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【挿絵131枚+漫画78頁有】ヒトくちばなしっ!B&C  作者: ほやざ
17くち「舞台の上から客席へ!兄弟二人のB&C!!」
239/270

17くち 11


 しかしバートも、先ほど伏せたカードを裏返す。


「ここでリバースジャマー発動だぜ!"グレートコスモイーター・イェダーク"を盾として…」


 言いかけたところで、マシューも手札からカードを出した。



「押し通る!クイックジャマーを発動!"杖折り"の効果で、マリーの攻撃力1000ポイントを代償に、相手のジャマーを即座に無効化する!」


「げげぇ!」


「これにより"マジカル・パニック"の効果は履行(りこう)され、ツァーリの攻撃力は0だからコピーの対象外。つまり、対象内の防御力の数値が、杖折りの代償で400ポイントになったマリーの攻撃力に加算されるから?」



 こんなにもイキイキした悪戯顔のマシューは初めて見た。

 バートは苦笑いで答えた。



「ま、…マリーの攻撃力は6600」


「大正解っ!ツァーリの防御力、6200を上回った!"血みどろ魔女マリー-ブラッディ・ウィッチ・マリー-"で、"星守りの善き王-スタークラスター・ツァーリ-"を攻撃!」


挿絵(By みてみん)


 その後のマシューは「ぼっくのっ勝ち~」と歌いながら、もう一つの趣味のガーデニングの為にじょうろを持って屋上へ。

 残されたバートは敗北した自身のエースソルジャー・ツァーリと、手札と、デッキを見つめ、「負けたってことは改良の余地があるってことだ。落ち込むのは五分だけにするぜ」と、険しい顔をして独りごちていた。


 屋上にやってきたマシューは、鼻歌交じりに上機嫌で横並びのプランターの土に水をかける。春に植えたガーベラと、夏に植えたウインターコスモスが順調に成長している。

 他にも、リコリスやスプレー菊と言う秋の花が並んでいる。

 リコリスは、日本では彼岸花(ひがんばな)曼珠沙華(まんじゅしゃげ)と呼んだ方が馴染み深いかもしれない。


 ガーデニングは母に影響されて始めた趣味だ。

 バートがペットと共に成長してきたのなら、マシューは花と共に成長してきた。


 楽しいのだ。

 達成感もあるし、その時によって異なる草花を育ていると、季節をより身近に感じられる。草花も立派な生物であり、ペットと同じように、その生死を間近で見守ることが出来る。

 それに、何か月か先に咲き誇る花のことを思うのと同じくらいに、その時の自分はどうなっているかを一緒に考えてみる。ほんの数か月だから、具体的な未来が想像出来る。

 花の成長と自身の将来を考えるのが、マシューのガーデニングの楽しみ方だった。

 なにより、正しい知識を持って手塩にかければ、努力に対して形を持って、なるべく早くに応えてくれると言うのも嬉しい。


 次の花が咲く春の頃、自分はどうしているのだろう。

 秋の花々を前にして、マシューは今日も夢想する。

 ほんの数時間先のことから、数か月先の事まで。

 マシューは自分を信じていた。

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