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懊悩の淵  作者: 粘土
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懺悔・六

ポジティブな人にも読んで貰いたいです。

 此の世界に完璧な人間など居ない。そう、解っている積りでも、人は何処か驕った態度を示す。我知らず。僕もそうだ。完璧主義を隠しているが、其の実、自身では其れを否定出来よう筈の無い処を自覚している。然も、何処か抜けている処をも自覚している。其の上で自らを自認している。にも、拘らす、完璧主義なのである。之ほどの矛盾は中々観られないだろう。酔っ払って、取るに足らない阿呆と喧嘩もするし、素面しらふでも死のうと考える。美しきも、醜きも、己に有って当然と号し、其れ等を含めた自身を任じる。其れの何処が完璧なのか。誰に問うても判らぬ事だ。

 そもそも、完璧とは何だろう。何を目指し、何処まで行けば完璧と云えるのだろう。絶えず煩悶すれば、其れは其れで完璧である。然し、反対に、絶えず喜び、何事にも真っ直ぐで居られたなら、其れも又完璧なのである。こんな考えも、既に矛盾を孕んでいるのではなかろうか。示される路は多く、けれども、其れには大いに反駁はんばくし、自らの地図を描くのも一つの路であり、答えでもある。たとい、世界に背を向けようとも。侮蔑され、凌辱され、蹴散らされても。即ち、完璧とは、正の表現ではないのだ。負であろうとも、一個人が幸福であると云い切れるなら、其の生き方は完璧なのだ。……成程。之は詰まり、幸福論で方の付く問題なのだ。何れ程落ちぶれようとも、其処に一筋の光を見出す事が出来たなら、彼氏彼女は幸福であり、従って完璧と云えるのだ。一々、正当性を鑑みるの点に於いてから、間違いだったのである。

 然し、疑念や疑問が消える事は無い。訊いてみたいのである。君達は僕の此の述懐を好しとするか? と。いや、問うまでも無い事か。きっと、好しとはせぬだろう。何故なら、僕が塵芥ちりあくたと云って差し支え無い存在だからだ。愈々(いよいよ)以って、懺悔と云う主題に触れる事だろう。只、まだ終われない。終わっては不可いけないのである。世に生まれ、只々、此の命の果つる時を待っている僕は、之以上の苦しみを叙述せねばならない。もしかすると、勝手に命の尽きるまで、生きていなければならないのかも知れない。僕は今、そんな事を示唆してしまったのだから。幸福には影が付き纏い、其処にすら完璧であると称する事の出来る可能性を示してしまったのだから。……。


 今更ながらに後悔する。『嗚呼、僕は馬鹿だ』と。


ネガティブな人にも読んで貰いたいです。

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