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旅の終わり、そして始まり(2)

「やだよ、そんなのめんどくせー。第一あるかどうかもわからないんだろ?夏休みの宿題も終わらないし」

光秀はボールを片付けに入っていた。僕も食い下がるようについて行った。

「頼む」

「いやだ」

「実は……」

「何だ、何かあるのか、嘘でごまかそうったってそうはいかないぞ」

「実は妹が不治の病にかかったんだ。僕は妹を助けたい。それには秘霊石が必要なんだ。だから……」

この時、僕はどんな顔をしていただろう。

「そんな顔すんなって、わかった、この会田光秀、全力を持って協力させてもらう」

「ありがとう」

「なーに、いいってことよ。それに、伝説の石を求めて、なんて、面白い自由研究に使えるじゃないか」

僕は笑ってしまった。光秀らしい。

「あ、笑ったな、パクるなよ」

「まねないよ」

「ちょっと、そこの二人」

僕と光秀の話に割り込んできたのは級長、もとい小沢美智子だった。僕が先に反応した。

「級長、どうしたの?」

「今の話、聞いていたわ。人の命がかかるとあっちゃあ、ほっとけないわ、私も仲間に入れて」

「え〜、どうする、翔」

「僕はいいよ。人数は二人より三人のほうが心強いし」

「……、あそ、お前ってなんつーかな、お気楽思考な。危ない目に会うかもしんねーんだぞ。仮にも女の子を危険な目にあわせられるか」

「確かに」

美智子は光秀の手をつねった。

「いって!」

「仮にって何よ。私はちゃんとした女の子よ。それに危ない目にあうかもしれないということは十分承知しているわ。だから私も仲間に……」

「いいよ」

「お前なあ……ま、いっか」

こうして三人で行くことに決まった。

そしてそれからが大変だった。何しろ、子供三人で冒険するわけでお金は僕のじいちゃんに渡されたものがあったが、宿をとる時や船を借りたりその操縦士を雇う時に信じてもらえないことが多かった。そんな中、一人の操縦士に出会った。

「ああ?船を借りたい?付き添いの大人は?」

僕が応えた。

「いません」

「はっ、馬鹿正直な奴だな。だが大人がいねぇのなら、船は貸せねぇ。お父ちゃんを連れてこい」

「お願いします。私達には船が必要なの」

級長も頼んでくれたが、貸せないの一点張りだった。次に光秀が、だが。

「頼むよおっちゃん。ほら、金ならこんなに持ってるしさ」

と、光秀が言うと、その人はギロリと僕達を一瞥し、

「ボンボンの道楽かよぉ〜、やっぱり船は貸せねぇな」

と、もうダメか、と思ったが、理由を説明してみた。すると、意外にも骨を折ってくれた。

「なるほど、そんな理由が。妹のためにあるかもわからない石を探しにねぇ。いい話じゃねぇか、よし、金はいらねぇ、貸したる。俺は三浦(みうら)、今度から船借りる時は俺に言え」

「ありがとうございます」

みんなで三浦さんにお礼を言うと、

僕らの旅が始まった。


そして紆余曲折を経て、無人島に着いた。洞窟の中は暗く、回りの岩は地面も含めてゴツゴツしていた。

そして最深部に着き、今に至る。


「これ、石というより、砂のようね」

級長が少し遅れて追いついた。

「そうだな。本当にこれがあの秘霊石なのかよ、翔」

「う〜ん、どうだろ?でも見て、この砂、懐中電灯に当てるとキラキラ光るよ。たぶんこれに間違いないよ。……それに他にはゴツゴツした岩しかないし」



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