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【挿絵131枚+漫画78頁有】ヒトくちばなしっ!B&C  作者: ほやざ
15くち「ラブステイツ!僕とお前のセカンドサマー!!」
196/270

15くち 8

 

 戻ってきたダイニングルームでは、バートが荷物を広げて、一番にベッラの写真を、もう一匹のペットであるタコのハニーダリーの水槽の横に置いていた。

 そして一人掛けソファに座るダンケと、荷物を抱えるマシューの方を向いた。



「さあお前達ィ、これから俺が提示する三つの仕事から、それぞれやりたいことを選ぶんだ」


「なんにもやりたくない」


「やりたくないってことは出来るんだな、ダンケ」



 マシューは、すぐ隣から聞こえた舌打ちを聞き逃さなかった。

 バートに聞こえたかは定かではないが、舌打ちの次には、バートの陽気な声がバートラント・メリカン・日国が名義人の一軒家に響いた。



「まず一つ目、バーゼルを風呂で洗ってからトリミングに連れて行く。二つ目、庭の手入れ。三つ目、当面の食料の買い出し。早い者勝ちだぞー!」



 早いもの勝ちだぞ、とは言うものの、バートも参加者の一人なのに、先に弟たちに選ばせる姿はまるで長男のようだ。本人は兄だとか弟だとかの上下関係問題を気にしたことは一度も無かったけれど。

 ダンケは内容を聞きながら、立ち上げたばかりのパソコンを閉じると、げぇーっと唸って眉間に皺を寄せた。



「どれも外に出なきゃならないし…」


「じゃあダンケは庭の手入れだな。敷地から出ないだけ良いだろ。マシューは…そうだな、落ち着き次第食料の買い出し。俺はバーゼル。いいな?」



 結局自分で仕切って、「そら動いた動いた」と手を叩くバートに急かされて、ダンケとマシューは動き出した。

 バートはバーゼルと競争をして風呂場に駆け込んでゆく。どうやらバーゼルは体を洗われるのが好きらしい。


 ダンケは深い溜息を零して立ちあがり、二階への階段の下にあるガレージへの扉に向かってゆく。

 二人を見送ったマシューも、泊めてもらう以上、不服ではあるものの家主のバートに従おうと、抱えていた荷物を邪魔にならないようマッドルームの壁際に下ろす。

 財布とエコバッグを持ち、ガレージのロッカーから草刈り釜や軍手を引っ張り出しているダンケの背を覗いた。



「ねえダン兄」

「…」



 話しかけても返事をくれないことはダンケと話していて珍しいことではない。

「話したいなら勝手に話して。返事はしないけど聞いてはいるから」と言う言葉は、いつかチャットしている時に聞いた言葉だ。

「聞いてる?」と何度も確認をしたら、「しつこいなあ。どう見ても聞いてるでしょ。なんなわけ」と怒られたことがある。

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