子供達、など。リミットルームを使うと全てが淡く輝

いていて、昔やったゲームの滅んでしまった世界を彷彿させられる。

「これは……」

僕はめまいがした。こんなの僕の住んでる世界じゃない、と言いたかった。たが

、この世界はもう現実なのだ。


「もしかして、おっぱい揉み放題じゃね」

光秀がまたアホなことを言い出した。

後ろにいる級長がいつの間にか空中に五角形を描いている。ゾクッと僕は悪寒が

した。



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