バレちゃったかな
「警察の方が私に何の用ですか?」
奈央は不安そうな様子だ。
「実は昨晩、この近辺のアパートで男性の遺体が発見されまして、その第一発見者である方が綾瀬さんがツイスターで投稿した記事を見て発見したと聞きまして、少しお話しに伺った次第です。」
奈央と裕太はお互いにびっくりした様子で向き合うと、警察に自身のスマホを見せた。
「刑事さん、実は私達も訳がわからないんです。この記事の投稿された時間、私はシャワーを浴びてましたし、裕太くんは寝てたんです。誰かが私のスマホを勝手に操作したみたいなんです。」
「なるほど、そうですか。では、他の患者さんにも話を聞いてみるとします。ありがとうございました。」
その後警察はこの病室の他の患者へと話を聞いて回った後、再びこちらにやって来た。
「綾瀬さん、度々すみません。他の患者の方は記事が投稿された時間誰もこの病室に出入りしてこなかったと言っています。残る可能性はそこの赤ちゃんなんですが、何か身に覚えはありませんか?」
げっ!俺に疑いがかかってしまった。奈央と裕太には俺が転生者だとバラしたくなかったけど、これまでか・・・。
「私達の子供は生まれたばかりでまだそんなことできるような感じじゃありません!」
「ですが、記事にも記憶を持ったまま転生したとありました。私も信じたくないですが、この子以外には・・・。」
「いい加減にして下さい!」
奈央が大分怒ってる。
「すみませんでした。では、私達はこの辺で失礼します。」
警察は諦めて帰って行った。奈央は俺を抱き抱え、怖かったね、もう大丈夫だよとあやしてくれた。なんか心苦しいな。二人には絶対バレないように今後もっと注意しなくちゃな。
さて、それはそれとして、写真が見たい。またタイミングを待たないといけないな。寝たふりをして機会を窺う。するとそのまま眠りについてしまった。
・・・
「雅樹、えい!」
夏希が後ろから抱きついてきた。
「雅樹ったら私が居るのに本ばっかり読んでるんだから。」
「ごめん、ごめん。丁度いい所だったんだ。しおり挟んどくよ。」
夏希は俺の彼女だ。来月には籍を入れる予定だ。
「ねえ、今日は新しくできたケーキ屋に行ってみようよ。」
「いいよ。じゃあすぐ準備するからちょっと待って。」
財布とスマホをバッグに入れる。車の鍵っと。
「夏希、俺の車の鍵見なかった?」
「何言ってるの雅樹、まだ車を運転できる歳じゃないでしょ。」
「えっ。」
気がつくと俺は赤ちゃんの姿になっていた。
・・・
ハッ夢か!夏希・・・また夏希に会いたいな。でも今のこの姿を見たらなんて言うかな。はぁ。っと、ため息ついてる場合じゃねぇ。今は夜で奈央は寝てるし、裕太はいないようだ。俺は奈央を起こさないようにそっと机の上のスマホに近づく。またスマホを操作し、ツイスターを起動する。写真っと・・・。
写真は俺がベッドに寝ており、凶器の包丁を俺が両手で握った状態で心臓に刺さっていた。包丁は俺の部屋に置いてあったヤツだ。その他に部屋の様子を写していたものがあったが全く荒らされた様子は無かった。そして記事にはこう書いてある。
〝ツイスターの記事を見て、書いてある住所に行ったら確かに斎藤雅樹という男が住んでいて、そのアパートの大家さんにこのことを伝えて部屋の鍵を開けてもらったらマジで死体があった。こいつはヤベー。警察に通報します。〟
鍵を開けてもらったってことは密室だったってことか。それに写真の感じだと俺が自殺したようにも見える。犯人は俺が自殺したことを装ったのか。ちょっとはわかってきたけど、まだ情報が少ない。また何とかして情報を集めないとな。
「明菜?」
振り向くと裕太がこっちを見ていた。