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【挿絵131枚+漫画78頁有】ヒトくちばなしっ!B&C  作者: ほやざ
5くち「くゆるくだまき!バーカ!バーク!バガーなラント!!」
26/270

5くち 3

「バートが言う通り、睡眠時間は、…いや、体をゆっくり休めることは大切だ。休みが無いってことは、コンディションを整える余裕が無いってことだ。それに部活にばかり意識が向いていると、それ以外のことが疎かになり、あらゆる有用的な情報から遮断され、他の社会から切り離されてしまう。その生徒には部活しかなくなってしまい、学生の内から彼らの世界は著しく狭まり、たとえ選手として優秀であっても、一個人の人間としてはどうなる?選手じゃなくなったら?きちんと休みをとって、他のことにも関心を向けながら、部活に打ち込んで欲しいんだ」



 自分の意見を語るマシューに、バートはうんうんと頷き、賛同の言葉を送りながらシリアルを口に含む。



「沢山の選択肢があることを、自分で見つけてほしい。休むことも、他の手段も。僕も多くのことを経験したいしその分沢山休みたい。その為には、過剰な部活参加強制は不要だと判断したんだ。まずは朝練の強制参加を規制した。悲しいことに、規制しなきゃ誰も辞めないからね。ただし、どうしてもやりたければ個人でやればいい。他人に強制するなって制度だから。放課後の部活も、強制参加と長時間の運動で体を壊した生徒がいて、親御さんから苦情が来たって聞いたし、こういう同調圧力はやめさせないと」


「個人でやるのは自由だが、他人を巻き込む以上、無責任な強制はいけないな。子供の内から学んでおくべきことだ」


「そうなんだよ。それに、強制参加に頷いてしまう生徒側にも、断る勇気が必要だ。体を壊した生徒に、誰も責任を取らなかった。責任の所在は今も宙に浮いたまま、もう三か月経った。同調圧力は責任を分散させてしまうんだ。誰もが悪いってことは、誰も悪くないことにも出来てしまうんだよ。最後に自分を守ってやれるのは自分だけだ。その自分を守る為に、どうするべきか。そういう意味でも、自分を確立させることが大切だと思ったんだ。強制参加の雰囲気があっても、断れる自分を作るんだ。その圧力が理不尽であることを訴える自分を育てるんだ。それに部活以外、学校以外にも居場所を見つける余裕が子供には必要だ。自分を確立させることに繋がる。学校なんかの村社会でよく言われている、"皆と仲良く、喧嘩はいけない"とか、"皆が頑張っているんだから貴方も"とか、利益にならない協調性を強要するのは、個人の足を引っ張り合っているようにしか見えない。ただ疲れるだけのことをしても、意味は無いだろ?」


「ああそうだな。人間には向き不向き、相性の良し悪しがある。"皆が仲良く"なんてどだい不可能な話だ。何処でも貫き通せる同一した自分があるから、好かれもするし嫌われもするんだ。風見鶏みたいなヤツは関心さえ向けてもらえない。仲良くしたいヤツと仲良くなれば良いし、高め合えるヤツと頑張れば良い。お前はやっぱり優秀なヤツだな。改革を行える度胸がある。偉大な心を持っている。良い生徒会長になれるよ」


「会長になるつもりはないけど…。ただ、誰かが断捨離しなきゃ誰もがズルズルそれを引っ張って、新しい時代に即した制度が作れないから。だって、文句は言うのに誰もやろうとしないんだもの」

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