第2話 おもちゃで世界征服!川鷺市長の悪政!
異世界に来て初めての決闘で、異世界アンチの園子を下し見事勝利した最強勇者リュート!
その後、リュートはアンジュに呼び出された!場所は校舎裏!見るからに怪しいぞ!
「勇者リュート、この世界で健康で文化的な最低限度の生活を営むには何が必要か、分かりますか?」
「強さだッッッッッッッッッ!!!!!」
「違います。戸籍です」
リュート即答!だが不正解……残念!
「この世界で生きていくには戸籍が必須です。戸籍がなければこの世界では存在しないも同然……
しかしこの世界では基本的に生まれた時にしか戸籍を作れません」
「じゃあどうしろってんだよ」
「ですがここ川鷺市は例外です。川鷺市は市長の愚策によって簡単に戸籍を偽造できるようになりました。
これを持っていてください」
アンジュは懐からレーシングカーのようなおもちゃを取り出した!リュートは手のひらサイズのそれを受け取る!
「これは……?」
「地球で大ヒット中の競技玩具、バトルブレイカーです。1mほどのフィールドで戦わせ、倒れるか外に出たら負けというシンプルかつ奥深いルールが人気で、競技人口は5000兆人以上と言われています。
そしてこのマシンはセイヴァーマジシャン。アニメ『爆熱神伝バトルブレイカー激闘焔』の主人公、千葉剣魔が使うマシンで、初心者にも扱いやすいバランスタイプのマシンです」
「ただのおもちゃじゃねぇか」
「おもちゃと言ってもその歴史は古く、人類の歴史の影には常にバトルブレイカーがあると言っても過言ではありません。
江戸時代ではバトルブレイカーの強さで後継ぎを決めるなど日常茶飯事でした。
現代ではただのおもちゃになりつつあったバトルブレイカーの価値を覆したのが川鷺市長です。
市長の制定したバトルブレイカー法は、バトルブレイカーが身分証明書としての役割を果たし、バトルブレイカーによって戸籍管理をするというとんでもないもの。
そのせいで不法移民やギャングが集まり、川鷺はアジアのヨハネスブルグと言われるほど治安の悪い土地になりました。
この法のおかげで我々異世界人は地球社会に入り込むことが可能になったんです」
「つまりこのおもちゃがないとこの世界じゃ生きてけないんだな」
「はい。持っているだけじゃなくてバトルの腕も上げておいてくださいね。
たまに道端でバトルを挑まれることがあるので、それで負けると金銭などを奪われてしまいます。バトルブレイカーによるバトルは絶対。無理やり奪い返すのは違法なのでやったら多分ファンタジアに強制送還されます」
「なるほどな」
リュートは手のひらのマシンを見つめて呟く!
「この世界じゃコイツは俺の相棒ってわけだな。よろしくな!セイヴァーマジシャン!」
そのあと、リュートは学生寮に入って一夜を過ごし翌日朝7時!リュートは朝早くから近所の公園でバトルブレイカーの特訓を始めた!走るおもちゃの特訓は外のほうがやりやすいのだ!
「いけー!セイヴァーマジシャン!ターンだ!」
リュートの呼びかけでセイヴァーマジシャンがターンしてジャンプ!それをリュートがキャッチ!
「ふぅ……一晩特訓したことで大体の動きはマスターできたぜ
それにしても呼びかけに反応するなんて不思議なおもちゃだなー」
そんなかんじの独り言を話していると、なんと返事が返ってきた!
「大体の動きはマスター?そんなんじゃまだまだですの。
バトルブレイカーすら満足に動かせないなんて、最強勇者が聞いてあきれますわ」
もちろん返事をしたのはセイヴァーマジシャンではない!前回戦った異世界アンチの伊勢園子である!
「バトルブレイカーというものは、こう戦うんですの!出てきなさい、ゴールデンタイガー!」
園子はカバンから黄金のバトルブレイカーを出してシュート!ゴールデンタイガーと呼ばれたそのマシンはものすごい速さでセイヴァーマジシャンに襲い掛かる!
「薙ぎ払いませ!必殺奥義、猛虎一閃!」
ガンッッッッッッッッッ!!!!
ゴールデンタイガーの一撃がセイヴァーマジシャンにヒット!セイヴァーマジシャンはひっくり返って動けなくなる!この勝負、園子の勝ち!
「これが真のバトリストというものですの」
「……
……
すげぇぜ園子!今一瞬虎が見えたぞ!?さっきのどうやったんだ!?」
数秒経ってようやく状況が読み込めたリュートは園子の必殺奥義にテンアゲ!食いつきっぷりに園子焦る!
「た……たかが必殺奥義ごときでそこまで驚かないでほしいですの。
必殺奥義はどのマシンにも最低1つは使えるようになってますの。ですが同機種でも使い手によって性能が変わってくるから自分だけの必殺技を見つけるのが重要ですわ。
例えば私のゴールデンタイガーはアニメ『爆熱神伝バトルブレイカー激闘』のライバル、虎ノ門尊志のマシン。猛虎一閃は尊志くんの力強さや気高さをイメージして編み出した必殺奥義ですの」
「へぇ〜アニメからイメージを得るってのはいいな!でもホビアニって長くて見るの大変なんだよな~俺まだ無印の4話までしか見てねぇよ」
「まあそれ以外にもいろいろな方法がありますの。自分に合った方法を探すのが一番ですわ」
そんな会話をしながら、2人はバトルブレイカーの練習に打ち込んでいた!
「そういえば園子の親父ってあのバトルブレイカー法作った川鷺市長だったよな?」
「そうですの……全く、お父様は頭が逝かれてますわ!そのせいで川鷺はバトルブレイカーで世界征服を企む悪の組織が乱立してますの!」
「プッwバトルブレイカーでww世界征服wwwとかwwww」
「笑い事じゃないですの!」
「クックック……あれがターゲットか……」
噂をすればなんとやら!リュートと園子に忍び寄る悪の影……!
「ほんとにお父様にはへきへきしてますの……そのせいで私の身になにかあったらどう責任を……きゃっ!」
シュンッ!
突然園子の首にナイフが突きつけられる!園子の後ろにはいつの間にか数人ほど黒のローブを着た仮面の男が立っていた!
「我々とバトルしろ異世界人……バトルブレイカーで!」
仮面の1人はローブから真っ黒のバトルブレイカーを出した!まさに悪役っぽいデザインだ!
「あのブレイカーはアニメ『爆熱神伝バトルブレイカー激闘焔』の敵キャラ、哀飢男のマシン、グループストーカー700ですの!量産型ながらその攻撃力は恐るべきものですわ!」
ナイフを突きつけられながら解説をする園子!それをよそにリュートはあることを考えていた……!
(アイツら、俺が異世界人であることを知っている……?)
「お前らは一体何なんだ?誰に仕えてこんなことをするんだ!」
「我らはバトルブレイカーで世界征服を企む悪の組織ダークディヴィジョンズ。
ボスから異世界人と市長の娘の確保を命じられたのだが、まさか2人同時に手に入るとは」
「まさか本当におもちゃで世界征服を企む連中が本当にいるとは思わなかったぜ……とりあえず園子がやばそうだから勝負を受けるぜ!俺が勝ったら園子を解放して、お前らが知ってる組織の情報を全部吐いてもらう!お前らが勝ったら好きにしろ!」
「ククク……ではバトルを始めよう……」
パチン!
仮面が指パッチンをすると一瞬でフィールドが出現!
リュートと仮面はフィールドを挟んで向かい合う!
「「スリー!ツー!ワン!ゴーバトル!」」
2台のマシンがフィールドに解き放たれる!
(俺は初心者だ!普通に戦っても勝てねぇから魔法を使うぜ!)
「風よ渦巻け!ウィンド渦!」
リュートは下級風魔法、ウィンド渦を発動!フィールドに竜巻がおこり、グループストーカー700が舞い上げられる!風をいろいろと調節しているためセイヴァーマジシャンは無事だ!
「なにっ!?何だこの必殺奥義は!」
(魔法なんだけどそういうことにしといておくか)
グループストーカー700は地上9999.9999999999mmの高さまで舞い上がった後フィールド外に落下!リュートの勝利!
「俺の勝ちだ!園子を解放しろ!情報も吐いてもらうぜ!」
「ひぃぃぃぃぃ!こんなにアッサリやられるなんて!」
「強スギィ!」
「娘解放するし情報も教えるんで許してください!オナシャス!」
仮面達の行動が動きが急に弱々しくなった!そして仮面のうちの1人が仮面を外し元仮面となった!元仮面は語る!
「僕たちは昨日川鷺市主催のバトルブレイカーの大会に出たんです。そこで特別イベントとして川鷺市長とバトルしたらこうなっちゃって……
なんかバトルで負けると洗脳されちゃう仕組みみたいですね。僕優勝者だから君たちのところに派遣されたんだと思います。
洗脳されちゃうと他の人を洗脳したくてたまらなくなるんで今川鷺中がヤバいと思いますよ!下手したら東狂や汚浜も……とっとと元を断たないと!」
「なるほど、それはまずいぜ!最強勇者として川鷺の平和を取り戻しにいくぜ!
園子、市長は今どこにいるんだ?」
「市役所ですの!ヘイタクシー、川鷺市役所まで連れてって!」
タクシーから見た街の光景は異様なものだった!元々乱れていた街の秩序がさらに乱れ、人々が至るところで仮面の奴とバトルをしている!元仮面が言っていたことがもう現実になっているとは!運転手は語る!
「いやぁねぇ、今朝からどうもこんなかんじなんですよ。電車も止まっててね。大混乱ですよ。私はバトリストじゃないんで、正直よく分かんないですけど、あの仮面は流石にダサいと思いますよ」
「仮面だけじゃなくてやってることもダセェぜ!」
「お父様を元に戻したら問いただしてやりますわ!」
走ること1時間!川鷺市役所に到着!市役所の前には仮面をつけた奴がウヨウヨいる!
「こんなんじゃ中に入れねぇぜ…」
「これはアレですわね……一度やってみたかったんですの」
園子は相棒のゴールデンタイガーを構えて叫ぶ!
「ここは私に任せて、先に行くですの!」
「任されたぜッッッッ!」
リュートは入口をを園子に託して突入!ぶっちゃけリュートの魔法で敵を蹴散らせば入口の奴はなんとかなったと思うが、主人公とは味方に後ろを任せ先に行くものなのである!
リュートが市役所内に入ってからも沢山の仮面が現れた!リュートはそんな奴らを必殺奥義を装った魔法でボコっていく!そしてついに市長の部屋にやってきた!
「これだけ警備が厳重ってことは市長は重要人物……?とりあえず勝って洗脳を解けばわかるか。失礼するぜ!」
リュートは重い扉を開けて市長の部屋に突入!すると正面に豪華そうな椅子に座ったオジサンが!
「よくぞ余の部屋に来たな、ファンタジアの最強勇者リュートよ」
「ファンタジアって……なんで市長が俺のことを……」
「今でもたまにファンタジアに行くのだ。汝はファンタジアで有名であるからな」
リュートは市長の言葉で、園子が言っていたことを思い出した!
『私が読んでいいのは異世界系のラノベのみ……
挙句の果てにはお母様が自分は異世界人だとか、お父様は昔異世界転移したことがあってそこでお母様に出会ったとか言い出しますの!
しかも家だけではなく学校にも異世界人を名乗る奴があらわれるなんて……もううんざりですわ!』
(この話はもしや虚言じゃなくて……)
「市長はまさか……ファンタジアに文明を広めた最初の異世界転移者、英雄KAITOか?」
「如何にも。余は伊勢界人」
衝撃の事実!市長は異世界転移者だった!
「じゃあなんでこんな世界を滅ぼすようなマネしてんだよ!ファンタジアじゃ英雄視されてたじゃねぇか!」
「確かに余はファンタジアでは英雄視されていた……だがそれを故郷の地球でも体感したかったのだ!
ファンタジアでチヤホヤされていたのは地球の知識で無双してたおかげ……現代でそれを再現するのは至難の技!だからこのような方法で頂点に君臨してチヤホヤされるのだ!」
「それで満足かよ!英雄KAITO!」
「誠に満足である!」
「だったらバトルだ!英雄KAITO!」
「よいだろう。しかし余は剣も魔法も扱えぬ。ここは正々堂々とバトルブレイカーで勝負しようではないか」
(どうせ魔法使えば勝てるし)
「いいぜ!その勝負受けた!」
「余のマシンはゾットエンパイア。爆熱神伝バトルブレイカー激闘のラスボス、月神ゼロのマシンである。
では闘いを始めよう。出でよバトルフィールド!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
市長がデスクの赤いボタンを押すと真ん中にバトルフィールドが出現!それだけではなくリュートはある異変を感じた!
「なんだこれ……マナが消えていく……?」
マナは魔法の源!マナ消えて魔法使えなくなったらリュートはクソザコ!
「どうせ魔法を使って勝とうとしたのだろう。異世界人。
だがそのような手は通用せぬ。堂々とバトルブレイカーの実力だけで余に勝ってみせるのだ。余は強いぞ」
「なんだと……」
リュートは正直勝ち目がない!だけどそれでも一度受けた勝負を投げ出すわけにはいかなかった!
「俺は最強勇者……どんな条件だって俺は負けねぇ!」
リュートはセイヴァーマジシャンを構えた!
「「スリー!ツー!ワン!ゴーバトル!」」
2人同時にフィールドにバトルブレイカーをシュート!シュートは同時だったが、攻撃を開始するのは市長のゾットエンパイアが一歩早かった!
「ゾットエンパイアは攻撃、防御、スピード、全てに特化した最強のマシン!これぞ英雄の余に相応しい!
苦しまぬよう一撃で決めてあげようぞ。必殺奥義、捨夢迎無!」
ゾットエンパイアの必殺奥義、それはバトルフィールドにブラックホールを発生させるというとんでもないものだった!これを魔法なしで純粋なバトルブレイカーの力のみで行うというのだから驚きである!
「フハハハハハ!ブラックホールに飲み込まれるがよい!」
「くっ……!」
セイヴァーマジシャンがブラックホールに飲み込まれようとしている!ギリギリのところでこらえるセイヴァーマジシャン!
「俺は負けるわけにはいかねぇんだ……街を守る、世界を守る、それが勇者というものだからだ!
だから俺は勝つ!俺は最強勇者リュートだあああああああああああああああああああ!」
リュートは青いオーラをまとって覚醒!OPテーマが流れる!
「な、なんだ!?このオーラは!?」
「必殺奥義!セイヴァーオブブレイカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
ゾットエンパイアに下される正義の聖剣!ものすごい力でゾットエンパイアが潰れていく!
「この余が押されているだとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?!?!?」
「これが真の最強だああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
セイヴァーマジシャンの圧倒的パワーでゾットエンパイアが破壊された!この勝負、リュートの勝利だ!
「よっしゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
リュートの勝利によって市長に洗脳されていた人々が続々と正気を取り戻していく!リュートは川鷺市の平和を救ったのだ!
「まさかこの余が負けるとは……」
「リュート~〜~〜~〜~〜!!!!」
園子が戦いを終えてリュート達のところにやってきた!
「ついに必殺奥義が完成したんですのね!バトリスト特有の第六感で分かりますの!」
「心が熱く滾ったらなんか出来たぜ!
いやー今回はほんと最強勇者の俺でもやばかったぜ。市長ブラックホール作ったし」
市長という言葉を聞いて園子はハッと思い出す!
「お父様……このようなことは金輪際辞めてほしいですの。
川鷺市民どころか日本国民の恥ですわ」
「川鷺市民?日本国民?余にはそのようなもの関係あらぬ!なぜなら余はファンタジアの英雄KAITOであるからな!フハハハハハ!
だが、またこのようなことを行えば最強勇者リュートがまた余を止めにくるであろうな。だから世界征服はもう行えぬ。
しかしここで諦める余ではない!更に己を鍛え上げ、いつかリベンジを果たそうぞ!フハハハハハ」
「とりあえず解決……でいいんだよな?」
「多分そうですわ……って、もう学校が始まる時間ですの!早く行きますわよリュート!」
園子に手を引かれ、市役所を去るリュート!だが異世界に来てまだ24時間!その短い時間でリュートは地球で勇者としての初の仕事を行ったのであった!仕事といえば次回は仕事の話!
次回、「ブラック企業!時給2せんのコンビニバイト!」に乞うご期待!
爆熱神伝バトルブレイカーは初代が3期まであって、その後に剣魔が主人公の爆熱神伝バトルブレイカー激闘があります。激闘編2期が爆熱神伝バトルブレイカー激闘焔です。