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【挿絵131枚+漫画78頁有】ヒトくちばなしっ!B&C  作者: ほやざ
11くち「風邪っぴきアンビヴァレンス!にぎって!むすんで!看病だ!!」
127/270

11くち 2

 

「じゃあ、ダン兄は"アリストクラート(貴族)・デッキ"を組んだ時、どう考えてカードを選んだ?」


「没落貴族による没落貴族の為の再興デッキ。他のソルジャーは全部囮か供物。よそ見しないでエースソルジャー(ゾール)に勝敗の全てを賭ける」


「でもそれってゾールを出陣出来なかったり倒されたら」


「そうなったら降伏する。エースがいないんだから当然だよ」



 迷いなく言いながら、ダンケは使い古しているものの、カードスリーブに入れて保存状態が良いままの「没落貴族-ゾール-」「王位を継ぐ公爵-ゾール-」「聖油王-ゾール-」の三枚を、新しいスリーブに入れ直していた。


 そういえば、三戦した内の一戦だけ、ダンケが負けた。

 プレイヤー自身の体力であるOL(オフィサーライフ)が尽きて負けたわけではなく、通常のバトルで「聖油王-ゾール-」が倒されると、すぐに降伏宣言してきたのだ。

 ゾールを再び場に復活させる手段が尽きたようだった。



「"あれもこれも"なんて、勝つために全賭けでちまちま稼ぐより、負けても良いから一点賭けの大博打に出たい性格なんだよね。エースがいるならそいつこそを第一に考えたい。マシューもマリー以外は切り捨てな」


「どれも愛着あるんだよなあ…」


「じゃあ事故起こして負けな。愛着とか言って、優柔不断なだけでしょ」


「ひっでぇ」


「使うかもしれない、必要になるかも、なんて優柔不断さが負けを招いたんだ。過去(結果)は誠実なのよ。それに、デッキから外すだけでしょ。捨てるわけでもあるまいし。いつもみたいにコレクションすればいいじゃない。なにを意地になっているんだか」


「ダン兄ってどうしていつもそう喧嘩腰なのさ」


「悪いねペイントボッドなものだから。没落貴族のイングリスなものだから」


「ほらー、お前たちぃ」



 そうこうダンケと話し込んでいると、マシューが座り込んでいる布団に、バートがテーブルを寄せてくる。

 更に、湯気を立てる小鍋を持ってやって来た。



「俺が作っためちゃうまランチが不味くなるから、今から行儀の悪い口を良い口にしろ」



 ダンケはバートを画面の端に確認するや、「またね」と言って通話アプリケーションを切ってしまう。

 親の前で悪事を働いた泥だらけの手を背に隠す、悪戯小僧のような素早さだった。


 マシューは手に持つデッキをホルダーに収めて、テーブルに体を向ける。

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