表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/41

殺し屋デス

その同年代にしか見えない包帯眼帯男が聞いてきた。

「何者だ」

僕と光秀は突然の出来事にまたしても混乱していた。

え~と、プールにダイブしたら、別の世界に来て後ろに恐竜が、と思ったら、その恐竜が破裂して、その後ろには包帯眼帯男が……。って、なんじゃそりゃー。

「光秀君、翔君、しっかりしろ、奴は……殺し屋だ」

殺し屋は言った。

「無駄な殺生はしない。私は殺し屋デス」

光秀がこそこそと、僕に耳打ちした。

「ずいぶん丁寧な殺し屋だな」

戒さんは真面目な顔してつっこんだ。

「違う。名前がデスだ。それよりも奴の指先には気をつけろ、右手の人差し指のほんの先っちょだ。それが奴の効果範囲だ」

僕は頭の中で整理した。

「つまり、殺し屋の右手の人差し指に触れると、破裂する、と言うことですか?」

「そうだ」

デスが名前だと聞いて笑っていた光秀の顔が凍りついた。僕はもう何がなんだかわからなくて恐怖感なんてとっくに麻痺してた。

殺し屋は話しを続ける。

「交渉しないか?お前らがあの劣聖石を諦める代わりに、お前らの命を助ける。どうだ、お得だろう?」

殺し屋の後ろには、あの、ウニのような岩、劣聖石があった。僕は諦める気満々で、もちろん戒さんもそうだろう、と思っていたのだが、そうではなかった。

戒さんは右手を銃のように構えると撃つ仕草をした。

「馬鹿を言うな、こいつら二人には手に負えないレベルだが、俺は能力者だ。しかも遠距離のな。勝ち目がないのはお前の方だぞ、殺し屋デスよ。お前が殺し屋たる所以を俺は知っている」

殺し屋はチッ、と舌打ちすると、

「今、私を殺しておかなかったこと、後悔することになるぞ」

と言い、すぅっと消えた。

「はぁ~、ドキドキした」

光秀は手を胸にあてて、溜め息をついている。

「僕はそれ以上にわからないことだらけで、思考停止状態だったよ」

僕も溜め息をついた。

「わからないことがあったら、今のうち、どうぞ」

戒さんは片手を広げてそう言った。

ひとつひとつ、聞いていこうと思う。

まず、この世界は?

この世界は天使界と呼ばれるところで、元は天使達が住んでいたところなんだ。

さっき言っていた、能力者にだけ見える扉、異界の扉をくぐり抜けた先にそれはある。

そしてそこには必ず劣聖石とそれを守るモンスターがいるんだ。さっきの恐竜はそれだね。

恐竜が破裂したのは?

おいおい、そんなこともわからないのかい?それはデスの能力だよ。

能力者なのに何でデスはここに?

能力を狙ってきたんだろうね。たぶん殺し屋だから主がいるんじゃないかな。

でも異界の扉はたくさんあるのに、デスがここにくる確率って?

確かに確率で言えば、かなり低い。

……けどこれは迷信のようなものだけど、力のある石の意思が人を引き寄せると聞いたことがある。

さっき戒さんが言っていた、デスの殺し屋たる所以というのは?

ああ、それはデスの能力の範囲は右手の人差し指のほんの先っちょだ。能力と能力は反発するのは知ってるね。

能力者同士が戦う場合、それを利用して相手の能力の侵食を防御するんだが、デスの場合、それができない。しかし、能力は破裂させるという強大なもの。

……つまり、対能力者には向いていない。暗殺向けなのさ。

デスが消えたのは?

入って来たところから出ただけだよ。一つの天使界につき、三つくらい入り口があるからね。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ