17くち 10
ツァーリに指令が下され、マシューの残り少ないOLが0になろうと言う時、しかしマシューは伏せカードに手を伸ばした。
「ここでリバースサポート"黄泉の間"を発動!手札及びデッキのカードを二枚ゲームから除外し、マリーの攻撃力を全て僕のOLに変換させる!」
「ずぇー!そんなカードがあるのぉっ?」
「マリー専用カードだ。マリーは現世に留まる為にオフィサーと契約をしていると言う設定だから、そのオフィサー、つまりは僕を守らなければ現世に留まることが出来ないのさ!僕の自前のOL500ポイントに、マリーの攻撃力4800ポイントが加算され、僕のOLは5300ポイントに回復!ダメージ計算も含めて、最終的な僕のOLは3900だ!」
仕留め損ねて身悶えるバートは手札をよく吟味した後、伏せカードを一枚出してターン終了の宣言をし、代わりにマシューがターンを引き継ぐ。
このターンで0ポイントにまで落ちたマリーの攻撃力を1000ポイント以上にしなければ、攻撃力1000ポイントを持つツァーリに攻撃宣言され、攻撃力も防御力も0のマリーは破壊されてしまう。
再び「流星群」のようなこちらのOLを削るカードを出されても、3900ポイントなんてあっという間に尽きてしまうだろう。
エースソルジャーを倒されても負け。OLが尽きても負け。厳しい局面だ。
しかし、俯いて手札カードのテキストを読み込んでいるバートには見えなかったが、マシューの瞳には勝利の二文字が浮かび上がっていた。
「僕のターン!1ターン経過したことで、"契約の刻印"の効果でマリーの攻撃力が400ポイント上がる。そして、今からマジカルデッキにおける最強の逆転コンボを見せてやるよ!」
「はあ?」
「まず、サポートカード"魔女裁判"」
「魔女裁判?そんなの持っていたっけ」
この間、偶然五枚入りパックを購入した際に引き当てたウルトラレアカードだ。
クラスメイトに自慢してまわったほど嬉しかった。
「攻撃力は魔法使いの魔力を指す!その魔力が1000以下になった時、マリーを魔女とする証拠は無くなり、裁判は相手側の負けとなる!復活した経歴を隠す為、マリーは死亡時の通り下半身を再び切り離さなければならない!」
「可哀相にマリー」
「そして、相手ソルジャーの攻撃力を最大1000ポイント奪い、マリーに加算する!これでマリーの攻撃力は1400ポイントとなり、ちょうど1000ポイントだったツァーリの攻撃力は0になる!ツァーリがマリーを破壊することは不可能になった!」
「今度はツァーリが可哀相になってきた」
「更にジャマーカード"魔女狩りの復讐-マジカル・パニック-"!このカードはマリーの攻撃力が初期能力値の半分である2750以下の時に発動出来る!発動代償として、OLを1000ポイント捧げることで、マリーは相手のソルジャーの攻撃力、もしくは防御力の低い方の数値をコピーして、一ターンだけマリーの攻撃力に加算することが出来る!ただし、0ポイントは対象外とする!」