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美しいモノが好きなので  作者: 天翔
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1.神との遭遇

 ゆっくりと意識が浮上する。体が重い。昨日は確か、友人と私の家で飲んで……?その後どうしたっけか。よく覚えてはないけどフワフワとした物に包まれている感じからベットには辿り着いたのだろう。よくやったぞ、昨日の私。


「あっれー、まだ起きないの?僕の計算では、もう起きてもおかしくないんだけどなぁ。」

男性の声というには少々高く透明感のある声。……誰の声だ。昨日会った友人達の中でこんな声をした人はいないぞ。


 うっすらと目を開け、ぼんやりとした視界の中周囲を確認する。私のいる場所は草原のような場所。確実に私のいた世界とは違う。私のいる世界には金に煌めく羊なんていないし、馬が空を飛ぶ事も無い。私を包んでいるのは純白の綿の様なもの。とても心地よい。色々と突っ込み所のある現状ではあるけれど、これだけで全部うやむやにできる気がする。……気がするだけではあるが。

 現状、一番重要なのは目の前にいる金髪碧眼の美少年。彼が着ている古代ローマ風の服は薄く光り神秘的な雰囲気を放っている。体は多少細いが無駄なく付いた筋肉は男性的な美しさを、切れ長の目は知的さを醸し出している。また少年にしては少し長めの髪により、女性的な美しさも兼ね備えている。人間というには整い過ぎた顔で、お人形さんと言った方がしっくりくる。


「なぁんだ、ちょっと微睡んでいただけなんだね。ふふ、計算を間違えてなくて良かった。」

ゆるりと微笑む少年はいたく美しく、つい見惚れてしまった。


「えっと、島崎結実さんで合ってるよね。職業が作家の。」

「ええ、そうです。」


 正確には作家ではなくシナリオライターだけれど、違う世界の人にそこまで言っても通じはしないだろうから黙っておこう。細かな違いとか説明できないからね。


「二ホンの言葉って僕達の世界の言葉と似てないから読みにくくて苦手。主神様ってばもっと言葉の壁を考えて欲しいよぉ。ヨーロッパだっけ?そこら辺の言葉の発音はまだ親しみあったのに。」

少し眉をひそめ、口を尖らせる姿でさえ絵になる程美しい。あー、可愛い。目の保養になる。


「って、そんな事はどうでも良いんだった。あのね“虹とサンドリヨン”っていうゲーム知ってるでしょ?」

「私の友人達が作った物ですので、一通りは。」


 かなり有名になった乙女ゲームだ。攻略対象は最初は五人。舞台となるエーテル国の第二王子、第三王子を筆頭として、現騎士団長の息子、現魔法団長の息子、現宰相の息子。そこに隠し攻略対象として第一王子と現研究院長が加わる。隠し攻略対象以外には全員許嫁が存在し、彼女等が各ルートでの主要お邪魔キャラとなる。

 かなり王道なものであるが、有名となった理由の一つが、ハッピーエンドにおいてお邪魔キャラとなった彼女等を断罪せず、和解し友人となる点である。友人曰く、ずっと許嫁として傍にいた所を横から奪い取られたら怒って当然である、という満場一致での意見によるものらしい。ちなみに彼女等はエンドの後、幸せに暮らしているという事がヒロインに送られてきた手紙によって判明している。彼女等への待遇はプレイヤーからも中々良い評判を得ているそうだ。


「君にはね、そこの第一王子として転生して欲しいんだ。」

「……はい?」


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