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プロローグ 送信

 薄暗い部屋に、パソコンの無機質な光がぼんやりと灯る。


その中で、一人一心不乱にキーボードを連打するのはティーン世代の男だ。

 髪型や服装はあまり拘った様には見えないが、目の前に並ぶ何台ものパソコン、そしてそれの付随品には何処となく気品さが溢れていて、それらを置いているデスク上は微塵の埃もない清らかさがある。


彼の名前は白石空龍しらいしそら、高校三年生の少年だ。

そして、彼が今やっている行為はハッキングというものである。


 ハッキングとは他人や企業のパソコンに侵入する行為を指す。また、悪意や害意を持って侵入し、ウィルスをばら撒いたり、情報を掠め取るような行為をする者をクラッカーと呼ぶ。


空龍はどちらかといえばハッカー、つまりパソコンヲタクである。

 ハッキング技術に関しては全くの独学。事実自分が正直に嫌な人間だと感じた者には色々と嫌がらせこそするが、基本人畜無害な少年だ。彼は大学入試を控えてはいるが、事実全く勉強をしていない。


今日もまた、彼の独壇場であるネットで、空龍が最近ハマっているネットサーフィンを開始した。


「(………ん?)」


ネットサーフィン開始五分程で、空龍は気になる文章を発見した。

 それは求人広告のようなものだ。しかし内容は従来のものとは違い、何となく危なげな香りが漂っている。思わずして二台目のパソコンを起動、空龍は一台目のパソコンで広告サイトに移った。


『求人広告:魔王を倒してくれる方大募集。実力・年齢・性別、そんなものは関係ありません。我こそはと言う方のみ、募集要項にチェックをして送信を押してください』


「……ゲーム、にしちゃやり過ぎだな。本気で言ってるのか、これ」


脱力して空龍は二台目のパソコンの電源を落とした。

取り敢えず送信してみよう、何となく空龍にそんな気持ちが芽生えた。


チェック要項は比較的簡単なものだった。

 年齢性別、生年月日、趣味特技、好きな元素。所々おかしな質問は何個かあったが、それを特に気にかけることなく、空龍はチェックを押していき、送信ボタンにまでたどり着いた。


「送信、っと」


軽い気持ちで空龍は送信ボタンを押した。

瞬間、頭がクラっとして空龍が椅子から転げ落ちた。


「(な……!?)」


バランス感覚を失ったかのように、空龍は立ち上がることができない。

呼吸が浅くなり、意識が遠のく。

最後に見えたのは、パソコンに映る簡潔な一文。


『では、あなた様をご招待させて頂きます』


それを見た直後、空龍は意識を完全に失った。



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