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獣人

しばらく更新がのんびりになります。


 焚火を囲んで食べるご飯というのは食堂で食べるのとはまた違ったおいしさがあると僕は思う。

 タマは魚を採るのが楽しくなってしまったみたいで、彼女が湖から上がってくる頃には僕達の前に大量の魚の切り身の山が出来上がっていた。魚は傷みやすいし、どうしようかな。

 保存するにしても氷とかは持ってないし、干物を作る技術も無いから食べるしかない。捨てるのは勿体ないから焼いて明日のご飯にしようかな?


 そんな事を考えていたらガサガサと目の前の草むらが揺れて、そこから1人の男が出てきた。灰色の猫の様な耳と尻尾が特徴的な獣人の男だ。

 男の毛並みはボサボサで、少し離れた場所にいても異臭がしてくる位には汚れている。


 「よそ者、何しに来た」


 男は僕達を警戒しているみたいだけど、よく見ると視線が魚の切り身の方に向いているのが分った。

 試しに魚の切り身を1つ男の前に置いてみる。

 ゴクリ、と唾をのむ音が聞こえた。男の腹からグゥと大きな音が聞こえてくる。

 獣人の男の尻尾が揺れる。耳がピクピクと動いた。


 「これ欲しいですか?」


 「なにおぅ!?」


 獣人の男は明らかにご飯を食べていない感じだ。

 群から追い出されたのか? それとも群れから逸れたんだろうか?

 どちらにしてもこの男がハラヘリなのは変わりないだろう。


 「良かったらどうぞ。僕達の分はまだありますから遠慮せずに」


 「し、しかしだな」


 「僕達は突然変異のモンスターを探しているだけです。危害を与えるつもりはないし、ここが獣人の縄張りというなら日が昇り次第出ていきますから、この魚で今は見逃してもらえませんか?」


 「お前達は突然変異のモンスターを探しているのか?」


 「はい。リザードマンがそのモンスターの毒にやられてしまって。助けるための血清を作る為に僕達はここまで来たんです」


 「そのモンスターが俺たちの村を襲ったやつと同じなら居場所を知っているぞ」


 獣人の男の名前はバッカス。ワーウルフで、獣人の村の門番的な事をしている。バッカスが言うには獣人の村も突然変異のモンスターに襲われたんだそうだ。

 モンスターが村を襲ったとき、ちょうどバッカスは外に用事があって出ていたらしい。

 帰ってきたら村は荒らされていて、動けるのも数人しかいない状態。

 村の薬師が毒を抑える薬を作ってくれているおかげで死人もそんなに出ていないけど、それも時間の問題だろう。


 「俺も連れて行ってくれないか?毒を治すための血清なら村の薬師が調合できると思う。村の薬師も弱ってはいるが、急げば間に合うはずだ」


 最悪次の町か前の町に戻って調合できる人を探そうと思っていたから、調合を出来る人がいるというのは助かる。


 「それじゃあお願いします。出発は明日でも良いですか?」


 「今から向かえば日が完全に沈んでしまうものな。俺もそれが良いと思う」


 どれだけ強いモンスターなのかも良く分っていないのに闇雲に突撃する訳にも行かない。

 獣人とリザードマンを助けられるのは多分僕達だけだ。

 まずは腹ごしらえをして万全な状態を整えよう。


 「良かったら食べてください。お腹が減ったら戦はできないでしょ?」


 「かたじけない。」


 モンスターの姿は見えないけど、ここもダンジョンなので全くいない訳じゃない。ご飯を食べ終った僕達は、交代で見張りをする事にして順番に眠る事にした。


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