ちょっといいですか?
「判決。被告人を死刑とする。」
その言葉を聞いたとき、俺の心にあった怒りが消えていくのを感じた。復讐をやりとげたんだ。でも、なぜか寂しさを感じる。目的を一つ失ったからかな。それに復讐をしても、前世の日々が帰ってくる訳でも無いしな・・・。
「明菜、よかったね。これでやっと落ち着けるね。」
裕太はほっとした表情だ。裕太には本当に助けてもらった。裕太がいなかったら、ここまでこれなかった。
「裕太、本当にありがとう。」
「どういたしまして。じゃあ約束通り、これからは女の子らしくしてね。」
裕太はにかっと、はにかんだ。ハハハ、そうだったな。これからは女の子として第2の人生を楽しむとしよう。
翌日、俺は奈央と散歩に出掛けた。日曜日ということで裕太も休みだが、今まで忙しかったからか今日は部屋でゆっくりしたいらしい。今日は近所の公園に行くようだ。奈央は公園デビューをして、ママ友を増やしたいようだ。にしても俺はまだ1歳にもなってないし、気が早いような気がする。公園にいたママ友の集団に声をかけようかどうしようか迷っていると、こちらに気づいて、近づいてくる女性がいた。
「こんにちは、赤ちゃん可愛いですね。お名前はなんて言うんですか?」
「あっはい、明菜って言うんです。」
奈央はちょっと緊張した感じだ。
「へ~明菜ちゃんか、ちょっと抱っこしてもいいですか?」
「ど、どうぞ。」
俺は女性に抱っこされてる。女性は抱っこの経験が少ないのかちょっと下手だが、落ち着く感じがある。女性が俺を向いて笑顔を見せてきたので、俺も笑顔で返す。数分後女性は抱っこを十分堪能して、俺をベビーカーに降ろした。
「あの、よかったら私とお友達になってもらえませんか?」
突然女性が切り出した。奈央はいきなりで、びっくりしたようだが二つ返事で了承した。
「ありがとうございます。あっ、まだ私の名前を言ってませんでしたね、私は清水夏希って言います。よろしくお願いします。」
たく、わざとらしいよな。まあ、裕太を介して知り合っていたら、奈央は浮気だって言うかも知れないし、いっか。これでまた夏希との繋がりができた。今度は彼氏彼女の関係にはなれないけど、また楽しくやっていけたらいいな。




