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ダブルフォース~決断

「だから、ほれ、能力を無くしたいのか、使いこなしたいのか、どっちかな?」

級長は下を向き、悩んでいるようだ。

「美智子、悩む必要なんてないだろ」

「そうだよ、級長、無くしたい、と言いなよ」

級長の答えは僕らの予想に反したものだった。

級長は前を向き、決意に満ちた目でこう言った。

「私、使いこなしたいです」

僕と光秀は級長を見たが、その瞳は変わらなかった。ゲンさん(源史朗さん)は自分の足のふとももをポンッと叩くと、

「わかった。では君の能力を使いやすいように縛ろう」

「縛る?」

僕は疑問に思った。先程、能力で、級長の能力のことがわかったのではなかったのか。じゃあ……縛るって?考えてもわからない。

「さて、普段は能力を封じた状態にしよう。だが、一時的に能力を使う時、何の仕草を能力発動の又、能力を封じる、鍵にしたい、かな?普段生活してて、しないことがいいと思うのじゃが」

級長は顎に手を当てて、悩んだかと思えば、すぐに答えた。

「発動は空中に五角形を描く、封印は空中に三角形を描く。で、お願いします」

「その通りにしよう」

ゲンさんは今度は右手を級長の額に当てた。

「よし、終わりじゃ。ためしに翔君に触ってごらん」

級長は僕に触れようとしているが、その手はプルプル震えている。

僕は目をつむった。ゲンさんを信じていないわけじゃないけど。記憶によれば、リュックを箱に変化させて、それを元に戻した。

つまり、能力を使ったのは二回。あと一回残っている。級長が僕を触れる時考えることって?そんなことを考えていると、悲鳴が聞こえた。

「ぎゃ~、神様、どうか、死ぬ時は女の子に囲まれて死にたかった」

目を開くと、光秀が大袈裟に演技していた。級長、どうやら光秀に触れたらしい。だが、光秀は光秀のままだった。

「良かった」

級長は胸を撫で下ろしている。

「ふっふっふ」

ゲンさんは笑いっぱなしだった。

「怜君にお礼言わないと」

「美智子、その前にお礼言うべき人が他にいるだろ?」

「あ」

その後、僕達はゲンさんにお礼を言った。


級長はリミットルーム(能力の範囲が見えるようになる技)を使えるようになりたいと、いいだし、ゲンさんはそれを了承した。

僕が、次に能力を手に入れるのに、能力者がいないのは痛いと、言ったら、ゲンさんが、能力者の孫を貸してやろう、というのでそれで妥協した。

「ところで先程言っていた、怜君とは?もしや、坊のことかな?」

話しているうち、怜君は小さい時、ゲンさんの弟子で、坊、と呼ばれていたことが判明した。光秀が、今度からかってやろ、と言っていた。やめとけって。

「プチ仙人、プチ仙人ってな、山が小さいからじゃろうか、かわいかったもんじゃ」

……怜君は、身長が小さいからだと言っていたが、さすがにそんなことは言えない。つーか、身長二メートルぐらいの仙人がいたら、それはそれで恐いと思うが。

何故能力を二つ持ってるのかを聞くと、

「左手は分かる力、右手は縛る力。普通は能力を二つ手に入れるなどできん。能力と能力は反発するからな。わしは……。まあ、いづれ、坊にでも聞くといい。だが、この力を得る為には、あまりにリスクが高すぎた」

そう言ったゲンさんの目はどこか、遠いところを見ていた。

それから、僕達は級長と別れ、帰ることにした。


帰り道。

「光秀、僕、今、思い出したんだけど、怜君、無結晶は能力を消す力だと言ってた。あれ使えば、級長の能力、消せてあげられたんじゃないかな?」

「ああ、そう言えばそうだっけな。でもあいつがああ決めたんだから、もう、いいじゃねぇか」

辺りは真っ暗だ。

「それと何で級長はあんなに嫌がっていた能力を逆にコントロールしようと決めたんだろう?」

「ああ、もう、細かいこと言いっこなし。俺達は男子。乙女の心が分かるはずないだろう?」

暗い道、街の光目指して、人工的に作られた山道を歩む二人。星を見る。

なぁ、上(星)と下(街)の光、どっちが好き?

僕?う~ん、どっちも。

ふ~ん。

くだらないことをだべりながら帰る二人、真夏の夜の日だった。




頑張ります。まだまだ続きます。

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