表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美しいモノが好きなので  作者: 天翔
2/13

2.新しい世界へ

 ゲームの中での第一王子は黒髪黒目の美しい青年だ。凛とした美人で文武両道。とても私好みの見た目ではある。そんな彼は、とても冷徹である。


 有望な男女を自身の従者として囲み、王となった時に相応の場へ配置できるようにしている。身分を問わずに選び抜かれた精鋭達で、彼が自ら雇用した。平民から選ばれたものもおり、彼に大きな恩を持っている。その一方で、弟達に仕えている者の中でも国の害となりそうな者は全て解雇した。弟達には事情を一切伝えずに。第一王子は人の才能を見抜く事に長けているが、自身に利となる者以外への対応が雑なのだ。




「実はね、僕の治める世界はそのゲームを基準にできてるんだ。それで、ゲーム通りの第一王子だとどのルートに進んでも王位継承で色々と揉めちゃって、エーテル国滅んじゃうんだよね。」




 まあ、それはそうだろう。第一王子以外のルートであれば第一王子がヒロインに絆される事なく嫌がらせを続け、第二、第三王子及びその臣下を敵に回す。第一王子ルートであれば強い力を持つヒロインが第一王子を選ぶ事で、敵対心を強めた第三王子が臣下の口車に乗せられて反逆する。そんな未来しか見えない。どう転んでも王子達の仲が悪すぎる。




「ゲームと内容が食い違ったところで世界が滅ぶなんて事はないんだけどね、流石に舞台となるエーテル国がなくなると世界もなくなっちゃうんだよ。そんなの嫌だからね、主神様にお願いしたら君を第一王子に転生させたら良いんじゃないかって。」




 彼はなんて事の無い様に残酷な事を告げた。それじゃあ、私が今まで積み上げてきたものは何だったのだ。まだやらないといけない事もやりたい事も沢山あったというのに。




「流石にね、君の人生を潰しちゃった訳だし罪悪感はあるよ?だからね、君が今までに積み上げてきた分を僕の世界で使えるスキルに置き換えようと思うんだ。良い案でしょ?」




 私が苦言を申し立てても意味はないのだろう。私は彼にとって都合の良かった人間。彼の提案は巻き込まれた私に対する只の慈悲だ。




「私がそちらの世界に行く事は決定事項なのですね。」


「もちろんだよ!僕これでも驚いてるんだよ?もっと泣きわめくものかと思ってたからさ!」


「創作している関係上、私の世界の神について学ぶ機会が多かったのです。そこから私は神と人がまともに対話できると考えておりません。何もなしに放り出されるよりかは良いかと思いまして。」




 もしここで騒ぎ立てて、彼の機嫌を損ね何も持たされないまま転生したところで私に何かできるとは思えない。第一王子と同じだけの能力を得ても私が使いこなせる訳ではないだろう。であれば、彼に従うのが吉だ。元より、私の恋愛対象に性別は関係ない。第一王子としての務めは果たせるだろう。




「ふふふ、物分かりの良い子で良かったぁ。ちょっとオマケして記憶能力のスキルレベル上げちゃう。人の名前とか覚えられなかったら大変だもんね。あと、王子の口調は変わって欲しくないから、変換機能付けてあげる。君の言いたい事を第一王子らしく発せられるよ。


はいこれ、君のステータス。分からないのがあったら聞いて。ちなみにスキルレベルの上限は10。学問とかは年代に応じて上がりやすさが変わるようになってるよ。」






――――――――――――――――――――


リシャール・ペルナント  Lv.1  男性


属性:闇


年齢:0歳


職業:王子


称号:異世界転生者(秘匿済)




スキル一覧


〇生産


【執筆 Lv.9】【衣装製作 Lv.4】【絵画 Lv.5】【調理 Lv.8】


【調合 Lv.2】【作詞 Lv.3】【作曲 Lv.3】【陶芸 Lv.2】


〇採集


【植物解析 Lv.7】


〇魔法/魔術


〇強化


〇知識


【記憶 Lv10】【算術 Lv.8】【言語 Lv.8】【異国語 Lv.5】


【古代語 Lv.2】


〇その他


【空間把握 Lv.3】【鑑定 Lv.10】【隠蔽 Lv.4】


――――――――――――――――――――




 ……興味の赴くままにかじってきたものがスキルとなって表れると少し恥ずかしいな。隠蔽のレベルが4な事に対しては、少し高くはないかという疑問があるけれど低いよりかは良いだろう。




「鑑定のスキルはあなたからのプレゼントですか?」


「そうだよ。毒盛られて死んじゃうとか最悪でしょ?」




最初からこれだけのスキルを扱える上に、第一王子であるならば生きる事に苦労はしないだろう。ただでさえ、第一王子はチートキャラであったのだから。




「ほかに何か必要なものある?」


「いえ、これだけで十分です。」


最初から力が大き過ぎては危険な者として扱われる可能性が高い。それは避けなければ。




「そう。ならば、送ろうか。……僕の名はジョルジュ。虹とサンドリヨンの世界における最高神だ。もし何かあれば協会に立ち寄るといい。多少なら力を貸すよ。」


「数々のご恩情、ありがとうございます。ジョルジュ様のご期待に沿える様、精進させていただきます。」


私の言葉を聞き遂げると、彼は愉快な者を見るかの様に笑った。




……徐々に目の前が暗くなっていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ