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【挿絵131枚+漫画78頁有】ヒトくちばなしっ!B&C  作者: ほやざ
7くち「粘着く叱責!白湯に波打つ家族愛!!」
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7くち 2

 

 ベッラの写真の前にもワッフルを一つ置いて、バートとマシューも朝食にありついた。

「昨日の夜に食べないで良かった」とにこやかに言って、ヨーグルトを二つ持ってきたバートは、マシューの前に一つ置いた。



「ヨーグルト、あとちょうど"二人(ににん)"だったんだ。マシューも食べようぜ」

「ありがとう。でも、二"個"ね」

「あー………あ?」

「"人"は人間の数を表す助数詞。"個"は物の数を表す助数詞。人は個の一部ね」



 他にも指摘したい部分はあったけれど、あえて黙っておいた。

 バートは納得したらしく、甘くないワッフルを咀嚼してうんうんと頷いた。


 日本は助数詞が豊かだ。豊か過ぎるほどに。ダンケとの日本語勉強がどれだけ進んでいるのかはマシューが(あずか)り知らぬところだけれど、日本人ですら扱いきれない日本語の、しかも助数詞となると難易度はだいぶ高いのではないだろうか。バートがいくら日本語を学んだとしても、いつか使いこなせるとは到底思えない。

 うっかり「仕方ないよ。こればっかりは凄く難しいから」とバートをフォローしてしまったけれど、もしかしたら今のは甘やかしだったのでは、と振り返るマシューだった。


 朝食を済ませると、バートはベッラの写真前から下げたワッフルを食みながら、学校へ向かうマシューを手を振って見送った。

「今日は生徒会で遅くなるから、先に銭湯へ行って夕食の準備を済ませておいて」と言われたことは、忘れないようにしようと思った。


 さて、マシューが出かけてからだ。バートの一日が始まるのは。

 寝間着から軽装に着替えて、マシューが回していった洗濯機の中から衣服を取り出して、ピンチハンガーにかけたら、物干し竿に下げる。

 次にストレッチ。バレエ教室で教わったストレッチだ。


挿絵(By みてみん)


 関節を重点的に動かして、稼働しやすいようにしておく。

 これを毎日きちんと行わなければ、全身の関節の可動が鈍くなって上手く動けなくなるのだ。幼少期は正座をしたら立ち上がれなくなり、両親に膝を伸ばして貰ったことがあるし、一人じゃ服のジッパーも上げられず、ボタンを留めることも出来なかったし、テーブルの下に落としたビーンズを指で拾えなくて両手で掬ったものだ。


 その日も十分なストレッチをしてから、バートはパソコンの前に着いた。

 いつも通り、"japan8639(ジャパンハローサンキュー)"のパスワードを打ち込み、通話アプリケ―ションを開いたらダンケの名前に発信した。

 ワンコール目が終わらない内に、パソコンの画面にダンケの白い顔が映った。今日もまたパソコンを弄っていたのだろう。

 既に筆記用具はテーブルの上に広げていた。

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