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【挿絵131枚+漫画78頁有】ヒトくちばなしっ!B&C  作者: ほやざ
8くち「一人暮らし万歳!土に植えた家族愛!!」
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8くち 11

 

 店を出ると、また繁華街の通りを二人で歩いてゆく。

 昼が近くなってきたこともあり、近所の学生が休み時間を使って、ファストフード店やスーパーの惣菜コーナーを目指すようになり、人通りは一層多くなった。

 他校の制服だけではなく、志士頭(ししがしら)の制服を着た生徒も散見され、マシューはいそいそとバートの影に隠れた。



「どうした?」

「ずる休みだから見つかったら困る」


 バートを通りの方へ押し出していると、


「は、はろー!」


挿絵(By みてみん)


 前方からやってきた他校の女子高生二人組が、バートとマシュー目がけて一直線に進んできた。

 女子高生らが立ち止まり、黒髪二人組と金髪二人組が向かい合う。

 好機に打ち震えた輝く瞳で日国兄弟を見上げる女子高生は、二人してバートの方を見て、頬を紅潮させて自らの拳を握って上下に振った。

 マシューとバートは顔を見合わせて、同時に首を傾げた。



「あ、あの!ゆ、ゆーますとびー…」



 英語があまり得意ではないのか、二人して「これで良いの?もう話しちゃってるんだから!」とチラチラこちらを見ては相談し合っている。

 場の空気を読んだマシューは、自分が発言することを軽く挙手して示した。



「日本語で構いませんよ」

「え!?うわ!本当ですか!」



 二人とも安心したのか、いやむしろ先ほどよりも興奮しているのか、一層甲高い声を出して、嬉しそうにお互いの手を握り合った。

 バートは「この子達は可愛らしいレズビアンだな」と微笑ましく見守っていた。皆、何を言っているのかさっぱりだったから。



「僕の方はこれでも日本人なので。こっちは日本語は得意じゃないけど」



 言って、親指でバートを指す。

 女子高生はマシューの日本人発言に一瞬だけ硬直した後、二人して小声で「嘘信じらんない!明らかに顔がアジア系じゃないし金髪だし目青いよ?日系?違うか。どこの人?帰化した人なの?」と大慌てで話し込んでいる。

 興奮しているからか丸聞こえだ。内緒話になっていない。



「じ、じゃあ、えっと、その人って、バートラントさんですよね!?」


 バートを両掌で示す女子高生。


「私たち、"D.C.ブロマンス"字幕版で毎週見てました!エヴァンシーズンの続編待ってます!応援してます!」


 とりあえず、バートに訳して伝えると、バートはついと女子高生に視線を戻して、挨拶した。


「初見!」


 真横のマシューから肩を叩かれた。


「はじめましてだよ!」

「そうだ。はじめまして!」


 女子高生はバートの勢いに釣られて、「は、はいはじめまして!」と深々と頭を下げた。

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