表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/192

「選択肢をやる」

「つ、着いた……」


 二人は前に行った小屋の前に辿り着く事が出来た。肩を上下に動かし、息を整える。後ろを確認するが誰も追いかけて来てはいない。林の途中で巻く事が出来た。


「中に入ろう!」


 それでも静空は慌てて小屋のドアを勢いよく開けた。


「待ってよ、いきなりそんな──」

「急がないと男子達が来るかもしれないじゃん!!」


 慌てながら彼女は小屋の中に入り周りを見回し、麗羅も戸惑いながらもおそるおそる周り見る。


 小屋の中は静かで、前回出迎えてくれた男性、明人がいない。少年のカクリも姿を見せず、人の気配がない。


「もしかして、不在──とか? 嘘でしょ!?」


 小屋の中を見回し静空は顔を青くし、麗羅もその場にしゃがんでしまった。静空が言った通り博打だったらしく、二人は賭けに負けた。


「そんな、なんで──」


 麗羅はあんな事を言っていたが期待しており、この状況をどうにかしてくれると思っていた。

 二人は絶望の表情を浮かべ、麗羅は涙をこぼす。もうどうすればいいのかわからない二人は、体から力が向け座り込んでしまった。


「このまま帰る訳にも――……」


 静空が瞳を揺らしながら床を見つめていると、頭上から男性の声が聞こえた。


「おやおや、大丈夫ですか?」


 二人は男性の落ち着いた声にバッと顔を上げる。そこには微笑みを浮かべ、手を差し伸べている明人の姿があった。


「随分お急ぎですね。申し訳ありません、お出迎えが遅くなりました」

「あ、いや……」

「さぁ、とりあえずこちらへ」


 彼は二人を立たせ、ソファーへと座らせる。


「では、お話を──」


 明人が話出そうとした時、麗羅が口を開いた。


「あの、手……、怪我ですか?」

「えっ?! 幽霊も怪我するの?!」

「こらっ!!!」


 麗羅は彼の手を掴み立ち上がった時、巻かれていた包帯が目に入り質問した。それを聞いていた静空が、見当違いな事を口にしたため麗羅は慌てて怒り口を塞ぐ。


「幽霊、ですか?」

「えっ、いや。その……」


 麗羅は何とかごまかせないか考えるが、何か思いつく前に静空が明人に目線を向け、麗華の撮った写メについて質問した。


「貴方は何者ですか? 幽霊? 吸血鬼?」

「なぜそのような事を?」

「貴方がカメラに映らなかったからです」


 静空は迷う事なくキッパリと言い切った。

 隣で麗羅がオロオロと二人を交互に見ていると、彼が優しい微笑みを消し顔を俯かせ。今度は妖しい笑みへと切り替え顔を上げた。


「なるほどな。なら、隠しても無駄らしい」


 明人の言葉使いと表情に二人は何か、不気味なものを感じ取り目を見開き固まってしまった。

 今まで感じた事のない空気。ぞわっと体が反応し、二人は冷や汗を流し、彼からは目を離せず、見続けていた。


「おい、いつまで固まってやがる。さっきまでの威勢はどうした」


 彼の問いかけにやっと我に返り、二人はハッとする。気を取り直し、静空が口を開いた。


「えっと、猫かぶりさん。貴方何者?」

「猫かぶりは認めよう。だが、そんな呼び方される筋合いはねぇ」


 静空の言葉にそれだけを返して、明人は不機嫌そうに足を組み眉間に皺を寄せる。その時に奥のドアが開き、そこからはカクリが平然とした表情で出てきた。

 明人は横目で確認し、すぐに視線を二人に戻した。


「まず、お前らがここに来た経緯を話してもらおうか」


 明人の言葉に二人は困惑しながらも、ここで答えなければどうする事も出来ない状況なため、話す他何も出来なかった。


 ☆


「はめられたってわけか。つーか、普通に気づけよ」

「すいません……」


 麗羅はガクッと肩を落とし、静空は頭を撫でてあげる。だが、静空自身麗華を疑っていたところもあったため、彼の言葉を否定する事は無かった。


「なら、林の中でさっきからウザイ動きをしている人間四体は、その男子どもって訳か」

「人間……」

「四体って……。普通に四人って言ってあげて…………」


 明人の言葉に呆れる二人だが、そんなのお構い無しに彼は考え事を進める。顎に手を当て真剣な表情をしている彼に見惚れ、目が離せない。麗羅の頬は薄くピンク色に染まてた。


「──顔だけはいいのね」

「俺だからな」


 静空の独り言が耳に入り、彼は簡潔に返した。

 二人は苦笑いを浮かべ明人の考えがまとまるのを待つ事に。そこからは沈黙の時間が流れ始めた。


 カクリは明人の隣に立ち、二人を凝視している。


「えっと、前も思ったけど。なんで子供がここに?」

「明人以外ここにいるのは全員子供のはずなのだけれど。なぜそのような聞き方をする?」


 カクリの冷たい言葉に、二人はこれ以上口を開く事が出来なかった。


 そこからは待つ事しか出来ず、二人はじぃっと明人を見ていた。その視線がうるさく、明人は眉間に皺を寄せたかと思うと鋭い目を二人に向けた。


「うるせぇ」

「な、にも言っていないのですが……。すいません」


 麗羅は素直に謝り、静空は握り拳を作っていた。さすがに明人の態度に怒りが芽生え、殴りたい感情を拳を握る事で抑え込んでいる様子だ。


「お前らに三つの選択肢をやる」


 いきなり口を開いかと思うと、明人は自身の右手を上げ三本指を立て言い放った。

ここまで読んでいただきありがとうございます

次回も読んで頂けると嬉しいです


出来れば評価などよろしくお願いします(❁´ω`❁)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ