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ダンジョン攻略

  グレスとパーティを組んで十日が経った今日、俺たちはダンジョンの入り口に来ていた。


「ついに初めてのパーティでのダンジョン攻略か…」


「ギルドの資料室にあった踏破済み階層の情報は覚えておいた、安心して私についてくるといい。」


 そう豪語するグレスは、字の形状が昔と違っていたらしく読むのに多少苦労しながらも、ダンジョンの資料をしっかり読んでいたらしい。


「とりあえず一階層は俺も入った事があるから、様子を見ながら行ける所まで行ってみよう。」


 ある程度の打ち合わせは済ませていたため、簡単な確認をしてダンジョンの入り口をくぐると、体が少し重くなったような気がした。


「魔術制限エリアに入ったな、グレスは平気なのか?」


「全く問題ないな、やはり魔力とやらが無いと影響は無い様だな。」


 パーティを組んだ直後、俺のステータス欄の中にパーティメンバーの項目が追加された。

 まずは現時点の俺のステータスがこれだ。


 ----------------------


 リフ Lv:6

 《E級冒険者》

 種族:人


 HP23/23

 MP20/20

 攻撃力:9

 防御力:7

 魔力:20

 俊敏:35

 幸運:32


【特殊技能】

 光魔術 剣術 俊足


【パーティメンバー】

  グレス


 ----------------------


 どうやらグレスが倒したロックボアの経験値が少し流れたらしく、レベルが一つ上がっていた。

 そして気になるグレスのステータスだが…


 ----------------------


 グレス Lv:??

 《F級冒険者》

 種族:???


 HP460/460

 MP0/0

 攻撃力:510

 防御力:460

 魔力:0

 俊敏:430

 幸運:10


【特殊技能】

 ?????


【パーティメンバー】

 リフ


 ----------------------


 初めて自分のステータス欄からグレスのステータスを見た時は素直に驚いた。

 Dランク相当のロックボアを仕留めた時から強いのは分かっていたが、一部のステータスはAランクの魔物にも匹敵する。

 彼女は意外にもステータスの概念を知らなかったらしく、頭の中に表示された文字列に戸惑っていた。

 レベルのほかに種族と特殊技能が表示されていないのも気になるが、魔力関連のステータスが0なのは何故だろうか。

 この世界の生物は大なり小なり魔力を持っている。

 たとえ赤子でも最低1はあるはずだ。

 グレス曰く、彼女が丘に埋められる前は、何と魔術やステータスは存在しなかったと言う。


 三千年以上前には魔力やステータスが存在しなかったというのは常識の一つだが、そうするとグレスは少なくとも三千年以上あの丘に閉じ込められていた事になる。

 とても信じられないが、おそらく事実なのだろう。

 非表示になっている部分はステータスの概念が生まれる直前まで、何らかの理由で魔力などの影響を受けない状態だったのかもしれない。

 全て推測に過ぎないが、それくらいしか考え付かない。

 それよりも魔力が無いという事は、ダンジョンの制約の影響も受けないのではと思っていたが、どうやら正解だったらしい。

 そんな事を考えていると、グレスが一点を見つめて立ち止まった。


「何かいるな、あれが魔物か?」


 グレスが示した方に注意を向けると、奥の壁に何やら三日月の様な形をしたものが張り付いているのが分かった。


「ロックホッパーだ…この距離で良く気がついたな…」


 その人間の胴体程もある大きなバッタは、洞窟の壁と保護色になっており、素人目ではかなり接近するまで気が付かない事もある。

 その脚力は強く、Fランクの魔物でありながらこの魔術の使えないダンジョンではかなり厄介な相手になる。


「どれ、私がやろう。」


 グレスそう言って身を屈めると、次の瞬間にはロックホッパーの頭だけをその手に持っていた。


「終わったぞ。」


 そう言って魔物の頭から小さな魔石を抜き出し、こちらに放る。

 魔石は魔物が死んだ際にその魔力が結晶化して残った物で、ダンジョンの中の魔物も死ねば魔石は残るが、死体はダンジョンが分解した後に吸収してしまうため、魔石とドロップアイテム以外の素材は回収することが出来ない。


「流石に手際がいいな…この調子ならかなり深層まで行けるんじゃないか?」


 このダンジョンは人気が無いだけあって、あまり深い階層まで攻略が進んでいない。

 もしかしたら自分が最高攻略深度を更新出来るかもしれないと淡い期待が胸に浮かぶが、俺は所詮E級冒険者でも中の中、グレス一人では流石に無理が生じてくるだろう。

 そう思い直して受け取った魔石を魔剣に吸収させる。

 せめて荷物持ちくらいはやるつもりだ。


「さあ、どんどん行こうか。」


 グレスは悠々と先へ進んで行く。

 その背中を頼もしく思いながら、今日の稼ぎはどのくらいになるのだろうと少し浮かれた気分で後に続いた。


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