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復讐  作者: 誠也
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容疑者は・・・

「奈央、明菜、ただいま。」

「お帰りなさい、裕太くん。」


裕太が仕事から帰って来た。俺が生まれて6日が経ち、昨日病院を退院し、今は自宅である裕太の会社の社員社宅にやって来たところだ。広さは3LDKと、俺達3人で暮らすには十分な広さで、ベビー用品もしっかりと準備されていた。


「裕太くん、ご飯もう少しかかるから、明菜とお風呂入ってきて。」

「わかった。行くよ明菜。」


裕太は俺を抱えるとお風呂へと向かった。お風呂に入るといっても、新生児の俺は沐浴だけどな。でも、これはこれで気持ちいいや。


「裕太、丁度2人きりだし、例の件の話をしよう。」

「う、うん。で、明菜、犯人って思われる人に心当たりはあるの?」

「そうだな・・・。」


俺に恨みのありそうな人物の心当たりは、3人程いる。

1人目は、俺が高校2年のとき友達だった、阿部達也。達也は俺の彼女、清水夏希のことが好きで告白したが、フラれてしまった。その理由が他に好きな人がいるということで、その好きな人物が俺。その告白以降、達也とは疎遠になってしまった。達也には好きな人を俺に取られたという恨みがあるかもしれない。

2人目は、俺の職場の2つ年下の後輩の松本隆弘。隆弘は大学卒の新入社員で、俺がその教育担当。隆弘は仕事が早いがミスが多く、たまにとんでもない物まであるので度々注意していた。高卒の俺なんかに何度も注意されていたもんだから、多少恨みはあるだろう。

3人目は、俺の職場の先輩社員だった森浩。森さんは47歳とベテラン社員だったが、ある事件を起こしてしまう。業務上横領だ。たまたまその様子を見た俺は、悩んだ末に上司に告発した。その結果、森さんは懲戒解雇となった。俺が告発したことは伏せてあるはずだが、もし知っていたら、かなりの恨みを持っているはずだ。


「・・・ってとこかな。」

「う~ん、話を聞いた限りじゃ、森って人が一番怪しいね。・・・そうだ、殺害された部屋は鍵がかかってたんでしょ、誰か合鍵とか持ってる人はいないの?」

「合鍵持ってるのは彼女と親くらいだから、関係ないと思う。」

「そっか。じゃあ取り敢えず明日、明後日の休みに時間を見つけてさっきの3人のこととかいろいろ調べてみようか。」


方針が決まったところで、風呂から上がり、晩ごはんになる。今日の晩ごはんのメニューはご飯に味噌汁、肉じゃがにごま和えだ。肉じゃががうまそうだが、俺は食べることはできない。ミルクで我慢だ。早く肉が食いてえ。

翌日、俺と裕太は散歩という体で調査に出掛けた。ちなみに奈央は退院してすぐということで留守番だ。ベビーカーに揺られながら向かう先は、前世で俺の住んでいたアパートだ。実はアパートまで今住んでいる社宅から歩いて5分とけっこう近い位置だった。アズラエルがいい所に転生させてくれたようだ。アパートは変わらないな、って死んでから1週間しか経ってないから変わりようがないよな。取り敢えず、俺達は探偵という体で大家さんに話を聞いてみた。子連れの探偵って大分変だけどな。


「そうだねぇ、あの日の夜、階段を登り降りする音は4回だったかしら。あと、警察も詳しい話は203号室の鈴木さんに聞いてたわ。」


大家さんにお礼を伝えて、鈴木さんの部屋に向かう。部屋のインターホンを押すと出てきてくれた。


「ああ、その話か。大家さんの言っていた階段の音の内の1つは俺だよ。もう1つは斎藤さんの彼女さんかな、丁度帰るのを見かけたし。もう2つはわからないな。あと気になったのは斎藤さん、心臓を刃物で刺したって聞いたけど、全然暴れた感じの様子は聞こえなかったよ。自殺だったのかな?」


確かにあの日夏希は一緒に部屋で過ごして、晩飯を食べた後、帰ってったな。鈴木さんとはお隣だけど、あんまり接点は無かったし、残る階段の音は2回。誰かが登って、降りたってことかな?だとしたら、それが犯人のもの・・・。

鈴木さんにお礼を伝えて、アパートを離れ、近くの公園に移動した。


「明菜、僕思ったんだけど、夏希さんが犯人じゃないかな?」

「何言い出すんだよ裕太!夏希はそんなヤツじゃ無い!」

「ごめん。でもさ、夏希さんは合鍵持ってるし、晩ごはん食べた後に帰ったんでしょ。その晩ごはんに睡眠薬を入れて、雅樹くんが寝る頃合いを見計らって戻ってきて、心臓を刺した。睡眠薬で深い眠りについてるから心臓を刺されても暴れなかった。どうかな?」


確かにそれもあり得るかもしれない。夏希が犯人?まさかな・・・。

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