滅ぼしの国2
朝、イクコ大陸の国境付近、東西南北に各国の敵兵隊がたくさんきている。
アナラ王国、セイコク共和国、サルテイシア合衆国、3つの国から攻められている。特に危険なのがサルテイシア合衆国だ。あまりなも広大な国力で東と北から攻めてきている。
ベアトリスは、首都でテレビ通話で各戦線のリーダーに報告や連絡をしている。
まだ、戦闘は始まっていないらしい。お互いにらみ合いのようだ。
北は大きい湖ハラヤがあり、そこが国境となっているため海上戦が予想される。サルテイシア合衆国の戦艦は新型モデルだった。おおかた魔導法国から大金を払って輸入してきたものだろう。しかし、我々は自分たちの力で作ったある秘密兵器があるのだ。
南、西はあまり注意しなくてもいいだろう。どっちもイクコと比べて軍事力が低い。気にするまでもない。
東のサルテイシアはやはり、魔法兵器をたくさん用意しているようだ。しかし、ここも我が国の秘密兵器を試す場となるだろう。
しかし、一番の問題はA級に匹敵すると言われているB級犯罪組織の黄金の悪魔。あの国の騎士団を壊滅させた、凄まじい力。そして、我々の歴代の王とその市民を笑いながら屠る残虐性。やつらが来るというのだしかもこの戦争が始まるという時に。
ああ、私が5人くらい欲しい。
そんなこともいってられない。さあ、戦争が始まります。
「んー、いい朝だ。」
イクコの王様ユーリアはベアトリスが開戦の激を飛ばしている時に起きていた。なんとも責任感のない王様だろう。そう、執事達は思っていた。しかし、ベアトリス本人から起こさなくていいと言われていたのでまっていた。
「ユーリア王、おはようございます。」
「おはよう、ラパン。今日の朝食は何かな?」
「今日はラグネスのカルパッチョ、シーランの目玉ベーコン焼き、コンソメスープでございます。その他にいつも用意してある食べ物好きなだけいただいてください。」
ユーリアは少しがっかりした。ラグネスのカルパッチョはまずいのだ。なんといってもあの独特な臭みあれが無理なのだ。生理的に無理なのだ。中にはあの臭みがくせになりやめられないという人がいるみたいだ。
「そうか…着替えていくから準備よろしく。」
そう伝えると、執事達は部屋から出ていき。朝の準備とベアトリスにユーリアが起きたことを伝えにいった。
「はー、ラグネスを食べ物に考えたやつまじ頭おかしいわ。」
そう、呟きながらユーリアは鏡の前で今日自分が着る服を選んでいた。
「これも似合うな、いやーでもこれかな?」
ユーリアは結構オシャレが好きだ。なのでだらしない服装のやつが嫌いである。
今日着る服を選んで、着ながらスマプを触りだした。
そして、思い出してしまった。寝て忘れていたのが一気に呼び戻された。そう、現実逃避する時間はもう終わりなのだ。
「まじかー、何々明朝イクコ亜人国で三国同時侵略〰️ーー!?しかも黄金の悪魔の影あり!だとーー。ヤバいヤバいにげねーど。」
さっさと服をきて、自分のリュックサックを見つけ必要な物を入れていた。そして、決心した。亡命しようと。
「えーっと、どこか私を迎え入れてくれる国はないかしら。ないよなー。だって私黒血人とのハーフだし。」
「デスーヒトミー、スマプみてー。なんか戦争はじまってるよ。」
デスは気力の修行をしていた。この修行は幻想砂漠にいたときからしていた。気力は訓練するほど練度があがり使いやすくなる。例えば覚えたての人が気力を出そうとするとなん十分もかかる。練習することにより、より気力を扱えるようになるのだ。
デスは気力の達人ヒトミに教えてもらっていた。基本朝と夜毎日訓練している。
「どういうことじゃ?」
アリスは説明をした。
「なるほど、ヒトミとプルトが都市を破壊したおかげで、三国から侵略させられてんだな。」
「そういうことになるね。」
これでは、イクコ亜人国が滅びてしまう。自分たちが滅ぼす前に。
デスは頭を抱えた。その様子をみて、ヒトミは一つ提案をした。
「のう、デス。滅ぼす国はイクコじゃないといけないのかのう。」
「いや、別にいいが。」
「なら、こういうのはどうじゃ?今イクコ亜人国に三国が攻めておる。いってしまえばその三国の軍事力はイクコの方に少しでも集まっておるということになっておる。これは、攻めておる三国も滅ぼしやすいと思うじゃが。しかも、相手は今自分が攻めておる立場じゃ。逆に攻められたら虚をつくと思わんか。」
なるほどーーー!!じじいのくせにいいこと思いつくな。
「いいな、それ。そうしよう。」
「どこの国せめるの?」
アリスが首を傾げてそう聞いてきた。決まっているそんなの。
「三国、3つ、全部だ。」
~サルテイシア合衆国~
上空に三人の影がある。
「じゃあくじ通りここはヒトミ担当な。」
「ぬ~、しっておるか?ここの国相当広いぞ?」
「大丈夫大丈夫、作戦通りにすれば楽々だから。」
「じゃあいってくる。」
「いってきます。プルト、ワープよろしく。」
~アラナ王国~
「よっしゃあ、ここが俺が担当の所かなかなかいい建物だな。滅ぼしたあとこの建物貰おうかな。」
「デス、気をつけてね。」
「アリスも気をつけるんだぞ。」
プルトとアリスはワープした。
~セイコク共和国~
「ふー、ここがセイコク共和国か。」
「ご主人様本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫だよプルト。私強いから。さあ、一緒に滅ぼそう。」
作戦とはこうだ。まず。各々その国の首都を滅ぼす。これは国の中枢を壊し国を麻痺させ動かせなくするためだ。イクコ亜人国の時は最後のメインディッシュとして首都を最後まで残していたが今回は三人がそれぞれバラけるのであまり悠長なことはしないことにした。そして、滅ぼしたら、スマプで連絡し、プルトがワープさせる。プルトの凄い所はプルトが近くにいなくても、ワープさせることができるところだ。転移魔法とは格が違う。そもそもそれができないとアリスに危害が加わる可能性があるので了承してくれなかっただろう。アリス一人だけで国を滅ぼすといった時もアリスが賛同していなかったらプルトは反対していただろう。
~サルテイシア合衆国~
サルテイシアの首都は火の海と化していた。
ヒトミが空を飛びながらサルテイシアの兵器の攻撃を避けているのだ。
その、弾幕が町に降り注ぎ町が炎に包まれている。町の人達は逃げ惑っている。いろいろな声が響きあい、阿鼻叫喚となっている。
「黄金の悪魔のヒトミだわー、みんなにげきをゃさぎ」
ヒトミの名前を叫びながら、サルテイシアのミサイル弾に当たり亡くなっている人もいた。
「ほうほう、わしはなにもしておらんのに町はもうめちゃくちゃじゃのう。」
そういいながらもヒトミは華麗にいくもの弾幕を避けていく。
「飽きてきたわい。これで終わりじゃ!」
ヒトミの体から大量の気力が溢れだし、凝縮され銀色に輝きた。
「断罪するスーパーシルバー!!!特大版じゃ!!」
そういって放った一撃はサルテイシア合衆国の国土の半分を消し去った。
「首都ならず、他のもんまでやってしまったのう。」
ヒトミの一撃はとてつもなく大陸全土が揺れた。さらに消し飛んだ陸から海が入り込みとてつもない大きな湖が出来たのだった。
「よし、プルトに連絡するかのう。」
~アラナ王国~
デスは上空で首都を眺めている。どうやって飛んでいるのかというと、自然魔法でせなかに空を飛ぶ植物アルソミトラを生やして飛んでいる。これは、今日思いついた技で、なれてないためかまだ安定していない。
首都を眺めているのはわけがある。城がアラビアの城のような形をしているためだ。それにアラビアの服装もゆったりしていてこの世界に合いそうだ。もういい加減シャツとズボンの毎日はやだ。これからはアラビアンな服装でいこうと思う。
デスは時々突拍子できめてしまうことがある。ようするに気分屋なのだ。
そうと決まれば壊さないようにしないとな。ここは死系統の魔法で一気に殺すか。
そういうと首都全土にいやアラナ王国全土に黒い雲がおおい尽くした。そこから落ちてくる漆黒の雨を一粒でも受けると死んでしまう。悪魔の雨だ。勿論デスには当たらない。血代能力で戻り空間をつくり当たらないようにしている。
デスがなぜこんな強大な魔法を使えるのかそれは血代能力のおかげといってもいいだろう。魔力は減ると元に戻る、それを血代能力で一瞬に戻るようにしているのだ。そして、どんどん手から黒い雲をだしていたのだ。デスの魔法は一瞬で魔力を削る魔法は少ない。それはこの特性をいかすためだ。持続して魔力を使う魔法の方があっている。今回でいうと、黒い雲だ。雲をだふたびに魔力が削られていく。逆をいえば魔力があるたびに雲をだし続けることが出来るのだ。
雲から雨がふっている黒い雲が。漆黒の雨は浸透する。そして浸透して雨漏れをする。そう逃げ場がないのだ。この日アラナ王国の人はほぼ全員死んでしまった。生き残ったのは黒い雲が届いていなかった僅かなところ。国境を警備していた兵隊くらいだ。
「んー、プルトに連絡しなくてもいいかな。」
デスはノリノリで黒い雨を眺めていた。
~セイコク共和国~
アリスとプルトはもくもくと滅ぼしていった。プルトに頼んで空を浮いている。念力のように。プルトはアリスを浮かせながら、ご主人様の魔力がとてつもなく大きくなっているなと思っていた。日に日に強大となっていくアリスの魔法それには訳がある。
それはデスとヒトミの加護がアリスについているからだ。ヒトミの血代能力によってアリスの体は魔法を使うと反対に魔力が増えることになっている。普段いつ出血してもいいように幻想魔法で血を黒色にしている。それはデスとヒトミの子どもだと信じこませるため。それによって日々アリスの魔力は増えている。しかし、ここに問題がある。それは魔力を溜め込める自身の上限値、器の問題である。魔力が溢れだし器が壊れると体から魔力が吹き飛びバラバラになる。そこで、デスの戻す血代能力だ。壊れたら常に速、元に戻すようにしている。いつでも綺麗な器のままなのだ。因みに何時でも綺麗な器だが、常時壊れ戻すをしているので、アリスは常に激痛が全身に走っている。
アリスは最後の町に今の魔力全部を乗せた火炎魔法で一帯を焼き払った。魔力はまた倍になった。全身から今までにない激痛が走ることになった。
「ご主人様、ヒトミ様がきてほしいとのことです。」
「わかった。」
~サルテイシア合衆国~
デスは黒い雨をながめていたら、プルトからスマプで連絡があった。そして、サルテイシア合衆国に飛ばされた。
ヒトミと何故かアリスもいた。みんな上空にいる。それぞれの飛行方法で。
「で、ヒトミとアリスはどうだ?俺はもう滅ぼしたけど。」
デスはドヤ顔でそういった。
「私もできたよ。」
アリスもにっこりしていった。
「わしは多分半分くらいはやったんじゃないかのう。」
ヒトミは情けなさそうにデスとアリスの方をみながらそういっている。
「で、なんで呼んだんだ?」
「面倒いからのう。一発で決めようと思ってのう。もしかしたらお主達も巻き込むかも知れんからのう。わしの後ろにおってくれんかのう。」
デスとアリスはヒトミの後ろにいき、見守った。
ヒトミの体からとてつもない気力が出てくる。無尽蔵にでてくる。
今までで一番そう思わせるくらい濃縮で強大な気力がヒトミの剣に包まれていく。当たりは銀色の光で眩しい。アリスは目を閉じている。開けないのだ。
「いくぞ、衝撃に注意しろ!プルトシールド張っとけ飛ばされないように!」
プルトはあまりの力にご主人様が危ないことを察しシールドを展開した。
「断罪するスーパーシルバー!!!」
落雷の何倍もの音が響いた。鼓膜が破れるのではというくらいの音だ。ほぼ爆風もとんできたがプルトのシールドによって守られた。しかし、ひびが入っていた。妖精の守りにひびをいれるヒトミはとんでもねえやつだなと改めて思うアリスであった。
サルテイシア合衆国の国土はほぼ無くなり。海の面積が増えた。
「これで俺らもA級だな!この光景しっかり写真とろう!てかみんなで写るか。ハイチーズ!」
先程とった写真とアラナ王国でとった写真、アリスがデスに頼まれてとったセイコク共和国のそれぞれ滅びたあとの写真をSMSにアップした。
三国滅ぼしましたとコメントをつけて。
二回地震が起きた。ベアトリスは何か奇妙なことが起きていると感じた。
そして、二回の地震が起きたあと、ベアトリスの副官から連絡がきた。なんでも急いでSMSを見て欲しいとのことだ。
見るとびっくり、今自分たちが攻めている国々の滅びた光景がある。サルテイシアにいたっては一面海でびっくり。本当かどうかはわからないが。他の2つはたしかにその国の建物があるので信憑性が高いだろう。
さらに、報告があった。ビデオ通話からだ。
「報告します。敵の軍が皆引いていきます。」
まだ、秘密兵器をだしていないのにこんなにもあっさり引いてきた。そうかそうか。自国が滅ぼされた可能性があるから撤退したのかな?黄金の悪魔さまさまだな。しかし、イクコを滅ぼすというのはブラフだったのか。まあ、これで一件落着かな。
そういえば、ユーリアどこにいってるんだろう?執事からは起きたと聞いたはずなんだが、また寝たのかな?まあ、なんにせよ愛しのユーリアがいるこの国が滅びなくて良かった。
ユーリアはマントで顔を隠しながら馬車に乗っていた。遠い所に逃げるためだ。
逃げながらスマプを見ていた。すると、なんと戦争に勝ったとでているではないか!
更に攻めてきた三国ともに滅んでいると国際ニュースにでている。
滅ぼしたのは、黄金の悪魔でやつらはA級犯罪組織となったようだ。
へーうちを攻めるんじゃなかったのか。よかったよかった。
「運転手!首都に戻ってくれ!」
ユーリアはにこやかな顔で運転手にそう告げた。
今回の戦争でイクコ亜人国が黄金の悪魔と繋がっているという噂が浮上した。それもそのはず、攻めるといった国ではなくその国を攻めている国を滅ぼしたのだから。裏で繋がりがあるのではないかといわれている。因みにデスはSMSで否定している。
しかし、これによりイクコ亜人国は滅ぼしの国と言われるようになってしまい、他の国から恐れられるようになった。