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【挿絵131枚+漫画78頁有】ヒトくちばなしっ!B&C  作者: ほやざ
10くち「キミを元気にいたしましゅー!キミとボクの秘密のお茶会!!」
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10くち 1

 挿絵(By みてみん)


 10くち「キミを元気にいたしましゅー!キミとボクの秘密のお茶会!!」



 アメリカ合衆国の活動家、詩人、歌手、女優である、マヤ・アンジェロウ曰く、「人はあなたの言ったこと、あなたのしたことは忘れても、あなたにどんな思いをさせられたかは絶対に忘れない」



 バートが日本に来てから七週目の、土曜日のことだった。


 マシューの通う志士頭(ししがしら)学園高等部は既に夏休みに突入しており、週三、四回の朝から昼までの部活と、たまの生徒会の仕事で学校へ向かう程度の登校率になっている。

 出された宿題を毎日予定通りに少しずつ進めては、電話が来てクラスメイトと海に行ったりもしている。

 バートの提案で北海道の網走や静岡県の熱海にも旅行へ行き、日焼け少々、肌の赤みが増すことの方が多い日々を過ごしていた。


 そんな日々の今日と言う日。

 夏休みも中盤。遊びまわって満足し切った二人は、痛む日焼けを少しでもマシにしようと、二人で家に籠ってマシューが好きなカードゲームに興じていた。

 テーブル一杯にカードを広げ、床にメモ用紙を置いている。バートはそこに更に電卓とパソコンもつけていた。


 最低三十枚~最高四十枚の通常デッキ(山札)と、最低十枚~最高二十枚の特殊デッキがマシューとバートの場にそれぞれ置かれている。

 バートは通常デッキの上に指を添えると、そこから一枚を手札に加えた。

 思い通りの手札が揃ったことで、バートの口元がニヤける。



「マシュー、これからお前を負かしてやるから覚悟すると良いぜ!」

「やってみろバーカラントォ!」



 バートは手札をまとめてノートパソコンのカメラに向けた。

 パソコンの画面には、通話アプリケーションウィンドウにダンケの姿が映っており、ダンケはバートの手札をパソコン越しに確認する。

 カードに記載されている効果を翻訳して、ダンケは無線で繋がっているワイヤレスヘッドホン越しにバートにアドバイスをしていた。

 カードテキストを一人で読んで理解するには、バートにはまだまだ時間が必要だ。



「よし!ソルジャーカード"没落貴族-ゾール-"を出陣!」



 片手に四枚持つ手札からカードを一枚引き抜いて、テーブルの上に表側で置く。


 発音も抑揚もまだまだ未完成で、お手本をなぞるようなたどたどしさだが、日本語で喋ることが出来ている。

 恐らく、ダンケが"どう宣言するのか"すらもヘッドホンを通して教えているのだろう。


 しかし、これでもブロードウェイの舞台役者。

 にわか仕込みの台詞だとしても、違和感は最低限に抑えられている。

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