10くち 2
「来たか!」
「ゾールの特殊効果で、自陣敵陣問わず、戦場に存在する全てのソルジャーに、ゾールを装備!特殊効果発動代償として、装備ソルジャー一体につき、俺のOLから100ポイントを支払うぜ!今後毎ターン、俺とお前は自陣のゾール装備ソルジャー×300のOLを支払い続けなければならない!」
「甘いなバート。ゾールは元々僕のソルジャーだったんだ。扱い切るにはゾール関連のカードが足りなくてコレクションに加えたけど、そいつの正しい破壊方法は分かっているぞ。そいつはソルジャーとして破壊してもサポートカードとして戦場に残り、OLを支払い続ける義務も続く二つの役割をこなすワイルドカード。しかし、サポートカードとして破壊した場合は、サポートとしてだけではなく、ソルジャーとしても破壊出来るんだ!ゾール対策用のカードは僕のデッキに何枚か入っている!堕ちた貴族なんて怖くないね!」
強気なバートだが、対するマシューも追い詰められているのに強気な姿勢でいる。
子供のようにカードバトルに熱くなる二人は、既に片膝をついて身を乗り出していた。
「それはどうだろうな?対策なんてさせないぜ。堕ちても貴族。その意地を見てろよ、マシュー!」
言いながら、場に裏側に伏せられたカードを、バートはひっくり返す。
相手のソルジャーの出陣、攻撃、サポートカードなどの発動を阻害するジャマーカードだ。
「リバースジャマー発動!"コールドスリープ"!このカードの効果で1ターン経過したことになる!よってゾールの特殊効果が発動!俺とお前のOLから、ゾール装備ソルジャー×300のポイントを削りとるぜ!」
強気に出ても戦況はマシューが更に追い詰められる形となり、乗り出していた上半身が引き気味になる。
が、踏ん張って意地で前にのめり出した。
睨み合いが続く中、バートは更に手札に指をつけた。
「まだだ!手札から、サポートカード"新階級"を発動!自陣に存在する貴族以外のソルジャーを退陣させ、"貴族の右腕-スチュワード"と"貴族の左腕-バトラー-"を特殊出陣!」
「僕が持っていなかったスーパーレアの貴族カード!」
マシューのコレクションには無かったカードだ。ならばこれはバートが自分で購入したものに違いない。
マシューは経験の差やカードの豊富さで有利ではあるものの、バートは財力でレアカードのみを集められる上に、ダンケと言う経験者も味方につけている。
下唇を噛んで恨めしい気持ちを呑み込んだ。
僕もそのカードを持っていれば、ゾールを上手く扱えるのに!