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自分解放宣言

後ろ髪を掴まれた感触がした

強くも、弱くもない力の感触

誰なのかは分からない


振り返っても誰もいない

感触はついてくる

誰なのかは分からない


だけど、心当たりがないわけじゃ、ない

そう思いたくないけど

そう思ってしまう

昔の姿のままの「あの人」


期待していた

そう思いたかった

まだ、わたしを好いていてくれていると

だけど、だけど

約束は破られ続けている


毎年手紙を書いて

送っては返ってくるのを待ち

時間を積んでいく

疑念を積んでいく



後ろ髪を掴まれた感触がした

ここに留めようとする力


後ろ髪を掴まれた感触がした

ここに縛りつけている力


同い年の「あの人」は

わたしと一緒に年をとっていく

そのはずなのに

昔の姿のままの「あの人」


言い切りたかった

忘れたかった

もう、わたしのことは覚えていないと

だけど、だけど

こうして存在している


手紙を書くのをやめ

新しい出会いに囲まれ

薄れていく

忘れていく


そのはず、だった。



後ろ髪を掴まれた感触がした

恐る恐る鏡を覗いた


映っていた

自分の泣きそうな顔と

埋めつくした黒と

後ろ髪を掴む

昔の姿のままの「わたし」


「あの人」はわたしの血と肉で作られていた

「あの人」はわたしに染み込んだ像だった


成長して進んでいった、わたしは

迷子のわたしを後ろにおいてけぼりにしていた


 

「わすれられない、

 すてきれない、

 かわれない

 そんなわたしを

 おいていかないで。


 ここにいるよ。

 きづいてよ。

 いま、わたしをうけいれて

 じゆうになろうよ。」


後ろ髪を掴まれた感触を

昔の姿のままの「あの人」を

おいてけぼりにしてきたわたしを

抱きしめて、ほどいて

自分のものにするの。


忘れられない自分も

捨てきれない自分も

変われない自分も

今、ひとつにする。

本当の意味で前を向く。

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