D隠し子は6番目 共通①
――私は真っ白い部屋で生まれたときから他人の記憶を植えられていた。
「6号・月華前へ」
竹林博士は私を呼ぶ。
「はい」
私は文武両道で優秀で従順な令嬢を必要とする名家にもらわれる為に作られたクローンの余り物だ。
「お前は養子に出すには育ちすぎた」
「消されるんですよね」
私は作りものでまがいものの人形だ。常に主に従順であるようインプットされている。
「養女が無理なら、お前は誰かの妻になるといい」
「はい」
「つまらないな」
「そうですか」
「父いわくお前の三人の姉達は皆個性があったそうだ。もちろん赤子だったからここでの記憶などないだろうが」
「もうしわけありません」
「だから、そう謝るなと言っているだろ。お前達の創立者は従順であれば喜んだだろうが私は違う」
自分は違うなんて、ゴッドのくせに傲慢な人だわ。
「では私はどうすれば?」
いいや、ゴッドだからこそ許されるのか。
「自分で考えればいい」
私はクローンeveタイプなのだから、竹林一族と敵対する松野一族の自我を持つクローンRSタイプとは違う。
彼はどうして敵対する博士のクローンの真似事をさせるのかしら。
うっかりつまずき、リモコンを触る。テレビの映像が流れた。
新人アイドル風木実華がデビューしたらしい。
――彼女は私の三番目の姉のオリジナルベースだ。