美しすぎる私
なんちゃって西洋風
主人公達は侯爵家です。
私は美しい。
とても、美しい。
神に愛されたといわれる美の集結と口々に言われる。
昔、城下町に降りた際、誘拐計画を立てられたそうだが、私のあまりの美しさに誘拐予定犯は、改心し教会に懺悔をした。
私が微笑めば周囲は華やぎ、私がため息をつけば、皆が憂いて頭を悩ます。両親にも妹にも愛されて、全ての人が私のために生きているような錯覚を覚えた。
皆が誉めるから、ますます美しくなるよう努めた。
美しくなればなるほど、良いと思っていた。
ただ、平凡な妹の苦悩を知ってしまってから、美しすぎるのも罪だと知った。
パーティーの日、いつものように人に囲まれていると、妹が会場を去っていくのを見かけた。少し休みたいからと人払いをして、妹の跡を着けてみると、妹は私の誕生日なのにとしゃがみこんで泣いていた。
泣いている妹を見て、妹がパーティーで人と話しているところをみたことがないことに気がついた。
慌てて会場に戻り、妹を構うように周りに伝えたけれど、妹を探す素振りもなければ、挨拶をしたのだから充分だと言われる始末。
このままではいけない、妹の心が壊れてしまう!
美の女神再来と言われる私に美しさは勝てないだろうが、他のもので妹が秀でるものはないか探すことにした。
そして、自らの努力と実力で私に打ち勝ち自信をつけて欲しい。
ピアノ、ハープ、声楽、絵画、刺繍、詩、華道、語学、歴史‥様々な習い事を妹と行ったが、元々の器用さと年齢差で私ばかり目立ってしまう。
神よ、私を愛しすぎです。
ここまでの才能は不要です。
どうにか、妹がひねくれないか祈る日々